MOROHA VANITYMIX 2019 SUMMER PICK UO INTERVIEW

MOROHA Ⅳ

■アフロさんのいちばん好きな曲はどの曲なんですか?

アフロ そうだなー、“夜に数えて”で、「この場所じゃ才能がない事は罪だ」って、この一行目、これは俺が言っていなかったらイヤだったと思う。誰かが言った言葉として聴いていたら、「なんで俺が先に言語化できなかったんだろう」って思っただろうなって。これは心からずっと思っていたことなので。おこがましいことを言えば、俺じゃなくて周りに思っていたんですよ。ライブとか対バンライブで、ほんとつまんないライブばっかしやがってって、ずっと文句ばっかり抱えていたんですよね。いまはないですよ。いまは自分たちの好きな人としかやらないっていう、ありがたい状況になったから。でも昔はライブハウスのブッキングとか、いまもフェスとかでは思ったりすることはあるけど、音楽作る才能と人を喜ばす才能って別じゃないですか。だからフェスに出ているのは、音楽の才能はないけど、人を喜ばす才能はあるからなんだなって。そう思うとすごく腑に落ちるんですよ。

■あー、なるほど。

アフロ でも両方ともないヤツとやらなきゃいけないときがあって、そのとき、初めてライブに来た人が「こんなもんか、ライブって」って思ってしまったら、どんどん客が離れていって、俺たちの業界先細りだな、罪だな、邪魔だなって思っていたんですよ。思っていたんですけど、がんばって一生懸命やったとき、「あれ?俺もじゃない?」っていうところにいきついて、「そんなこと言ってっけど俺は何がある?」って考えたとき、「あー、ないわ」って。そのとき自分に向いたんですよ、「この場所じゃ才能がない事は罪だ」っていうフレーズが。

■なるほど。

アフロ 「じゃあどうする?」っていうところから「償うように汗をかく」ってところにいって、だからこの言葉は、このフレーズは書けてよかったですね。

■言語化するのがむずかしいということはよくあるんですか?

アフロ いい言い回しにならないとダメなんですよね。グッとくる言い回し。例えば、「才能がない奴はステージに立つな」ではダメなんですよ。「罪だ」なんですよね。で、「償うように汗をかく」までいっていないとっていうのもあるんですよ。

■グッとくる言い回しってたしかに大事で、一言違うだけでニュアンスというか、そういうものがガラッと変わりますからね。

アフロ そうなんですよ。だからそういうフレーズが書けたときはうれしいですよね。

■わたしは“スタミナ太郎”が好きで、曲も歌詞も好きです。

アフロ 「お前が俺の顔面だったなら ぶっちゃけ今の半分さえ売れてねぇ」って、「なんてこと言うんだ!」ってね。(笑) ほんとはね、「こういうこと言わなくてもいいんじゃない?」って言ったんですけど、UKが入れてくれって。

全員 (爆笑)

UK いやー、そこまで言っちゃったらもう言っちゃおうよって。それでもし、「おまえそんなこと書くんじゃねーよ」って怒るヤツがいるなら、そいつは自意識過剰過ぎるんですよ!

アフロ あはははは、ムカついたのにムカつきましたって手を上げられないんだよね。

UK そうそう。

アフロ ヤだね、ヤな人たち。でもね、やっぱり同性でも男前の話はちゃんと聞くんですよ。

■そうなんですか?

アフロ これは間違いない。だってUKなんてちょっとしゃべっただけで、なんかみんな違うじゃない?

■MCで少ししゃべっただけでみんな喜びますしね。

アフロ そうそう。まず賢そうに見えるんですよ。だから言うことに説得力があるんですよ、顔面って。そういう意味では顔面は絶対的なものですよ。それは異性だけだと勘違いするなかれ。でも、そんなこと言うまでもないけど、そんなこと言うまでもないことを言っている曲です。

■はい。(笑) “五文銭”、これはすっかりシリーズ化されていますね。

UK “二文銭”から始まって、そのときは続くとは思っていなくて、“三文銭”を作るかってなって、作るかっていうか、結局メッセージの矛先は一緒なんですよね。自分たちの現状や思っていること、もちろんほかの曲でもあるんですけど、それに題名がつくならばっていう感じでシリーズ化しようってことで、“三文銭”からいままで続いていて。“一文銭”に一度戻って、いま“五文銭”、5曲目になりましたっていう感じですね。

アフロ これはどこまで続くんでしょうね?わかんないですけどね。

■三途の川を渡るのが“六文銭”って言いますね。

アフロ そうそうそう。だから“六文銭”で終わるのか?どうだろう。

UK そしたらもう死ぬんじゃないですか?(笑)

■あはははは、“六文銭”で?

アフロ そのときになってもまだ「男前は!」とか言っていたらおもしろいですね。最後の最後まで、「あーあ、アフロまだ言ってるよ」って。

Interview & Text:藤坂綾

PROFILE
2008年に結成し、2010年アルバム「MOROHA」でデビュー。舞台上に鎮座するアコースティックギターのUKと、汗に染まるTシャツを纏いマイクに喰らいつくMCのアフロからなる二人組。鬼気迫るようなライブが特徴で、道徳や正しさとは程遠い、人間の弱さ醜さを含めた真実に迫る音楽をかき鳴らし、賛否両論を巻き起こしている。
www.moroha.jp

RELEASE
『MOROHA IV』

『MOROHA IV』

初回限定盤(CD+DVD)
UMCK-7010
¥5,184(tax in)

通常盤(CD)
UMCK-1620
¥3,024(tax in)

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