『AKB48 20周年記念コンサート「AKB48 20th Year Tour 2025 in 日本武道館~あの頃、青春でした。これから、青春です~リクエストアワーセットリストベスト20」』ライブレポート@日本武道館

ファンの今の支持曲がリアルに見えた「リクエストアワーセットリストベスト20」を公演!

AKB48が、自分たちの劇場で初公演を行ったのは2005年12月8日だった。あれから20年の歳月が経過。AKB48にとって20年間の歩みは、日本のみならず、世界の音楽シーンにおいても、改めて「アイドル」が娯楽であるのと同時に、心を支える文化であることを伝える日々でもあった。その歩みは今も続いている。AKB48は、20周年という大きな節目の動きの帰結点として、12月4日〜7日に日本武道館で『AKB48 20周年記念コンサート「AKB48 20th Year Tour 2025 in 日本武道館~あの頃、青春でした。これから、青春です。」公演を行った。ここでは、初日となった12月4日(木)「リクエストアワーセットリストベスト20」公演の模様をお伝えしたい。

ライブは、歴代の「リクエストアワーセットリスト」曲の歴代1位曲を振り返る映像からスタートした。懐かしさを胸に映像を見ている人たちも多かっただろうか。大きなスクリーンに曲名が記されるたび、あちこちから歓声が上がっていた。ライブは、2025年度のファン投票により選ばれた【上位20曲をカウントダウン】していく形を軸に、合間に、「メンバーが今回の日本武道館公演に向けて掲げた公約を実行する」などの企画コーナーを組み込みながら進んでいった。コンサートの始まりを告げたのが、20位にランクインした“根も葉もRumor”。難易度の高いダンスをものともせず、メンバーらが一体化した歌唱やパフォーマンスを披露。結果的に、とても華やかな幕開けになった。MCでは、4代目AKB48グループ総監督・倉野尾成美の司会進行のもと、研究生を含む43名のメンバーの「公約」を披露。それが、この先の展開への布石になっていた。

19位の“翼はいらない”では、歌謡ムードも香る楽曲に乗せ、メンバーどうしが手を繋ぐなどのじゃれ合う姿を見せながら、青春している様子を見せてくれた。18位にランクインしたのが、2025年6月に卒業した村山彩希が卒業ソングとして歌った“ゆいりー”。もちろん、ステージには村山彩希が登場。彼女は、胸に手を添えて「あなたは 僕の青春でした」と声を響かせ、思いを深く込めながらバラードを歌いあげた。フロア中にメンバーカラーの光が揺れていた景色も美しかった。ステージ上がとてもカラフルな色に染め上がった17位の“奇跡が消えても”では、まるでミュージカルの一場面のような華やかな姿を見せていった。続く、16位の“恋 詰んじゃった”では、凛々しい姿を提示。パワフルに攻めるその様に、気持ちが熱く騒いでいた。MCでは、「“ヘビーローテーション”に乗せて、メンバーあるあるを歌う」という公約を坂川陽香が実施。「さっほーさん、持ち物おばあちゃんすぎる」や「みおんさん、いつでもへそ出しの服」など、それぞれの特徴を捉えつつもコミカルに紹介していくその内容を、観客たちはもちろん、メンバーらが嬉々として楽しんでいた。

15位にランクインした“カラコンウインク”は、柏木由紀の卒業シングル。この曲では、卒業した柏木由紀が登場。さらに、村山彩希も参加。柏木由紀を中心に、当時の選抜メンバー16名で披露してくれたのが奇蹟のよう。胸の踊る楽曲や、メンバーたちのパフォーマンス姿に、ずっと華やかさを感じていた。奥本カイリと丸山ひなたによる「The Kairi and Maruchan Show」では、ゲストに柏木由紀を迎え、「椅子取りゲーム」や、「ビリビリペンを使ったゲーム」を実施。奥本カイリと丸山ひなたは、先輩を食ってやる勢いで勝負に挑んだが、最後は柏木由紀が美味しい見せ場をしっかりとつかんでいった。さすが、長くAKB48で活動を続けてきた経験は伊達じゃない。14位の“緞帳を上げてくれ”は、リニューアルしたAKB48劇場で新たに始めた「ここからだ」公演で披露している楽曲。力強く躍動する曲の上で、とても凛々しくてダイナミックな姿を見せるメンバーらの姿が、胸に強烈に焼きついた。「公約」を実現するコーナーでは、「バク転を披露する」と公約を掲げた新井彩永がバク転を練習する姿を映した動画を上映。その上で、実際に満員の観客たちを前にしてバク転を成功させ、見事に公約を果たした。

13位にランクインした“アイドルなんかじゃなかったら”で彼女たちは、とても華やかな楽曲に乗せて、少しの戸惑いも滲ませながら、アイドルらしい眩しい青春模様を目の前に描きだしていった。12位の“振り向きざまのキッス”も、「ここからだ」公演の中で披露している楽曲。この曲を、岩立沙穂・向井地美音・伊藤百花の3人がスタンドマイクを使って愛らしくパフォーマンス。楽曲が華やかさを増すのに合わせて、3人も気持ちをカラフルに染めながら、キュートに弾けた姿を見せていた。11位には“失恋、ありがとう”がランクイン。山内瑞葵をセンターに据えたパフォーマンスを見て、心に熱く込み上げる思いも感じながら、華やかな彼女たちの姿をずっと見つめていた。ここで、「MCをやる」公約通り久保姫菜乃がMCでステージへ。彼女の司会進行で進めたのが、迫由芽実と工藤華純の20歳同士による漫才コンビ「さこくど」の漫才。AKB48のメンバーという立場も巧みネタにしながら、2人は「同窓会に呼ばれてないけど、もし同窓会に行ったら」を題材にしっかりと笑いを取っていった。その才能、今後もぜひ伸ばしてほしい。

10位にランクインした“ライオンを狙え!”では、かわいらしさを見せつつも、勇気漲る凛々しい様で迫っていった。9位の“知ったかぶりのその下に”では、みずから眩しい輝きを放つように、メンバーらがキラキラとした姿を見せていた。その様に、眩しい青春模様を覚えずにいられなかった。MCでは、岩立沙穂が「新しいニックネームをメンバーに付ける」という公約を果たすために、メンバー全員に付けた新たなニックネームを発表。「向井地美音:ムーチョス」から、「高橋彩音:キューピー」や、「下尾みう:仕事人」という謎のニックネームも。中には、「山崎空:ウルちゃん」のように名前の漢字を上手くもじったニックネームも出ていた。8位の“まさかのConfession”では、冒頭から熱いコールが場内中から飛び交っていた。ウキウキと気持ちをときめかせるカラフルなアップチューンで、場内中も華やかに染め上げていった。ここで、19期研究生全員の昇格を発表。伊藤百花が語った「5人全員で目指していた昇格だったので本当に嬉しいです。この5人で19期としていれたことが誇らしいなと思います」の言葉も印象的だった。

7位の橋本恵理子と山﨑空がWセンターを担った“星が消えないうちに”では、AKB48 U-20選抜メンバーを中心に歌唱。躍動する一人一人のパフォーマンスも魅力的だ。まるで魔法にかかったようなときめきを覚える、眩しい青春の一場面を見ているような感覚だった。次の発表の前に、佐藤綺星が「チアダンスを踊る」という公約を果たそうと、横浜DeNAベイスターズの公式チアリーディングチーム「diana」と“B Stars”を華やかにパフォーマンスしてくれた。6位では、気持ちをウキウキと弾ませるロックンロールチューンの“タイムマシン不要論”を歌唱。メンバーみんなが、今、この瞬間を思いきり楽しもうと弾ける姿が眩しかった。5位にランクインした“晴れ渡る”では、下手ステージで情熱的でパワフルな姿を見せて熱唱&パフォーマンス。ダイナミックなメンバーたちの姿が胸を熱くした。続いて上手ステージで歌ったのは、4位の“抱きつこうか”。メンバーたちはキュートな姿で、恋にときめく乙女の心模様をチャーミングに見せていった。メンバー同士がじゃれ合いながら歌い、最後は5人が互いをギュッと抱き合う姿を見せていた。

ここで、21期研究生の初お披露目ステージを実施。15歳から18歳までのみずみずしい5人のメンバーたちが歌ったのは、“#好きなんだ”。恋に恋する乙女ではないが、夢を現実にしていく、その始まりの地に立った彼女たちが真っ直ぐな思いで歌い踊る姿に、爽やかな衝撃を覚えていた。そしてついにトップ3へ。3位は、チーム8の“47の素敵な街へ”。この曲では、元チーム8のメンバーたちが集結。それぞれ頭に出身地名を記したカチューシャを付けて、元気いっぱいに笑顔でパフォーマンス。その姿にずっとドキドキしていた。2位には、17期・18期生のオリジナル曲“あの夏の防波堤”がランクイン。17期・18期生のメンバーたちが、過ぎ去った夏をこの場に連れ戻し、ステージという防波堤から、今にも客席へ飛び込まんばかりの勢いを持って、キラキラ眩しい青春という姿を存分に見せていった。

そして2025年度の「リクエストアワーセットリストベスト20」の1位を手にしたのは、麦わら帽子姿がとてもチャーミングだった福岡聖菜をセンターに据えた“抑えきれない衝動”。眩しい乙女の青春模様を映し出したこの曲を、キラキラと輝きを放つように歌い踊るメンバーたちの姿は、まるで青春の1ページを切り取った姿を目の前で見ているようだった。本当に抑えきれない衝動を胸に覚えていた瞬間だった。シングル『ハイテンション』のC/Wの1つとしてリリースになった楽曲が、1位を獲得した。全体的に新しめの曲が多かったものの、表題曲のみならず、すべての楽曲を現在進行形で追いかけ、愛し続けているファンたちが、常にこの投票を支えているからの結果だろう。最後に福岡聖菜が、「ファンのみんなの応援があるから私たちは輝ける。私の青春はAKB48だと胸を張って言えるし、まだまだ続いていきます」と思いを述べて、「リクエストアワーセットリストベスト20」を締めてくれた。

アンコールでは、AKB48の最新シングル『Oh my pumpkin!』に収録した曲たちを次々と歌唱。下手ステージに登場した⼤盛真歩・島美結・山崎空が“アイドルだよ、人生は…”を通して、わちゃわちゃとした姿を見せれば、上手ステージでは、“スマホ、みてる場合じゃない”で、久保姫菜乃・千葉恵里・平田侑希・八木愛月・伊藤百花が躍動する跳ねたダンスビートの上で思いきり弾けた姿を提示していった。“意思の大木”では、総勢24名のメンバーたちが、この場に晴れた青春の景色を描きながら、観客たちの心もスカッとさせてくれた。そして最後に歌ったのは、最新シングルの“Oh my pumpkin!”。この曲では、「“Oh my pumpkin!”でカボチャになる」という公約を掲げていたセンターの小栗有以が、「野菜シスターズ」で柏木由紀が身につけていたカボチャ衣装姿で登場。21期研究生の一部メンバーも加えた総勢46名が、ステージの上を目いっぱい使って、胸踊るかわいくて華やかな姿を見せ、満員の観客たちと一緒にわちゃわちゃと弾けていった。その都度、AKB48のリアルなファン支持曲を知れる「リクエストアワーセットリスト」公演。次回はどんな曲たちがランクインするのか?きっとその曲たちが、その時代のAKB48を象徴する顔たちになるだろうからこそ、毎回の開催を楽しみにしてしまう。

Text:長澤智典
Photo:ⒸAKB48

『AKB48 20周年記念コンサート「AKB48 20th Year Tour 2025 in 日本武道館~あの頃、青春でした。これから、青春です~リクエストアワーセットリストベスト20」』@日本武道館 セットリスト
01. 根も葉も Rumor
02. 翼はいらない
03. ゆいりー
04. 奇跡が消えても
05. 恋 詰んじゃった
06. カラコンウインク
07. 緞帳を上げてくれ!
08. アイドルなんかじゃなかったら
09. 振り向きざまのキッス
10. 失恋、ありがとう
11. ライオンを狙え!
12. 知ったかぶりのその下に
13. まさかの Confession
14. 星が消えないうちに
15. タイムマシン不要論
16. 晴れ渡る
17. 抱きつこうか?
18. #好きなんだ
19. 47の素敵な街へ
20. あの夏の防波堤
21. 抑えきれない衝動

ENCORE
01. アイドルだよ、人生は…
02. スマホ、見てる場合じゃない
03. 意思の大木
04. Oh my pumpkin!