MADKID VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

メンバーから受ける刺激の大きさとチーム力、7枚目シングルでの新たな挑戦を訊く。

MADKIDが7枚目のシングル『Change The World』をリリース。テレビアニメ「勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強種の猫耳少女と出会う」の主題歌となっている表題曲は、今までのMADKIDになかった爽やかな楽曲だ。彼らにとって新たな挑戦となるような曲調だが、ライブでオーディエンスとともに盛り上がれる明るい曲調は、アニメソングのカバーを積極的に取り入れながらオーディエンスを巻き込むライブを繰り広げる昨今のMADKIDのモードに沿っており、現在の彼らの姿を映し出した楽曲でもあるように思う。この夏にはアニサマへの出演を果たすなど、確実に進化を遂げている彼ら。新曲の制作について、YOU-TA、YUKI、KAZUKI、LIN、SHINの5人に訊いた本インタビューでは、制作に対する貪欲な姿勢や、バランスのいいチームワークも浮き彫りになった。

■夏には目標としていた「Animelo Summer Live (アニサマ)」の舞台に立ちましたが、いかがでしたか?

KAZUKI 最高でした!

SHIN 本当にその一言に尽きますね。立ったことがないステージだったので、初めて見た景色でしたし、お客さんの赤と緑のサイリウムが目の前に広がっていて、すごく感動しました。

YUKI あれだけの人の前でパフォーマンスできたことももちろんそうですし、僕たちの曲を知って下さっている方たちも多かったというのもあって、アニサマの後はポジティブに考えられることが多くなりました。次に繋げられるんじゃないかなって感じることができたライブでした。

YOU-TA ステージを終えた瞬間は、「自分たちだけでここを埋めたい」っていう気持ちと、「どうやったらまた来年もここに立てるんだろう」っていうことを考えていて。かなり大きな経験でした。

■アニサマを経てのワンマンライブも、ペンライトの導入やアニソンコーナーも含め、進化したものだったと思います。ワンマンツアーはいかがでしたか?

YOU-TA 8月の頭にアメリカに行って、そこで観た景色だったり、アニサマのステージも含め、本当にここ数か月は刺激的な経験がたくさんあって。その後にツアーがあったので本当に考え方が根本的に変わったというか。ライブの作り方も、今までよりもお客さんをどう楽しませるか、どう巻き込むかみたいなところに重点を置いてパフォーマンスできました。ここ数か月やってきたことが今回のツアーにも活きたのかなって思います。

■東京公演では“とっとこハム太郎”と“おジャ魔女カーニバル”も披露していましたね。

YOU-TA これ、当日までめちゃくちゃ心配だったんですよ……。

KAZUKI マジでコケるんじゃないかっていう。(笑)

YOU-TA でもみなさん結構その演出のことを良かったって言って下さったので、安心しました。地方公演では他のアニソンカバー曲をやったりもして、僕らの中ではめちゃくちゃ盛り上がるだろうと思っていたんですよ。でも意外とみんな知らなかった曲もあったり……。東京公演は大成功でしたけど、地方公演ではそういうギャップもありましたね。

LIN 東京も真面目なカバーでいくパターンも構想にありましたからね。俺ら全員、前日くらいまで「大丈夫かな……?」って心配で。でもあれをカッコよくやっていたら面白くなかったよね。 (笑)

YOU-TA アニソンのカバーは割と最近取り入れたもので、それが馴染んできているというか。「僕らがアニソンをやったらお客さんを湧かせられる」っていう感覚がついてきたので、それは発見でした。

■そして今作『Change The World』は、MADKIDがアニソンを歌うグループとしても知られるきっかけとなった「盾の勇者の成り上がり」とは雰囲気の異なる、「勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強種の猫耳少女と出会う」とのタイアップですね。制作はどのように進めたんですか?

LIN これ、実は作ってから1年くらい経っている曲なんですよ。ジャングルっぽいのにしたいっていう意見を出して、「ブレイクビーツみたいな感じでお願いします」って感じで作っていただいた曲なんです。

■今までよりも爽やかでMADKIDとしては珍しい曲調になったのではないかと思います。聴いた時の印象を教えてください。

KAZUKI 爽やかでしたね。(笑)

YOU-TA こういう曲は今まで本当になかったので、自分たちとしても挑戦でしたね。これまでのかなりロックな曲とは違って明るい曲ですし、ライブでもヘビロテな曲になるなとは思いました。

■歌詞はどのように制作されていったんですか?

YUKI 大部分をLINが書いて、僕はラップの箇所を書きました。

LIN 原作を見させてもらって、入れ込みたい言葉だったりを考えておいて、そこに肉付けしていくみたいな感じで書きました。今回はあんまり難しく考えすぎずに書けた歌詞でした。

■「盾の勇者~」のタイアップ曲の制作との大きな違いなどはありましたか?

LIN 今回はそこまで主人公が逆境に合うような物語ではなくて。そういう作品全体の雰囲気を汲み取りながら歌詞を書いていったので、そこが違いなのかなと思います。物語の雰囲気が違ったのが大きく曲調に出たんだと思います。

■曲の雰囲気としては新しいですが、歌詞としては前に進んでいくという勢いのある雰囲気がMADKIDらしい印象も受けます。

LIN そうですね。タイアップの作品は共通して前に進んでいくような話が多いので、書く心持ちとして当たり前に持っているというか。でも書いている時はあまり自分でも分からないので、改めて言われてみれば「確かにそうだな」と。自分があまり前向きなタイプじゃないからこそ、上手くできたと思います。

■YUKIさんはどういったとっかかりからラップを書いていったんですか?

YUKI 制作自体は同じく、原作を見て書きたいなって思った言葉を書こうと思ったんです。そうしたら良い感じにサビのところに散りばめられていたので、被らないように言葉を選んで書きました。

■既に書いてある言葉を除きつつ書いていくのは難しそうですね。

YUKI でもサビで使ってくれるのはありがたいですね。Twitterとかでもエゴサしていて、関連するワードが入っていることに気付く人がいたりするし、僕らがちゃんと原作をリスペクトしながら制作しているっていうことも伝わるので。

■ボーカルのみなさんはいつもと雰囲気の異なる楽曲を歌ってみていかがでしたか?

SHIN “Change The World”と“Last Climber”のレコーディングの時は、自分が結構歌に関して悩んでいた時期だったんです。発声方法というか、結構声が詰まって聴こえる部分があったみたいなんですけど、自分ではあまりわからなくて。それをYOU-TAとLINがディレクションしてくれていい方向に持っていってくれたので、すごく感謝しています。自分にとってもまた新しい自分を発見できた曲でもあるので、それはこの後に録ったアルバム曲の“Fight It Out”にも繋げられたのかなって思います。

YUKI あと、確かこの曲はキー下げていたよね?

YOU-TA そうだね。曲調的にも歌いやすい曲にしたいっていうのと、LINが書いてくれた歌詞も日本語が多くて伝わってくるような言葉が多かったので、キー的にもちょっと下げるくらいがちょうどいいんじゃないかなと思って下げました。

KAZUKI 最近はトップの音は攻めに攻めていて、“Bring Back”とかはB♭までいっていたんですけど、今回はトップがAで。僕らの曲の中ではいろんな人が挑戦できる感じになっています。

■“Last Climber”の制作についても教えてください。

YOU-TA この曲の方がもっと前に作っているよね?

KAZUKI 時期的には同じくらいかな。去年の秋ごろから冬にかけて、アルバム制作もそうだったし、“Change The World”もそうだったし、とにかくいろいろ作ってレコーディングしていた時期でしたね。

YOU-TA 数年前に“Get up”っていう曲を作っていただいたtepeくんにこの曲を作ってもらったんです。すごくトラックが独特というか、これも今までのMADKIDになかったようなものになっていますね。サビで開ける感じがあって、そこを上手く表現したいなと思ってトライしながら作っていきました。

■これまでと質感の違うカッコ良さがありますよね。

YOU-TA リリースがカットされたピアノが入っていたり、今までになかった音使いがされていると思います。

■作詞はYOU-TAさん、YUKIさん、LINさんの3人がクレジットされていますが、どのように進めたんですか?

YOU-TA 僕がYUKIと相談してアドバイスをもらいながら書いていきました。

LIN 俺は今回自分のところしか書いてないです。ちょうど“Fight It Out”と同じ時期に作っていたので、この曲は任せる形で。ある程度歌詞が入っている隙間に俺がラップを入れたっていう感じですね。

YUKI 確かこの時、LINちゃんは”Fight It Out”もそうですし、他の制作とも結構被っていて。これは僕とYOU-TAで書こうってなったんですよね。僕も僕でラップ詞の方をいろいろやっていたので、これは最初に形を作ってYOU-TAに丸投げした気がします。

■2Aのラップがすごくカッコいいですよね。

YUKI 早口のところですよね。ライブでできる気がしないのでちょっと後悔しています……。(笑)

■ラップの位置などはどのように決めていったんですか?

YUKI 自分で言うのもあれですけど、僕ら2人ってどんなラップでもできるので、どこにラップを置いてもいいし、LINちゃんに「ここやって」って言っても、基本的にどこでもやってくれるんですよ。(笑) この曲は展開が面白かったので、どうしたらもっと面白くできるかっていうのを考えながら、YOU-TAとディスカッションして決めましたね。

■楽曲の展開に導かれてというか?

YUKI そうですね。それこそ1Aのラップは曲の展開だけで考えたんですよ。だから今思うと全然韻を踏んでいないんですよね。でも気持ちよく作れました。

■落ちサビのアコースティックギターだけになる部分のKAZUKIさんの歌声もぴったりだなと。それこそ曲調に導かれたような歌割りだと感じました。

KAZUKI 歌割りは今回もYOU-TAが決めていて。でも僕的には“Last Climber”の方がレコーディングは難しかったですね。落ちの部分は自分でもしっくりきたレコーディングでいいテイクが録れたんですけど、Aメロの「宛て名のない運命を描く 奪われたとしても」とか、この曲のテンポ感と歌い方がハマらないままレコーディングをしていて。曲のイメージ的には自分の声とマッチするなと思ったんですけど、いざ歌ってみると「どうしたらいいんだ……」みたいな感じで。(笑) それはYOU-TAにディレクションしてもらいつつ、いいテイクが録れたのかなと思います。

■メンバー同士でのディレクションで気を付けていることなどはありますか?

YOU-TA 歌割りを作る時点から誰がどこに合うのかを考えて作っていて。あとはメンバーの良さをなるべく引き出すっていう、それだけですね。声の良さとか、ニュアンスの部分を活かすのが一番大事だと思うので、そこをLINとかとディレクションしながら引き出す作業っていう感じですかね。