ASCA VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

自分から出てくる歌を信じて歌おうと思っていました。

ASCAが、ニューシングル『Cusp』を5月27日にリリース。表題曲の“Cups”がTVアニメ『黒猫と魔女の教室』オープニング主題歌に起用されている今作は、伸び伸びとした爽やかなバラード曲に。カップリング曲には、対照的に絶望を歌う“パキラ”が収められた。インタビューではASCA本人が企画から手掛けたというアートワークから、楽曲にまつわること、作曲秘話までいろいろと語ってもらった。

■ASCAさんは、さまざまなライブに出演されたりしているので、いろんな出来事があると思うのですが、最近のトピックを一つあげるとしたらなんですか?

ASCA 最近だと、初めてタイに行きました。イベントに出演させていただいたんですけど、タイって結構「日本」を感じる要素がたくさんあったんですよ。例えば、街にもカタカナで「タピオカ」と書いてある看板があったり、ドン・キホーテも普通にあるし、日本の飲食店がたくさんありました。私はイベントでヨーロッパやアメリカにも行かせていただいているので、他国に比べて、よりタイには日本の文化が根付いていることが伝わってきて、街に出てもあまりストレスのない滞在になりました。それに、タイに住んでいる方たちは、みんなすごく幸せそうというか、余裕がありそうなんですよ。

■タイは「微笑みの国」と言いますしね。

ASCA そうなんです。みなさん本当に余裕があるんです。入国検査の時にも、国民性みたいなものが伝わって来るじゃないですか。そういうところでも、すごく穏やかだったし、やり取りもスムーズで、温かくてとても良かったです。

■いいですね。タイに行ってみたくなりました。

ASCA 逆に悪いトピックだと、新年早々からずっと体調不良が続いていて……。やっと最近元気になれたような感じなんです。それこそインフルエンザになっちゃったりして……。「なんでこんなに体調がずっと悪いんだろう?」というくらい、「年齢的なものもあるのかな?」という現実にも直面して、いろんな問題が1月〜3ヶ月間ぐらい続きました。今日は元気にお会いできて、本当によかったなと思っております。(笑)

■そうですね。元気にお会いできてよかったです!今回の新曲は、アニメ『黒猫と魔女の教室』とのタイアップということで、ASCAさんがもし魔法を使えるとしたら、どんな魔法を使いたいですか?

ASCA すごく嬉しい質問!(笑) そうですね、私はいつも時間ギリギリで行動してしまっていて、移動の時はだいたい走っているんですよ。なので、瞬間移動の魔法ですかね。駅までいつも走っている問題が、瞬間移動さえできれば解決すると思います。(笑)

■でも、そうすると準備に時間がかかったりするようになるかもしれませんよ?(笑) さて、ニューシングル『Cups』ですが、今回のアーティスト写真がすごくステキですね。こだわりを伺ってもよろしいでしょうか?

ASCA 今回のこのアートワークを作る上で、私が一から企画書みたいなものを作って提案させてもらったものが形になっているので、細部にまで私のこだわりが詰まっています。原作を読んでから、「原作×ASCAでどんなアートワークが作れるかな?」という観点で考えていきました。物語の主人公・スピカが乙女座で、植物魔法を使えるので、まず「植物×星」というところからスタートさせていきました。そして、「魔法が使える」というファンタジーなお話にもなっているので、本物のお花や、背景に人工物の星を入れて、本物と偽物が入り混じっている世界で、ちょっとしたファンタジー感や魔法感も表現したいなと思いました。実際にスタジオでセットしていただいたお花たちは花言葉にこだわった選び方もしています。右手前の紫のお花「アイリス」は“信じる心”であったり、楽曲とリンクしているので気になった方はぜひ調べてみてください。

■ということは、ここに映っているお花は生花なんですか?

ASCA そうなんですよ。基本的には生花で、少しだけ造花を使っています。今、造花のクオリティがすごいんです。例えば、左にあるオレンジのお花「ポピー」は造花なんです。フラワーアーティストの桑原さん曰く、大きな花びらは時間が経つと萎れてきてしまうので、造花を選んだとおっしゃってました。でも、ミュージックビデオやアートワークの撮影の時には、フラワーアーティストさんと、「これは造花?本物?」というクイズが始まるぐらい、本当に見分けがつかなかったです。

■ASCAさんの正解率はどれぐらいだったんですか?

ASCA 五分五分でした。(笑) だから今、「どれが造花?」と聞かれてもすぐには答えられないクオリティになっております。

■そういうところにも注目して観たいところですね。(笑)

ASCA そうですね。ミュージックビデオでは、アーティスト写真より近寄ったり、動いているところも見られるので、楽しくクイズができるかもしれないです。

■そんなキービジュアルですが、ファンの方たちの反応はいかがでしたか?

ASCA 今まではカッコイイものや、シャープでクールなものを軸に作っていたことが多かったので、ここまでフェミニンなものは初めての試みでした。どんな反応が返ってくるかドキドキしたんですが、かつてないほどの「かわいい」をいただき大満足です。(笑)

■そしてミュージックビデオですが、撮影にあたって何か苦労したことなどはありましたか?

ASCA 履いているヒールが高かったことですね……。(笑) 10センチ以上あったので、足がつりまして……。初めて「足のつりが治る待ちタイム」がありましたね。(笑) 日頃からヒールを履いている方は大丈夫なのかもしれませんが、私は基本的に普段の生活は動きやすいスニーカーなんです。日頃の鍛錬が足りなかったな……という気持ちがありました。

■それは辛いですね……。25歳を過ぎてから足がつる時間が長くなりませんか……?

ASCA わかります!(笑) 若い時なんて何十秒かで治っていたのに、今は5分くらいかかります。(笑)

■年齢を感じるところですよね……。ということは置いといて、今作は星がモチーフなんですよね?

ASCA そうですね。登場人物全員に生まれ持った星座があって、その星座によって使える魔法というか、特性が違うので、「星」というのが大きなテーマとしてありました。

■だから星がいっぱい散らばっているんですね。ちょっと気になったのですが、なんで星がありつつも、夜ではないのでしょうか?

ASCA よくぞ聞いてくれました!最初に思い浮かぶのって、アニメのキービジュアルのように、ちょっと夜空っぽい感じだと思うんですよね。そうなんですけど、この楽曲が持つ軽やかさだったり、明るさというものを表現したくて、夜ではなく昼で、とアートディレクターさんに伝えさせてもらいました。あと、昼なのに星が浮かんでいるというその異質さにも、ちょっと魔法を感じるかな?とか、そういった思いもありました。

■なるほど。あと、これもちょっと気になったんですけど、今回の衣装は「魔女」というよりも、「旅人」という感じですよね?

ASCA スピカの成長物語は、彼女の魔術師としての旅が始まるお話でもあるんです。私は作品を読んでいく中で、自分の人生とも重なる部分を探したのですが、「まさに私たちは、人生という名の旅をしている旅人だな」というところから、旅を連想する衣装といえば何だろう?と思い、トレンチコートを着て、ヴィンテージのトランクを持つことにしました。あと、原作の漫画にもこういうケースが登場してきたり、旅に出る時にこういうコートを着ていたんですよね。そういうところから「このコートがいいな」と思い、作品とリンクさせながら作っていきました。

■タイトルの“Cups”という単語には、さまざまな意味がありますが、今回はどういった意味で使われているのでしょうか?

ASCA これはですね、星座と星座の間の境界線のことを指しています。というのも、それぞれみなさんにも星座があるじゃないですか。私もスピカと一緒で乙女座なんですけど、(占星学では)乙女座に生まれつつも、その前後の星座に影響されると言われているんです。

■ほうほう。そうなんですね。

ASCA 例えば、乙女座の前は獅子座なんですが、獅子座って「すごく自信がある」とか、「責任感がある」という特性を持っていて。それでいて、乙女座は几帳面だったり、分析が好きだったり、真面目だったりという、相反するようで、「様々な考え方を持っているというのが人間だな」という風に思っていて。自分自身もその矛盾に苦しんだ時期があったんですけど。でも、人それぞれがいろんな要素で形成されていると思ったら、ちょっと楽になれたんです。だから、そういう矛盾がある中でも、自分が大事にしていることや、好きなこと、目標や夢というものを、ブラさずに歩いていければ大丈夫だよ……ということを伝えたくて、この“Cups”というタイトルにしました。

■タイトルは初めから指定されたのでしょうか?

ASCA まずはテーマを投げました。今って本当に情報が溢れているじゃないですか。いろんな声が聞こえてくるから、この道で合っているのかわからなくなったり、迷ったりする時があると思うけど、「確固たる自分の軸さえあれば生きていけるんだ」ということをテーマにしたいと、作詞家さんに伝えて。それで出てきた歌詞がいまのものです。タイトルも一緒に名付けていただきました。

■安直に“スピカ”とかじゃないのが、またいいですね。歌詞といえば、魔法の物語なのに、魔法っぽいフレーズがあまり出てこない気がするんです。それも意識されていたりするのでしょうか?

ASCA 歌詞には、物語に登場する要素、例えば「猫」や「星」を散りばめているんですけど、私が歌っているのは、すごく現実的であり、みなさんが生きていく上で、「このマインドを持てたら、すごく楽に生きられるんじゃないかな」ということなんです。なので、魔法という部分をたくさん抽出するより、スピカがひたむきに自分の夢を叶えるために生きているところに共鳴した歌詞になったのかもしれません。

■歌詞の中でお気に入りのフレーズはどこですか?

ASCA 「雲は猫のように 背伸びをする」みたいな、自分からは絶対に出ないような歌詞にキュンとします。もし“Cups”の歌詞を自分で書くとしたら、もうちょっとリアリティがあるというか、現実感のある言葉が増えると思うのですが、辻井りとさんの歌詞は、映像がよく浮かぶんです。「雲が猫みたいな形してるな」とか。そういった表現にすごくキュンとしますね。

■サビもいいですよね。力強く歌っているのがカッコよかったです。

ASCA ありがとうございます。まさに意識していたというか、私はこの曲のことを、基本的にバラードだと捉えて歌っているんですよ。ふくよかにちゃんと表現したいと歌っていったんですけど、やっぱりサビは解放感や、カタルシス、強さを出したくて。そこでちょっと意識を変えていたので、そう言っていただけるとすごく嬉しいです。

■曲全体としての第一印象はいかがでしたか?

ASCA 最初はデモの段階で、歌詞がまだついていなかったのですが、きっとこの曲なら言葉をシンプルに届けることができるなと思いました。メロディの一音ずつが長めなので、言葉数が自ずと減るじゃないですか。なので、伝えたいことをシンプルにして、しっかりと伝えられるなと思いました。

■歌詞が入ってからはいかがでしたか?

ASCA 前回のシングルが“Giver”という、結構難解な楽曲だったんです。それに比べて、今作は真っ直ぐで、シンプルで、誰が聴いても伝わる言葉と楽曲だなと思いました。年々、いろんなキャリアを積んでいく中で、欲が出てくるわけですよ。「もっとこういう風に歌いたい」、「もっと自分はこういう表現ができるはずだ」とかで、自分の中でも、どんどん「ASCA」のイメージが凝り固まってきていた部分があったりして。それを『28』というアルバムを出したタイミングで、少しずつ手放すことができて、手放した先でこうやって、改めて「自分の声そのものを信じて歌える」楽曲と巡り合えたことが、すごくいいタイミングだったなと思ったし、レコーディングの時も、とにかく「自分の声を信じて、自分から出てくる歌を信じて歌おう」と思って歌いました。

■メロディ的に、歌っていて気持ちいいところはどこですか?

ASCA 悩むなぁ。好きなところが多いんです。でもやっぱりサビかな。サビの2行が脳内のイメージを変えて、エネルギーを解放させるみたいな感じで歌っているので、ここになりますね。