ハルモトヒナ(Vo)、トクナガシンノスケ(Gt)、クガケンノスケ(Ba)、カワカミタイキ(Dr)
懐かしさと疾走感が融合した爽やかな夏のナンバー。
ジ・エンプティが7月8日に新曲『渚にキッス』を配信リリース。トクナガシンノスケ(Gt)が手掛けた今作は、爽やかな夏の景色とどこか懐かしい雰囲気の歌詞を疾走感あるメロディに乗せた、夏にぴったりなナンバーだ。インタビューでは先日行われた東京初ワンマンライブの思い出から、“渚にキッス”の制作過程など、深掘りしていく。
■まずは先日の東京での初ワンマンライブ『SAKURA TOUR 2026 下北沢SHELTER』の思い出から聞いていきたいと思います。MCでは「ソールドできなくて悔しい」と仰っていましたが、すごい盛り上がりだったじゃないですか。
ヒナ まぁ、でもなんていうんですかね。最初に下北沢SHELTERでライブをした時よりもう何倍も入ってくれていて、満足しちゃいけないんでしょうけど、ひとまずは「ありがとう」という感じがします。本当にソールドしているかというぐらいの熱量がありました。それもあって、手応えがすごくあるワンマンライブになりました。
■その言葉が聞けて良かったです。ライブを観て、ヒナさんほど笑顔で歌う人はなかなかいないといました。
ヒナ つい笑顔になっちゃうんですよね。やっぱりフロアのみんなが笑顔すぎて、もうキラキラしてるから。
■サウンド的には、ドラマーが制御している部分が大きいのかな?と思いました。
タイキ それは気をつけています。釣られちゃわないように。
シンノスケ このバンドはベーシストが走っちゃいがちなんですよ。(笑)
タイキ それを聴きたくなっちゃうのを抑えています。(笑)
■ギタリストよりもベーシストが暴れているバンドではありますよね。(笑) どうなんですか?ギターもホントは暴れたい?
シンノスケ 最近は落ち着き気味な気がします。落ち着いて音楽を俯瞰して演奏しようとしている感じです。あんまり意識はしていないんですけど、無我夢中になりすぎないように、どこかで冷静さを保っているのかもしれないです。
■それに対してベースはずっと暴れ回っている、と。(笑)
ケンノスケ 面白いですよね。(笑) 考えたことないんですけど……なんでだろう?
シンノスケ 音源で聴いた時の印象はもちろん、音源としていろいろ制限されているじゃないですか。だから音源を聴いた時の印象と、ライブで聴いた時の印象はかなり変わるんだと思います。
■本当にそう思います。それでは今作の新曲“渚のキッス”ですが、今回はシンノスケさんが作曲ですね。ザ・夏曲です。この曲、いい意味で「昭和の男」感があって好きです。
シンノスケ 今回は松本隆さんの歌詞をイメージしつつ、大瀧詠一さんの世界観にもめっちゃ影響を受けています。
■それは感じました。“君は天然色”っぽいですよね。シティポップ・リバイバルをやりたかったんですか?
シンノスケ 今回は自然とそうなったんですけど、でも多分、本当にそれをやりたかったんだと思います。山下達郎さんみたいな雰囲気で、バラードが合いそうな歌詞を書いて、曲は疾走感あるロックのサウンドを鳴らすというのが、僕の中のジ・エンプティの強い軸な気がしていて。それに寄り添った曲ができたかなと思っています。
■ちなみに80年代の音楽はお好きなんですか?
シンノスケ 歌謡曲とかめっちゃ大好きです。
■やっぱり好きだからこそ出てくるんですね。そして最後はちょっとセクシーに終わる、と。これは想像上の世界なんですか?それとも風景の描写なんですか?
シンノスケ 自分の中に世界観があるんです。海があって、砂浜があって……その頭の中にふわっと出て来たものを切り取って綴ったという感じです。
■でしたら情景に近い感じですよね。それで歌詞を先に読んだのですが、曲を聴いてかなりギャップを感じたんです。もっとスローでメロウなイメージでした。アイドルソングっぽいというか……でも、ジ・エンプティっぽさも意識されているんですよね?
シンノスケ そうですね。ジ・エンプティっぽさを意識しています。歌詞は完全にさっき言った通りなんですけど、曲の感じはライブをイメージしながら書きました。福岡に「TRIANGLE」というフェスがあるんですが、それがいつもビーチでやるんですよ。そこで演っている姿を想像しながら作ったところがあります。
■ジ・エンプティっぽさとは、一体なんなんでしょうか?みなさんに聞きたいです。
ケンノスケ なんだろう?リズムとかですかね?
タイキ でも特に「このバンドだから」ということを意識している叩き方はしていないですね。
ヒナ 僕が歌えばジ・エンプティですよ!(笑)
シンノスケ 確かに。ヒナが歌ったらジ・エンプティっぽさになるとは思います。
■やっぱりバンドサウンドがあって、そこでヒナさんが歌うからこそですね。
ヒナ 屋台骨をやらせてもらってます!
■楽曲の話に戻りますが、私が『渚にキッス』を「アイドルソングっぽい」と感じたのは、歌詞が女性視点だからというところもあるんです。なんで女性視点にしたのでしょうか?
シンノスケ 僕の曲は女性視点の曲がめっちゃ多いんです。“さよなら涙”でも「私」と言ったりしているんですけど、男性視点の曲を男性が歌うよりも、逆の方が面白いなと思うし、それで言うと、女性アイドルの曲も男性視点の曲が多いですよね?想像しやすいのかもしれませんね。男が「僕」と言うと、もう「僕」でしかないけど、女性が「僕」と言ったり、男性が「私」と言ったりすることで、想像力が広がるのかなと思いました。
■確かにそう感じますね。ヒナさんは女性視点の曲を歌うのは得意ですか?
ヒナ 多分、得意なんですかね?(笑) でも僕自身は歌詞の視点によって歌い方を変えることはないです。マイクの前に立った時の曲のアプローチって、僕がこう思っていても、聴いている第三者とのすり合わせがあるじゃないですか。多分、僕が思う「女性」として歌っても、女性にはなっていないというか、僕の曲じゃなくなるんです。だから、特に振り分けることはなく、今後もやっていくのかなという感じです。
■そういえば、この前の東京初ワンマンライブのお客様の男女比は1:1ほどの印象でしたね。
ヒナ 確かにそうです。だいぶ昔とは変わりましたね。昔はやっぱり女の子の方が多かったイメージでしたが、最近は先輩バンドとか、僕らが高校時代に聴いていたバンドと一緒にやることが増えて、その層というか、そのお客さんが付き始めてから、ガラっと変わったような気がします。
■それもひとつ曲が増えてきたことで変わって来たところだと思います。ところで、関東出身のインタビュアーのイメージするビーチは九十九里浜だったり、東京湾だったりするのですが、曲の中の海はもっとキラキラしていました。やっぱり(ジ・エンプティの地元である)福岡の海を想像して作られているのでしょうか?
シンノスケ 捉え方はいろいろあって、全部正解だと思うんですけど、一応作っている時は、朝方とか、夕方ぐらいの、夏の一番涼しいあたりを想像していました。でも全然、疾走感とか、爽快な感じでいうと、もうめちゃくちゃ天気が良くて、日中の夏みたいなイメージでも大丈夫です。
■それがやっぱり歌詞に出るんですよ。4分間は一瞬でした。最近の曲にしたらちょっと長尺ですが、敢えてそう作られたんですか?
シンノスケ 現代のJ-POPは展開が多いものがトレンドな気がしているんです。めちゃくちゃ売れているバンドとか、アーティストさんとかも、Aメロ、Bメロ、サビという構成なんですが、僕はCメロが好きなんです。そして最後にもう1個、Dメロという新しい展開をつけるのも必要だなと思っていたので、自然と長くなっちゃったところはあります。意図的でもあり、自然にそうなったような気もします。
■ジ・エンプティの曲としては長い方ですよね?
シンノスケ 確かに長いですね。4分は長いです。3分半でも長い方かな。
■歌詞の短さに反して、曲はちょっと長くて、ちょっと不思議な長さでした。
シンノスケ でも構成はみんなでスタジオに入りながら結構変えました。最初の構成から変えて、変えて、みたいな。セクションを入れ替えて間奏をなくしたりとか、めっちゃ試行錯誤したので、これはもう完全に編曲のおかげです。
■誰のパートが一番変わりましたか?
シンノスケ 楽器的には全部変わったんですけど、やっていること自体はあんまり変わっていなくて。でも2番のBメロのところは最後の最後に遊びだして、「サンバっぽいリズムで夏を醸しだそうや」ということになりました。(笑) それはレコーディング当日に僕が言い出して、それで歌ってもらって……みたいな感じでした。
■いいセクションでした。初めて聴いた時、「ベースに暴れどころがあるな」と思ったんです。(笑)
ケンノスケ この曲はシンノスケから送られて来た時から「俺がしたいこと詰め込みまくれるいい曲だな」と思って。俺がこの地球上で最高のベースをつける自信がありました。(笑)
シンノスケ 僕は曲を作る時に、ベースも考えたり考えなかったりするんですけど、自分が考えていたベースラインがあったとして、それと結構いい勝負をすることが多かったんです。でも、今回に至っては予想を超えてきました。僕の想定していたベースラインの何十倍もいいものを作ってくれたから、「お前ようこれ作ったね!」みたいになりました。
ケンノスケ 2番のBメロのところとか、聴いた事もないリズムだったので、あんまり馴染みがないから鬼練習しています。こういうジャズみたいな曲もプライベートではよく聴いていて。なるほどな、諦めたくないなと思って、ちゃんと弾くつもりです。多分この曲は、少しぐらいは動くかも。でも結構冷静にやれるかもしれません。
■そうですよね。結構難しいですよね。ちなみにこのイントロは一瞬で、アウトロやソロがちょっと長めなのはこだわりポイントですか?
シンノスケ そうです。やっぱりそれもライブのことを想像していたら、急にバッと始まる方がいいなと思ったんです。でも間奏ではちゃんとやりたいメロディがあったので、しっかりと入れてみました。






