初のバンドセットツアー、ファイナルで見せた5人5色の華。
秋も深まる10月16日、金曜日を迎えた都心の夜。MADKIDが東名阪を巡るツアー『MADKID LIVE TOUR 2026 –UNBROKEN CHAIN-』のファイナル公演を渋谷CLUB QUATTROで開催した。激しいBGMが満員の会場を盛り上げる中、バックバンドを務める流田Projectと共に、黒にチェーンの銀が映える衣装で登場したMADKIDは、めまいがするような照明の点滅の中、開幕から“Bring Back”でフロアを盛大に沸かせる。大歓声の中で「ツアーファイナル、ぶち上げて行くぞー!」の咆哮がとどろき、5人は狭すぎる舞台を悠然と歩んだ。勢いもそのままにダークな“Chaser”へ流れ込めば、YOU-TAの熱血漢そのものな歌声が汗と共に流れ出てくる。身体を前後に揺らす象徴的なダンスに、LINのダーティなラップが畳み掛ける“Get Started”、ステージの上で気品を漂わせるKAƵUKI。SHINは輝く笑顔のもとでバンドの大音量をも貫く声量を響かせる。“HYPE”では繰り出されるYUKIの高速のラップにフロアが応えてブレスレットライトがきらめいた。

ここで一度「みなさん調子はどうですか~?!」と自己紹介と流田Projectの紹介を挟む5人。SHINが3方向に「ハァイ~?」と言ったので、LINもそれに倣い、YUKIは「1回やってみたかった」とバンドサウンドのもとでマイケルジャクソンの代表曲のフレーズでステップを披露、「日本は初めてなんですけど、頑張って日本語を話していきます」と冗談を言う。さらにKAƵUKIもその真似をする……が、ちょっとキマらない。他の4人がコミカルな自己紹介をする中で期待がかかったYOU-TAは、「もう出尽くしたよ!」と言いつつも、アドリブのビートのもとラップで「俺は今日誰よりもこの場所で熱くなる男だー!」と叫んで〆た。「OK!それじゃこのまま盛り上がって行こうぜ」の言葉の通り、猛々しいサウンドの中で始まる“FAITH”。KAƵUKIの歌声は清涼剤めいて、各々の存在を証明するかの如きステップの中に刻み込まれていく。明るい曲調の中に鋭く視線を合わせた“Last Climber”に、振付の解釈の多様性が映える“CHANGE”。彼らが振りを微細な角度まで合わせないのは、多様性の表れというよりも「その必要が無いから」に思える。5人は5人それぞれであって、MADKIDに所属していても「同じ」である必要は無い。だからこそ5人は5色の花束のように咲く。

“konayuki”では柔らかく宙を掴み、冷たさを感じさせる詞とは対照的に、ステージからの熱でフロアを燃やし尽くすMADKID。KAƵUKIの「僕が初めてメインヴォーカルを務めた曲を歌います」との言葉で歌い出される“ふたつのことば”では、明るく華やかな歌声が優しく降り積もっていった。ここでライブは「俺たちよりも流田さんたちの方が大変」という言葉がごもっともなリクエスト即興ソングコーナーへ。2手のチームに分かれ、観客から募集した曲を即興で歌うというこのコーナー。様々な楽曲の名前が挙げられた中、YOU-TAとLINチームは「今日はFLOWのTAKEさんが観に来てくれてるんですよ」と、FLOWの“GO!!!”を選ぶ。世代を直撃する名曲に熱狂する観客。歌割りやコーラスも完璧だ。2曲目のYUKI、KAZUKI、SHINチームは、拍手の大きさでの投票でM!LKの大ヒット中の曲“好きすぎて滅!”を歌う。バンドバージョンでの貴重な披露となった。最後は全員で「すっごく迷ったんですけど……」と言いながら、いろいろと挙げられた曲の中からアニメ『デジモンアドベンチャー』のオープニング主題歌“Butter-Fly”を熱唱した。

続けてそのバトンを受け継ぐように、アニメ『DIGIMON BEATBREAK』のオープニング主題歌“Mad Pulse”で音楽の波を繰り出した。“Fight It Out”ではLINの煽りがドラムを炸裂させて、満員のフロアが腕を振る。重低音の振動はもはや地鳴りの様相だ。それを突き抜ける歌声は、彼らの夢の象徴でもある。青い輝きの中に立ち上がり歌うのは“Resolution”。この会場はMADKIDには狭すぎるが、髪を掻き上げる仕草、汗の散るステージ、表情の微細な変化の全てが見える。一気に雰囲気を変えて明るくなる“FLY”のエモーショナルなフックで笑顔に染まる表情、マイクさばき。それがはっきり見えるのも、この会場ならではだ。13曲を終え、「夢のような時間です」と語るYOU-TAは、集まってくれた観客や、タイアップを通じて様々なことを経験させてもらったことへの感謝、そしてアニメのプロデューサーから直接タイアップの声がかかった特別なことへの喜びを話す。そして「俺たちとみんなでこの曲を完成させましょう」と、“Unbroken”を繊細な歌声で丁寧に積み上げていく。それは感謝の想いの表れであり、観客席からの声が重なって、目の前で楽曲が完成されていく様はひとつの巨大な星が生まれていくようにも見えた。「次の曲が最後です。みんなで歌おうぜ、“RISE”!」余韻に浸る暇も与えず、轟音が皮膚をくすぐる中でMADKIDは躍動する。巨大なコーラスに「ありがとう!」と呟くYOU-TA。観客のジャンプが床を揺らし、コールが空気を震わせる。そんな中で、MADKIDは舞台を後にした。

アンコールの声に呼ばれ、刺繍の入った黒いジャケット姿で再登場した5人は、SHINがドラムを叩く中、“No border”で観客の期待に応える。そして「今年僕らが頑張ったことと言えば何だと思いますか?」、「そう!ボンバラマンですよみなさん!」と、5人は次曲を予告。TikTok投稿やYouTubeなどでひとりでも多くの人にMADKIDを知ってもらうために頑張った施策を振り返りつつ、期待の“ボンバラマン”を披露。このツアーやリリースイベントで初披露となったであろうこの曲だが、その集大成とも言えるパフォーマンスに観客のテンションはMAX。YUKIの「上等じゃん?わちゃわちゃ騒げ」には悲鳴が上がった。コミカルなこの曲ではあるが、ライブになると5人の個性が爆発する。最後までボルテージは上がり切ったまま、束の間の時間が過ぎていく。そのまま“Play”を歌えば、回転するブレスレットの中で曲も転がり続ける。全てを歌う勢いでステージにレスポンスを贈るオーディエンスは、絶叫するメンバーに絶叫を返した。そして初めてバンドセットで巡ったツアーも、次の曲でラストを迎える。ここでメンバーひとりひとりが語るのは、言葉は違えど感謝の感情とメンバーへの想い、そして挑戦への決意だった。KAƵUKIは今日が誕生日だという自身の姉へカメラに向かって手を振る。YOU-TAの「グループは脆いもの」という言葉が染み渡る夜。それでもMADKIDの5人がここに立っていることは、5人が重ねたひとつひとつの「必然」なのだろう。そのことを明らかにする“We Go”で、ライブは終わっていく。どこまでも飛んでいけるステップが広がっていく、それを確信させてくれる歌声。聴き入るファンの姿に、「東京公演、本当に本当にありがとうございました。また会おう!」の声。写真撮影を終えて「MADKID forever!」から、エンディングで流れていた“Unbroken”をワンコーラス歌い、5人は余韻をたっぷり残して舞台から去っていった。

Text:安藤さやか
Photo:長島忠
『MADKID LIVE TOUR 2026 –UNBROKEN CHAIN-』@渋谷CLUB QUATTRO セットリスト
01.Bring Back
02.Chaser
03.Get Started
04.HYPE
05.FAITH
06.Last Climber
07.CHANGE
08.konayuki
09.ふたつのことば
アンケートソング01.GO!!!
アンケートソング02.好きすぎて滅!
アンケートソング03.Butter-Fly
10.Mad Pulse
11.Fight It Out
12.Resolution
13.FLY
14.Unbroken
15.RISE
ENCORE
01.No border
02.ボンバラマン
03.Play
04.We Go







