足立佳奈 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

足立佳奈『ノーメイク』

■本当はそうなりたかったわけではなく?

足立 それは漠然と想像していただけというか。なりたいという強い意志があったら、そこに向かっていたと思うんです。

■なるほど。先ほど言い聞かせる方の意味が強いと言われましたけど、そんなにネガティブな感じではないんですね。

足立 そうですね。これが私の人生で、なるようになるな、これからだしなって。希望もたくさんあると思うので、マイナスな意味ではないです。

■曲名の“ノーメイク”という言葉は、歌詞には出てこないですけど、どういう意味を込めたんですか?

足立 この曲の主人公は女性なんですけど、心の中ではいろいろ言いたいことだったり、欲だったり、悩みだったりもある。だけど、一歩外に出てお仕事に行った時は、それを見せずにガードして、しっかりした女性に見られるように努力していて。それってメイクをしている時と、していない時の差にすごく似ているなと思ったんです。

■足立さん自身も、外に出ると気を張っちゃうタイプなんですか?

足立 ひとりでいる時はすごく気を張ります。私は焼き鳥が好きで、コロナ前はひとりで焼き鳥屋さんに行くくらいだったんです。その時はお酒も少し飲むんですけど、何が起こるかわからないし、しっかりしなきゃと気を張っていましたね。友達と一緒にいる時はまた全然違うんですけど。

■そうなんですね。本題よりも、ひとりで焼き鳥屋に行っていたことにビックリしましたけど。(笑)

足立 ははは。(笑) コロナが落ち着いたらまた行きたいです。

■カップリング曲の“タラレバ”についても聞きたいんですけど、これはダメな自分を変えたいという曲ですよね。全国専門学校広報研究会のCMソングということですけど、これも書き下ろしになるんですか?

足立 はい。専門学校ということで、「同世代の方に伝えられることはなんだろう」と思った時に、まずは自分がしっかりしないといけない、自分を鼓舞する応援ソングができたらいいなと思ったんです。私は二十歳の誕生日を迎える時に、「大人になろう」って決意したんですけど、実際は全然変われていなくて、毎日いろんな後悔の積み重ねがあるので、その部分を書いてみました。

■自分がダメだなと思うことがあるんですか?

足立 あります。1番の歌詞に「食べかけのたまごサンド/脱ぎかけの服山積み」ってあるんですけど、朝出かける前は1分1秒を争うじゃないですか。でも、なぜか「私ならいける」と思って、1分くらいテレビをぼーっと見てしまったり、外を眺めたりしちゃうんです。それでコンビニのサンドイッチとかって、だいたい2個入りとかだと思うんですけど、その1分ぼーっとしたせいで、1個食べられないまま家を出て、帰ってきたらカピカピになっていて。その1分があれば、ラップにくるんでしまうことができたんですよ。

■あー、すごくわかります。

足立 服も朝の気分で決めようとするから、着ては脱いでを繰り返して、そのまま家を出て、帰ってきたら「朝のやつだ」と思って、またしまうっていう。何事も余裕のある時にしなきゃと思うんですけど、いつも謎の余裕で「私ならいける」と思って、つい後回しにしちゃうんですよね。それをそろそろ抜け出したい、抜け出さなきゃという気持ちでこの曲を作りました。

■そこから抜け出すための方法は、自分の中であるんですか?

足立 抜け出すための方法というよりは、まだこの自分に満足しているんだな、だから変わろうとしないんだなって思うんです。

■心当たりがありすぎてグサッときます。(笑)

足立 でも、きっかけがあると思うんですよ。恋だったり、誰かの言葉だったり、ニュースで流れた何かの事件だったり。そういう自分の心を動かすきっかけを待つことも大事なのかなって。最後で「きっときっとなりたい自分に/なれる日がくるから」と歌っているんですけど、何か変わろうとしてもがくというよりは、その時期を待つというか。絶対にターニングポイントがあると思うんです。

■そういう意味では、ちょうど進学を考えている人たちにとって、この曲が自分を変えるきっかけになるといいですね。

足立 そうですね。あとは曲を作る上で、誰かの心に寄り添いたいと思っていて。もしかしたらみんなが思っていることをこうやって言葉にするだけでも、「自分の気持ちを出してくれてスッキリしたな」と感じる人もいると思うんです。カッコつけるばかりで、ダメな自分を表に出せず、悩みを打ち明けられない人もきっといると思うんですよね。私自身がそうなので。

■僕も最近、ダメな自分を肯定して欲しくなることが増えたんですけど、この曲で救われる人もいるんじゃないかと思います。今回の2曲を聴いた人には、どんなことを感じて欲しいですか?

足立 いつも聴いてくれている、ライブに来てくれている方は、近い世代が多いんですけど、今回の曲を聴いたら、きっと未来を想像すると思うんです。こういう未来になるように過ごすのか、こうなりたくないと思って反面教師とするのか、一緒に考えながら成長していけるのかなと思うと楽しみなんです。もちろん違う世代の方や、今まで私のことを知らなかった方にも、共感してもらえたらいいなと思いますし、聴かれる方の層によって曲のあり方も変わってくると思うので、上手く使ってもらえたら嬉しいですね。

Interview & Text:タナカヒロシ

PROFILE
岐阜県海津市出身のシンガーソングライター。2014年、LINE×SONY MUSICオーディションで12万5094人の中からグランプリを獲得し、2017年8月メジャーデビュー。Twitter・Instagram・TikTokなどのSNSフォロワーが計130万を超えるなど若者から幅広い支持を得ている。2021年2月3日には配信シングル『まちぼうけ』をリリースし、2月12日からは全国8か所をまわる「ADACHI KANA LIVE TOUR 2021~ Dear. ~」を開催。3月27日にはwacciとの初コラボ楽曲『キミとなら』を配信リリース。さらに4月7日にはテレビ東京系 ドラマParavi「理想のオトコ」オープニングテーマとなる新曲『ノーメイク』を配信リリース。
https://www.adachikana.com/
LINE Blog:http://lineblog.me/adachikana/ 
Twitter:https://twitter.com/kana1014lm 
Instagram:https://www.instagram.com/p/BQx5OIVj4vi/ 
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UChthsNDWnGTCsAJSY-yGSyg

RELEASE
『ノーメイク』

SME Records
4月7日 ON SALE