ツアーファイナルで響かせた激しくも愛のあるサウンド。
Age Factoryが『RE:EVERYNIGHT RELEASE TOUR 2022 』THE FINAL NIGHTを9月27日(火)に、渋谷CLUB QUATTROにて行った。2020年4月にリリースしたアルバム『EVERYNIGHT』を提げた全国ツアーをリブート(再起動)するというコンセプトで、今年6月から開催されていたツアーのファイナルである本公演。そんなコンセプトに沿って、この日はライブ前半の9曲をすべて『EVERYNIGHT』の楽曲で固めるという、アルバム曲を届けるという気概に満ちたセットリストで展開された。
重々しさのある西口直人(Ba)のベースの音色が、清水英介(Vo&Gt)の軽やかなギターカッティングとともに鳴らされる“Dance all night my friends”でライブをスタートさせると、「この曲が聴こえたら、仲間だ!」という前置きから“HIGH WAY BEACH”へと続く。力強い増子央人(Dr&Cho)のビートとバンドサウンドから繰り出されるメロディは、オーディエンスを熱狂の渦に包み込み、どことなく団結力に似た一体感を感じさせる。ラウドなバンドサウンドとハスキーな歌声という迫力ある音色が会場に響く中、レスポールの甘く柔らかさのある音が存在感を放つ様子は、彼らが持ち合わせる愛などの温かい感情を連想させた。序盤に熱狂を作り上げた後は、“Merry go round”、“Peace”と、時折叫ぶように声を絞りながら幻想的な景色を見せていく。
“Easy”では曲名通り小難しいテクニックを削ぎ落としたシンプルなプレイで、ほとばしる感情をストレートに伝えると、オーディエンスも呼応するように熱を増していく。“CLOSE EYE”、“Kill Me”では引き続き会場を昂らせながらも、「2020年 もう形に意味はなくなり 新しい人の時代 僕らはどうしたい」、「目を閉じろ」と、自分との対話を促すような強烈な歌詞を投げかけた。“1994”を披露した後、「このアルバムだけじゃないけど、俺らの作ったものを愛してくれてありがとう。コロナで時間が潰された面もあるけど、それがきっかけでAge Factoryのことを聴いてくれるようになった人もいたと思う。聴いてくれる人全員のことを愛したいから、全部早く自由になればいいなって思います」と、素直な感情を語った清水。リスナーが注ぐ愛、リスナーに注ぐ愛、そして自由への衝動。そんなシンプルな気持ちがステージ上のみならず、この会場全体に溢れていたのがこの日のライブであった。彼が語ったストレートな気持ちや、思い切り鳴らされる歪んだサウンド、そして叫ぶような歌声が、清水が口にした自由や目の前にいる人への愛といった本能的な衝動を思い起こさせる。それがオーディエンスにも伝播し、各々が感じるままに身体を動かし、飛び跳ねるという素直で風通しのいいライブを作り上げていた。
どこかドラマチックで温かく、増子と西口が奏でる鼓動のようなリズムが生命力溢れる“nothing anymore”を演奏した後は、“OVER”、“Sleep under star”と、これまでの楽曲を織り交ぜながらライブの後半へ。エネルギッシュな演奏が言葉の熱をそのままの温度感で届けていく。彼らのライブは楽曲の繋ぎも秀逸で、ときに静かで、ときに熱量を次の楽曲まで運ぶようなギターやドラムの演奏が、より楽曲への没入を誘っていた。少しゆったりとした繋ぎを経て“Light off”、「みんながいるからできていて、俺らだけじゃなんもできなくて。それでこの曲を書きました」と“First day song”へ。歌詞をじっくりと聴かせるように歌い上げていく。「俺は音楽に救われているし、みんなを救えたらって思っています。新しいアルバムも作るし、また会いに来ます」そう話して演奏した“Blink”は、感情の機微を表すようなテンポの変化が有機的だ。「最高な瞬間も一番嫌な瞬間も全部見せて」と、清々しささえ感じる勢いのある演奏の“TONBO”に続くと、その言葉に応えるようにオーディエンスは拳を突き上げた。
「今日はすごい楽しかった。いい日だ、ありがとう」としみじみと口にした清水は、「俺の青春なんですよ、このアルバム。今日演れてよかった。全部忘れないために今日で終わらせる。また会おう」と、ここまでで唯一披露していなかったアルバム曲“Everynight”へ。ライブという時間の儚さと青春の刹那を対応させるかのように演奏した熱く衝動的なサウンド。儚いものに全力で向き合う姿を見せたようであった。アンコールでは“GOLD”、“See you in my dream”を披露。12月に大阪と川崎でワンマンライブを行うとの発表もあり、さらに多くの人々にその生々しい音とそれが生み出す熱を共有していくであろうAge Factory。感情に訴えかけるような、心揺さぶられるような衝動を覚えたライブであった。
Text:村上麗奈
Photo:Kazuma Kobayashi
『RE:EVERYNIGHT RELEASE TOUR 2022』@渋谷CLUB QUATTRO セットリスト
01. Dance all night my friends
02. HIGH WAY BEACH
03. Merry go round
04. Peace
05. Easy
06. CLOSE EYE
07. Kill Me
08. 1994
09. nothing anymore
10. OVER
11. SKY
12. Sleep under star
13. Say no more
14. Light off
15. First day song
16. Blink
17. TONBO
18. Feel like shit today
19. Everynight
ENCORE
01. GOLD
02. See you in my dream