ALI VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■今作はみなさんの音楽への愚直さがすごく伝わってくるアルバムだなと思っていて。どういった部分からそういうのが滲み出ていると思いますか?

LEO この3人は本当に過酷なタフな環境の中で生き残った精鋭たちで、サポートメンバーも音楽が本当に好きな人たちしか残っていなくて。そういう人たちとやっていくのが正解だなっていうことに気づいたんですよ。辞めていった奴とかはやっぱりしょうもないんで。ピュアで馬鹿なやつだけが残っているっていうことですかね。(笑) それで良いと思います。

■そういうことが精査されたという意味でも、約半年間の謹慎期間は、理由はよくなかったにせよ、今振り返ってみるといい方に作用した部分もあるんですか?

LEO めちゃくちゃありますね。ドラムのBOBOさんとか、いろんな人に出会えたり、中村達也さんと一緒にやれたり、曲を作る時間もありましたし。天狗だった部分っていうか、なんとなくノリでいってた部分がなくなって、もう1回バンドを作り直してデビューするみたいな気持ちでした。そういった意味ではすごくタフになりましたね。でもここからですけどね、結果を出していかなきゃいけないので。

■あとは今回、山下達郎さんの“SPARKLE”をカバーしているじゃないですか。どうしてこれをカバーしようと?

LEO 『MUSIC WORLD』の中で、「どうやったらメイドインジャパンを表現できるんだろう?」と思ったんですよね。この曲はハワイのGREENWOODっていうバンドがこの英語の歌詞でカバーしているんですよ。でも当時、許可を取りに行ったら駄目で、結局出なかったらしいんです。そうしたら2000年を越えたあたりで、DJ MUROさんがハワイAORってジャンルでそれを発掘して、それがすごい話題になったんですよね。それを俺らも知っていて、今回は俺らも達郎さんのカバーやりたいと思った時に、達郎さんのカバーって原曲に忠実にやる人が多いと思うんですけど「跡形もないくらい壊したろう」と思って。(笑) なおかつ、GREENWOODが駄目って言われたこの歌詞でやりたいって言って。絶対に無理だろうと思って日本語で歌う準備をしていたら、まさかのOKが出たんですよ。音楽をやっていて、ある土地でカルチャーが生まれて、それが違うところに行って、もう一回返ってくることってすごく大事だと思っているんですけど、今回はそれができた。日本で生まれた曲がハワイでカバーされて発見されて、その歌詞を使って日本でカバーするっていう循環が生まれているんですよね。アレンジも含めてすごく気に入っています。

■面白いですね。最後の曲“(BUT)WONDERFUL”についてはいかがでしょう?

LEO “But Beautiful”ってジャズの曲にあるんですけど、これに掛けていて。誰にもわからないかもしれないですけど。(笑) この世界を描いた結構ハードなリリックの曲も多いんですけど、やっぱり最後は「それでも美しい」というか。ポジティブに素直にちゃんと伝えたかった。「MUSIC WORLD is wonderful」みたいな気持ちです。

■すごくバラエティー豊かなアルバムだなと思ったんですが、いろんな魅力があった上でALIというバンドのアイデンティティってどういうものだと思いますか?

LEO そこに関してはもう『MUSIC WORLD』に全部込めましたね。これを聴いてもらえばALIは全部分かるだろうと思います。全部が込められているから、20年後に聴いてもフレッシュでしょうし。あとは『MUSIC WORLD2、3』って作っていけばいいと思っていたんですけど、早速次はディスコオンリーのコンセプトアルバムを作りたいとか、そういうやる気が出てきて。あるあるなんですけど、今回の作品よりも「また次こういうことやんなきゃ」っていうことに今は頭が支配されているので、幸せですね。

■やっぱりそれは一旦今作で土台というか、今の全てを出しつくしたみたいな気持ちもあるから、いろいろ思い浮かんだりもするんですかね?

LEO そうですね。2週間くらいはすごくへこんだんですよ。もう死ぬのかなって本当に思うぐらい燃え尽きたというか。外国の人って、アルバムを作って2年くらい空けることも多いじゃないですか。その気持ちが超わかりましたね。(笑) このアルバムで2年ぐらいライブやりたいもんって。でも幸せなことに次、次って求められていて。もう無理かもと思ったけど、泉は全然湧いていたので、今は次に向けてやっています。

■来月にはリリースツアーも予定されていますが、1ヵ月後に控えてみて、今の思いはどうですか?

LEO 去年の年末、忘年会の時に昔からの友達の松田翔太くんと会って、その時にいろんな話をしたんですけど、「この先は何を一番大事にして生きていくべきか」っていう話になった時に、やっぱりライブに来てくれている人たちが一番俺らにとっての聖域っていうか、それは絶対忘れちゃいけないことだよねっていう結論に至って。全然音楽をやっていない翔太とそれを確認しあったんですよ。(笑) だから俺らは芸能界への憧れとか、有名になりたいっていう気持ちもあるけど、それは何のためかって言えば、みんなにライブに来てもらうため。これは俺が決めたことというか、この先一生ブレちゃいけないことの一つで。それがよりしっかりわかってきたし、より真摯にやるべきだなと。だから、本当にもっと来て欲しい。そのためにはより一層いろんなことを頑張ろうと思います。

■今作のリリースツアーということで、収録曲たちの見せ方も考えていっている段階ですか?

LEO そうですね……。正直な話、ライブって何分くらいが好きですか?ちなみにブルーノ・マーズは70分くらいだったんですよ。

■私は90分くらいがちょうど良いですかね。

LEO なるほど。70分くらいにしたいんですよ。70分やって、アンコール10分で終わり。でも今回のアルバムは75分あるんですよ。(笑) そこだけめちゃくちゃ悩んでいて。初めてのアルバムリリースツアーなので、初めてすぎてちょっと戸惑っているというか。ライブを盛り上げればいい時はカバーもやったり、曲を知らなくても盛り上がれて、ALIを伝えられるものをやるんですけど、今回はリリースツアーなんですよね……。慣れていないので分からなくて。だから一生懸命考えているところです。

■今後の活動についての意気込み、展望を教えてください。

LEO やっぱり仕事とか、派手なことが多いと満足しやすいんですよ、現状って。だから慢心することなく、常にタフに3人で笑い合っていたいなと。あとラジオもやりたいですね。結構俺らにとって重要な心のよりどころになりそうだと思いますし、なんかわちゃわちゃ喋っているのが評判良くて。各々慢心することなく、高め合いながら頑張るしかないのかなと思います。

Interview & Text:村上麗奈

PROFILE
リーダーのLEO(Vo)を中心とした全員ハーフの多国籍バンド。東京/渋谷発。FUNK、SOUL、JAZZ、LATINなどのルーツミュージックをベースにHIP HOP、ROCK、SKAなどをミックスしたクロスオーバーな音楽性で注目を集めている。TVアニメ「呪術廻戦」第一期EDテーマの『LOST IN PARADISE feat. AKLO』が、日本のみならず世界的バイラルヒットとなった。
https://alienlibertyinternational.com/

RELEASE
『MUSIC WORLD』

初回生産限定盤(CD+BD)
SRCL-12317
¥5,000(tax in)

通常盤(CD)
SRCL-12319
¥3,000(tax in)

https://smr.lnk.to/62t3NE

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1月25日 ON SALE