anzu VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■あの女性の踊りがめっちゃシュールで、強烈なインパクトを与えますよね。

anzu よく出てくる変な肩の動きをするイラストの女性の動きは、本当に恥ずかしい告白になるんですけど、私が実際に自分でやった動きでした。

■えっ、どういうことですか?

anzu 最初に自分自身がイラストの女性のような動きを実際に動いて映像で撮影して、その動きをスクショしてトレースし、あの動き通りのイラストを作って動かしました。

■ということは、あの動きの原型はanzuさん自身…ということですよね?

anzu そういうことになります。人が実際に踊っている動きをトレースした方がリアルに動いている感が出るかなと思ってやったことですけど、元となる動画を一人で撮影している時は、「私、一体何をやっているんだろう……?」と何度も思っていました。(笑)

■そのインパクトの強い楽曲を挟み、再びアンビエンス/チル色の強い“紺青”に曲は進みます。

anzu アコースティックギターの音色に誘われるように歌いだす曲なんですけど、この楽曲では自分の根底にあるスタイルを形にしています。いわゆる弾き語りした演奏に、エレクトロの要素も加え、いい雰囲気で作りあげることができました。この曲では、印象深いギターのリフも心がけました。

■想像する余地を大きく広げたといいますか、“紺青”ではだいぶ言葉数も絞って思いを伝えていますよね?

anzu かなり絞りました。この曲自体、歌曲というよりは、映像を音にしたような感覚で作りあげています。だから、聴いてくださる方々にも言葉と歌声、サウンドからイメージを広げ、いろんな風に想像を巡らせてもらえたらなと思います。

■最後は“スニークプレビュー”です。これは「試写会」という意味ですか?

anzu 「覆面試写会」という意味です。楽曲を作り上げた時に、フッと「スニークプレビュー」という言葉が頭の中をよぎったことから、その言葉を元に歌詞を広げました。「覆面試写会」というのは、どんな作品が上映されるのかも、誰が役者として出演しているのかも、どんな物語なのかもまったくわからない、何も情報がない中で映画を観ていただき、観終えた時の素直な反応や感想を求めていく試写会のことで。自分の人生もまた、これから誰と出会うのか、出会っても別れてしまうのかなど、予測もつかないものじゃないですか。そういう恋愛模様や人生の物語も「スニークプレビュー」みたいなものだと思ったことから、この歌を表現しました。だから“スニークプレビュー”では、人の人生を映画に例えながら書いています。

■今作『Bedroom Pop』へ収録したのは、どれも想像や想いを膨らませる曲たちばかりですよね。

anzu そう感じていただけたら嬉しいですね。やはり作品を作る以上は、みなさんにも楽しんで聴いていただきたいからこそ、そうやって想いを巡らせてもらえるのはすごく嬉しいです。

■タイトルにも記していますが、anzuさんは、これからも「Bedroom Pop」と名付けた音楽を表現し続けていこうとしているわけですよね?

anzu そうですね。私の作りたい「Bedroom Pop」という音楽は、ゆったりとした、でもちょっと寒そうな音楽性であること。それこそ、静かな夜の空間の中、寝室でゆったりとした気持ちで聴ける音楽を私は求めたいし、そういう曲たちを1枚に集約したのが、この『Bedroom Pop』です。

■完成した『Bedroom Pop』、今のanzuさんにとってどんな意味を持った1枚になりましたか?

anzu 今回は「Bedroom Pop」という明確な音楽性を目指して作り上げた1枚なので、ベッドの上や寝室でゆったり落ち着きながら聴ける作品が作れたと感じています。だからこそ、みなさんにも寝室のようなリラックスした部屋や布団に入りながら聴いていただけたら嬉しく思います。

■anzuさんはDIYアーティストでもあるように、すべてを自分でクリエイトすることを大切にしている方ですが、今回のジャケットも自ら制作したんですか?

anzu ジャケットの絵も、デザインも、全部自分で手がけました。この絵に登場しているのは豚がモチーフになった動物です。この動物の表情が、寂しい感じなど、いろんな複雑な感情を隠し持っているようにも見えてきます。そこにも、いろんな想いを詰め込んだ『Bedroom Pop』の曲たちと掛け合わせて表現しています。

■最後に読者にひと言メッセージをお願いします。

anzu まさに今作は『Bedroom Pop』という言葉に相応しい作品になりました。音楽性面での振れ幅もあるように、みなさんのいろんな夜に合う1曲が、ここから見つかれば嬉しいと思います。ぜひ聴いてみてください。

Interview & Text:長澤智典

PROFILE
anzu(アンズ)河合杏林のソロユニット。音楽だけではなく、ジャケットのアートワークや動画制作等、さまざまな表現で自ら手掛けるDIY系ミュージシャン。2016年末からソロユニットanzuとして活動開始。エレクトロニカとアコースティックが融合したサウンドと独特のチルボイスで、日常の中の移りゆく景色や生活していく中ですれ違う小さな傷、日々の機微などを紡いでいく。2021年12月22日、徳間ジャパンコミュニケーションズよりメジャーデビュー。
https://www.anzunooto.jp/

RELEASE
『Bedroom Pop』

デジタル配信ミニアルバム
https://tjc.lnk.to/gXL0XW8d

徳間ジャパンコミュニケーションズ
4月13日 ON SALE