Milli(Vocal&Piano&Lylic)、Ayaka(Bass&Whisper&Lylic)、GINA(Guitar&Roaring sound)、emyu:(Violin&Scratching noise)
新たなる扉を開く、囁きと轟音であなたを揺らす音楽。
囁揺的音楽集団AsMR(しょうようてきおんがくしゅうだんあずまー)が、9月30日に2ndアルバム『GATE OF NO RETURN』をリリース。ピアノ、ヴァイオリン、ベース、ギターという珍しい編成を持ち、ヴォーカルと声優による囁き、轟音、ノイズ、歪みなどの音で新たな音楽を作り出していっている囁揺的音楽集団AsMR。今作にもボードゲームのキャラクターのイメージソングや、ゲームや舞台、小説のテーマソングなど、あらゆる音楽が収録されている。インタビューでは、Milli、Ayaka、GINA、emyu:の4人に、音楽的ルーツから、今作の制作までいろいろと話を訊いた。
■まずは自己紹介がわりに、音楽に目覚めたきっかけを教えてください。
GINA Guitar&Roaring soundのGINAです。ちっちゃい頃から親が家でカーペンダーズなどの洋楽を流していて、それを聴いていたので馴染みはあったんです。その後、音楽に目覚めたのには2段階あって、1段階目が小学生の頃、世の中に「エンタメ」というものがあることに気付いたことです。物心がついた感じですね。そこからテレビの音楽番組を観るようになって、音楽って面白いんだと思うようになり、音楽番組を一日中家で流すようになったのが1段階目です。2段階目は、小学生くらいの頃、すごく大きな会場で、「わーっ!」と歓声を浴びながら楽器を演奏しているアーティストの姿を見たときです。その姿に憧れて、「これやりたい!」と思ったのが、バンドをやりたいと思ったというか、楽器を演奏する人になりたいと強く思ったきっかけです。ヴィジュアル系バンドが大好きで、そんな映像をたくさん見ていました。
Ayaka Bass&WhisperのAyakaです。AsMRでは楽曲を「IMPULSE」と呼んでいて、コーラスだったり、語りだったり、そういうのも入っているんですが、その中のウィスパーを担当させてもらっています。自分は声優の仕事もしているので、それを活かした声をたくさん入れています。音楽に目覚めたきっかけは、私はちっちゃい頃から、自分が声優をやっているのもそうなんですけど、アニメや漫画がすごく好きで、アニソンをよく聴いていたんです。初めて買ったCDは、筋肉少女帯の『踊る赤ちゃん人間』でした。あれも『N・H・Kにようこそ!』というアニメの曲だったのですが、すごく衝撃的でした。
■あの頃の筋肉少女帯は、よくアニソンを歌っていましたよね。(笑)
Ayaka 家族も聖飢魔IIとか、SEX MACHINEGUNSとかが好きで、「こういう音楽もあるんだ」と。(笑) そこからいろいろ好きになっていきました。楽器との出会いで言うと、小学生くらいの頃に初めて出会ったのがトロンボーンでした。だから、低音楽器が好きなんだなというのが自分の中でもあって。自分で初めて買った楽器はアコギなんですが、全然弾けなくて。やっぱりバンドをやるなら自分はベースをやりたいと思いました。まさか自分がバンドをやるとは思っていなかったんですが、高校生の時に、タバコの匂いがするようなライブハウスに初めて行って、そこで爆音を浴びたのが衝撃的だったことを覚えています。それが忘れられなくて今もバンド活動をやっているのかなと思います。
Milli Vocal&Pianoをしています、Milliと申します。3歳頃から音楽教室に通っていて、音楽高校、音楽大学でもずっとクラシックピアノをやっていたので、目覚めたというよりも、そんな意識がないですね……。(笑) 好きでやってきたんですけど、ずっと身近に音楽があって、ピアノがあって、歌うことも大好きでというのは、何かがきっかけであったわけではないです。音大って就職する人が少なくて、留学したり、学校の先生になったり、楽器の先生になったりする人はいるんですが、私はポップスだったり、ジャンルはわからないけれど、クラシックじゃない音楽をやってみたいと思っていました。それで食べていこうとまでは考えていなかったのですが、今はここでチャレンジしている状態です。
emyu: Violin&Scratching noise担当のemyu:です。私もMilliと一緒で、小さい時から音楽をずっとやっていて、母親がヴァイオリニストで、家でヴァイオリン教室をやっていた関係で楽器を始めました。母は近所の子供を対象に教えていて、子育てよりも教える方を一生懸命にやっていたんです。そんな母と遊びたくて、寂しくてしょうがなくて、どうしたらお母さんの気を引けるのかと思った時に、ヴァイオリンを触り始めたら、母が嬉々として接してくれて、そこから母の鬼の訓練が始まりました。(笑)
■ご経歴を拝見すると、すごい方に師事されていらっしゃいますよね?
emyu: 縁があっていろいろな先生方から習うことができました。クラシック音楽をやっている子供たちで、毎年10人だけを選抜してアメリカに送り、1ヶ月間演奏旅行をさせるというものがあるんですが、中学生の頃にそれに選んでいただくことができて、アメリカへ行きました。もっとアメリカで音楽をやりたいなと思い、大学はアメリカの学校に行ったのですが、練習のしすぎで腱鞘炎がひどくなり、大きな袋みたいなものが右手首の中にできてしまって……。アメリカだと医療費が高いので、日本に帰国して手術を受け、リハビリをして、その間の2年間くらいヴァイオリンを弾けない時期があったんです。その間にラジオのパーソナリティーの仕事を始めたので、ラジオパーソナリティーのデビューの方が先でした。その後、あるイベントでふらっと諦めかけていたヴァイオリンを弾いてみたら、「やっぱり私はコレなんだ」と気づいて、そこからはもうがむしゃらにプロの道という感じで、スタジオミュージシャンや、ライブのサポートを仕事にしている間に、このバンドに出会った形です。
■みなさん個性的で面白いですね。そして、ちょっと「囁揺的音楽集団AsMR」というバンド名が気になりまして。どういう意味なんでしょうか?
Ayaka これはもう「囁く、揺さぶる、普通の音楽じゃ入らないようないろんな擬音だったり、ノイズになるような音だったりも音楽にしていっちゃう」という意味でつけられた感じです。
GINA ライブを「GATE」と呼んだり、楽曲を「IMPULSE」と呼んだり、お客さんのことを「RECEPTOR」と呼んだり、それにも似たような意味合いを持たせています。「IMPULSE」は、相手の心や脳を揺さぶらせるという意味があって、それを受容体としてお客さんが受け取るみたいな感じなので、バンド名と合わせて、全体的に脳みそを揺らして、囁きで揺らして、みたいなものを込めています。「AsMR」にもそういった意味合いが込められています。
■音作りの中心はどなたが担当されているんですか?
Ayaka 基本はプロデューサーと作っているのですが、練習で音作りをみんなでしていく時には、emyu:がリーダーとなって、いろいろと教えてくださっています。
■じゃあemyu:さんがリーダーじゃないですか。(笑)
emyu: お前ら言うこと聞けよ~!(笑)
Ayaka やっぱりクラシックをやってきた二人がいて、私は全然そういうことをやってこなかったので、いろいろと勉強させてもらっています。
GINA 私自身も一瞬、数ヶ月だけバンドをやっていたことがあったんですけど、このバンドがほとんど初めてのバンドだったので、もう教えてもらって必死についていって……という感じです。
emyu: 室内楽とバンドって結局一緒で、アンサンブルという面では同じなので、練習内容はほとんど変わらないんですよね。その時に培ったものとあまり変わらないというのが、うちの特色かなと思います。
■面白いですね。新作『GATE OF NO RETURN』ですが、“ライトリライト”の制作に時間がかかったというお話を小耳にはさみました。どこに時間がかかったのでしょうか?
Ayaka そうなんです。テーマがマンデラエフェクトなんですが、それがちょっと難しくて……時間がかかった感じですかね。初のデュエット曲でもあって、私は今まで飾りやコーラスが多かったんですが、この曲に関しては一緒に歌わせていただいていて、そこも楽しんで頂ける曲になっています。
■この構成で特にカッコイイなと思ったのは、“Point of No Return”だったんです。弦は多重録音ですか?
emyu: そうです。ひとりでオーケストレーションしています。レコーディングで弓を変えるんですよ。楽器そのものは1挺なんですけど、弓は3本持っていて、ちょっとずつ音色が変わるんです。あとは左手の運指を変えています。例えば開放弦を弾いているパートと、押さえて弾いているパートとを分けています。ミュートをつける時もあります。ミュートをつけると、1個後ろの席の音みたいに伝わるので、そうすると立体感が出るんです。
■この曲は、ピアノもすごく効いていますよね。
Milli そうですね。これは印象的な曲だと思います。メロディの切なさ感というか、曲の壮大さに対するメロディの美しさとか。私、レコーディングの時にグッと来ちゃって、泣いちゃって歌えなかったポイントがあるんです。歌詞も相まって、いつもグッと来ちゃうんです。
■確かに歌詞もいいですよね。
Ayaka 嬉しいです。歌詞のポイントは、ポイント・ネモという、人間が到達できない場所をテーマに書かせていただいた曲で、今回のアルバムタイトルの『GATE OF NO RETURN』にもかかっているんです。「もう帰れないなら帰さない」、そんな気持ちで、それをテーマに、「AsMRの世界に入ってしまったからには帰さないよ」というイメージで歌詞を書かせていただきました。
■すごくカッコよかったです。そして“輪舞 -revolution”ですが、「革命少女ウテナ」のオープニング曲ですよね。ヴァイオリンが利いてて、たまらなかったです。
emyu: 本当ですか!ありがとうございます。(笑)
■そして“カルデラの虎”がツボだったんですよ。ボードゲーム「魔女のお茶会」のナンドンランドンのイメージソングですが、このキャラクターはどんなキャラクターなのでしょうか?
Ayaka 火山のある島に住む、最強の魔女なんですけど、手が虎になっている強い女性で、その人の力強さを表現したかったんです。曲もすごく壮大で、力強さのある民俗音楽的な感じになって、ドシッとした音になったかなと思います。二胡みたいな音も入っているんですよ。
emyu: ヴァイオリンを使って、二胡のようなイメージでヴァイオリンの音を入れました。
■ちなみになのですが、ヴァイオリンにエフェクターをかけていますか?
emyu: レコーディングの段階ではかけていなくて、後でプラグインで足したりすることはあります。その方が綺麗にエフェクターがかかるので。ギターと違ってヴァイオリンはアンプを通さないんですよ。ライン直なので、そうするとエフェクターを直でかけちゃう感じになってしまうんです。なので、一旦生で録って、後からプラグインでちょっと調整するような感じにしています。
■この曲はパワーがじりじりしていて良かったです。ギター的にはどうですか?
GINA ギターの登場シーンは割と少ないんですよ。でもそれが多分、この曲の雰囲気の中で「虎」のどっしり感を出すポイントになってくるだろうなというのは、自分でも思っていて。かといってフレーズが重いわけじゃないし、でも、行ったり来たりはするようにしています。例えば、ヴァイオリンとのユニゾンのところも、できるだけ軽やかに、優雅にヴァイオリンに寄り添うようにしていて。そしてこの曲は、パワーコードを弾いていないんです。重厚感がありそうに見えて、実はギターでよくあるパワーコードは弾いていないので、音色的な部分でもギターが一番攻撃力があるので、他に馴染みつつも、エレキのこの感じが出せるようにというのは気を付けて。ちなみに私はサビまでずっといません。(笑)
■この重厚感はどこから出て来ているんでしょうね?
emyu: やはり民謡の重みなんだろうなと。2拍目、4拍目の重みがすごく強調されている曲なので、それで重厚感を感じるのだろうなと思うんですけど、それと相反するように、1拍目にもちゃんと重みが入るようギターなどのフレーズができているので。1拍目がちゃんと重くて、それをちょっと後ろに引っ張るぐらいの気持ちで、2拍目と4拍目があるというのが、この曲の肝なのかなと思います。ただ、2拍目と4拍目を引っ張りすぎちゃうと、ただのリズム音痴になってしまうので、コンマ数ミリみたいなところで、ちょっと後ろに引っ張って、アジア人が持っている大地の重さみたいなイメージが出てくるのかなと思います。
■同じ作品の胡蘭麗のイメージソング“Maleficium”ですが、キャラクターの立ち絵が大人しそうに見えて、正統派ハードロックでびっくりしたんです。
Ayaka そうですね。これから読む人にはネタバレになっちゃうんですが、この子はラスボス的な最強のキャラクターなんです。さっきも「強い」と言ったんですけど、また違うタイプの悪役的なキャラでして、そこについての歌詞になっています。冷酷で、残酷なキャラクターなんですけど、それに反するような、少女的な心を持っている寂しさみたいなものを書きました。
■ヴォーカルのこだわりポイントは?
Milli 「ヤンデレ」をいかに表現するかにこだわっています。これは割とゲートの最後の曲になることが多くて、これを歌ってみんなに納得してもらう、じゃないですけど、みんなで盛り上がって幕を閉じるというのが定番になってきているので。「みんな大好き」な曲です。
■ “a・ni・ma”は、小説「幸福の森」のテーマソングですが、ちょっとあらすじが曖昧で難しくて……。
Ayaka そうですよね。びっくりお化け系というよりは、精神的なものが入っているホラーでして、この曲はすごく湿度が高い感じを意識して書きました。主人公は森に住む少女としているのですが、少女なのか何かもわからない、精霊なのかなんなのか、そこにずっとい続ける孤独な人のイメージです。






