AVRIL LAVIGNE VANITYMIX 2019 SPRING COVER INTERVIEW

AVRIL LAVIGNE

あらゆる苦難に立ち向かう、闘うすべての人たちへ
生きるための勇気と希望を歌う、アヴリル最新章。

日本の洋楽史上でただひとり、デビューアルバムから3作連続ミリオンセールス達成の偉業を成し遂げた、世界的スーパースター=アヴリル・ラヴィーン。17歳で鮮烈デビューを果たして以来、数々のヒット曲を世に送り続けてきた最強無敵のロック・プリンセスが、「死を覚悟した」と語る人生最大の危機を乗り越え、最新アルバム『ヘッド・アバーヴ・ウォーター』を携え、遂に音楽シーンにカムバックを果たした。人生の荒波を乗り越え、世界中に生きる勇気と希望を届けてくれる〈奇跡の歌声〉を持つ彼女に、今作品、そして復活への想いを語ってもらった。

■まずは心から、お帰りと言わせてください。

AVRIL ありがとう。

■難病なだけに、治療と療養のみに専念するという選択肢もあったかと思うのですが、ベッドやソファーで今回の新作に向けた曲を書き、録音もしたそうですね。何があなたをそこまでさせたのでしょう?

AVRIL  そうね。ある時期、もう仕事がしていけるのか、音楽が作れるかどうかわからないという状況になっていたの。曲ができたのは、自然な出来事だったわ。ベッドにいて、もう死んでしまうんじゃないかって思った瞬間に、ある歌詞を思いついて。“ヘッド・アバーヴ・ウォーター”のコンセプトとかアイデアとか、歌詞が心の中に沸きあがってきたの。それは抑えようがなく、溢れ出てきたわ。まったく想像していなかった出来事ね。当時は、それが私のファーストシングルになるなんて、想像もつかなかった!それから、“ウォリアー”という曲をベッドルームで書いたの。この2曲はベッドの中で書いたんだけど、当時はアルバムを作るというプランはなかったの。自然にそういう方向になって行ったのよね。家にいて、時間もあって、ピアノの前に座ると曲がなぜか浮かびあがってくる。音楽のこととか考えたりしてもいなかったのに、なぜかわき上がってきたのよね。

■病気をして、一時はもう音楽活動を続けられないかもしれないと感じた時期があるそうですね。こうして活動を再開した今、ミュージシャンであること、音楽を作ることの意義を再確認したようなところはありますか?

AVRIL  とにかく、やりたいから、これが好きだから、という思いでやっていたわ。公式なアルバムを作るためにやっていたわけではなく、自分でやりたいから作っていたの。自然発生的にできあがった、という感じ。心から音楽が好きで、音楽が自分の人生の中で必要なものであるというのが見えたから、よかったって思っているわ。

■そして届けられたシングル“ヘッド・アバーヴ・ウォーター”が、ひたすら感動的で、涙を誘うと同時に慈愛で包み込み、さらには力も与えてくれるような曲に仕上がっています。改めて、この曲の完成までのプロセスを教えてください。お母さんの腕の中で書いたそうで…。

AVRIL そうなの。ベッドの中にいて、もう死ぬかもしれないと思っていたけど、母がベッドの脇で、私を抱きしめていて、そして、ある時、「私は溺れていくような感じ…」と言ったの。そして、「今、溺れないようにもがいているような感覚なのIt’s like I’m trying to keep my ヘッド・アバーヴ・ウォーター right now……」と。そうしたら、ヴィジュアルのイメージがわき上がり、いろいろなアイデアが浮かび上がって。とりあえず携帯電話に録音をして、それから全部書きとめたわ。

■チャド・クルーガーと共作したフィナーレの“ウォリアー”も、“ヘッド・アバーヴ・ウォーター”に劣らぬ力強い曲ですね。“ヘッド・アバーヴ・ウォーター”はこのアルバム制作の出発点だったそうですが、“ウォリアー”もベッドで書いたとおっしゃっていましたが、これも自然発生的にできあがった曲なんですか?

AVRIL そうなの。ある時、「私は、ウォリアー(戦士)だわ」と思ったの。そんな思いを考えていたら、この気持ちについて曲を書かなければいけないって思ったのよね。チャドは、とても良くしてくれたわ。もう私達は一緒にはいないけど、まだ結構交流があって、その時一緒に仕事をしていたわけではなかったけど、私に曲のアイデアがある、というのを聞いて、レコーディングをして実際に形にしていくのを手伝ってくれたわ。“ヘッド・アバーヴ・ウォーター”と“ウォリアー”、この2曲が最初にレコーディングした曲よ。

■“ヘッド・アバーヴ・ウォーター”が象徴するように、今回のアルバムは、病気との闘い、苦難を乗り越えること、ひいては「生きること」が、全体を通したテーマとなっていると考えていいのでしょうか?

AVRIL そういうテーマを持っているのは、“ヘッド・アバーヴ・ウォーター”と“ウォリアー”の2曲だけかも。あとの曲は、私が少し元気になって、自分の人生を取り戻してから書いた曲だったから。この2曲は困難を乗り越えるための曲ではあるけど、ほかには恋愛について書いた曲もあるし、恋に落ちていくことについて書いた曲もあるわ。“ダム・ブロンド”は、よく言われる、「ブロンドの髪の毛をしている女の子は頭が悪い」という固定概念について書いた曲だし、“テル・ミー・イッツ・オーヴァー”だって恋愛の曲で、懐かしい感じのジャズっぽい雰囲気を持っている曲なの。恋愛とか、人生のさまざまな局面を歌っている曲もあるわ。

■先行シングル“ヘッド・アバーヴ・ウォーター”を聴いて、感情的にヘヴィなアルバムを予測している人も多いと思うのですが、実際は意外なほど軽やかな曲もあって、遊び心も随所で感じさせる多彩なアルバムになりましたね。内容が重くなり過ぎないように意識したんでしょうか?

AVRIL 私自身は、とてもシリアスなアルバムになってしまったのではないかしら?と懸念していたので、そんなにヘヴィなアルバムじゃないという意見が聞けてよかったわ。(笑) あと、このアルバムはみんなにとても勇気や力を与えるものになっていると思うわ。でも、過去の私の作品もずっとそういった要素は持っていて、それは変わらず今回のアルバムでも顕在だと思っているけど、それがより深くなっている感じね。今、私は人生の違う局面を迎えているけど、そんなに難しく考えたりせず、これが今私の心が求めているものだと思って、自分のために曲を作っていたの。ラジオで流してもらうために書いていたわけではなく、ある方向性にいかなければと思って書いていたわけでもないし。私の心が赴くままに書いていたのよ。すべての曲が、自然に出来上がって、その曲に慣れ親しむ時間も持てたわ。期限までに間に合わせるというプレッシャーもなかったし、急かされたりもしていなかったから。でもそれってとても美しいことだと思うの。それ以外の時は、「早く終わらせて!」という感じで作っていたから。(笑)