SAIKI(Vo)、小鳩ミク(G&Vo)
お給仕の定番曲になるように、盛り上げる意味での激しさは出たと思います。
メイド姿のハードロックバンド、BAND-MAIDが3曲入りのニューシングル『Sense』を発表。今年9月にはNetflix映画『KATE』に本人役として登場し、ハリウッドデビューを飾ったりと話題を呼んでいる彼女たち。現在はコロナ禍の情勢もあり、思うようにお給仕(BAND-MAIDのライブの呼称)活動を敢行できない日々が続くものの、それに負けじと超ハイパーな楽曲を届けてくれた。TVアニメ「プラチナエンド」のオープニングテーマに起用された表題曲を筆頭に、悶々とした感情を全ベクトルに解き放つアグレッシブな曲調で勝負している。全3曲、お給仕映え必至の今作について、SAIKI(Vo)、小鳩ミク(G&Vo)の二人に話を聞いた。
■今年も残すところ僅かとなりましたが、2021年はどんな1年でしたか?
小鳩 ずっと制作ですっぽ。
SAIKI 耐えながら、制作してね?
小鳩 お給仕の計画はあったけど、今はできないっぽ、という部分に落ち着いて。
SAIKI 有観客は1年8ヶ月くらいやっていないので、耐えて活動を進める1年でした。
■もはや有観客お給仕の感覚を忘れそうじゃないですか?
小鳩 「有観客のお給仕をやったら、みんなステージ上で泣きそうだよね」って。「あっ、みんないる!」みたいな。だから、ステージに出た後は少し間を置こうと。(笑)
■ああ、涙を拭く時間を設けて?
小鳩 そうですっぽ。涙を引っ込める時間を作ろうと。
SAIKI 最後にやったライブとまた状況も全然違うし、まだ声も出せないだろうから。その中でどうやるのか……ずっとドキドキしています。(笑)
■そして今回の曲の話に移りたいのですが、今作は攻めに攻めまくったニューシングルになりましたね。全体を通してメタル度も非常に高いなと。
小鳩 激しさをそんなに主張したかと言われたら、そこまで考えていなかったかもしれないですっぽ。
SAIKI お給仕の定番曲になるように、盛り上げる意味での激しさは出たと思います。ただ、特別にハードロック、メタルを強めにという意識はなかったです。攻めてはいるんですけどね。
小鳩 私たちが激しく攻めたいと思うと、前作(『Unseen World』)の“BLACK HOLE”まで行ってしまいそうなので。それと比べると、そこまで激しさは意識していなかったですっぽ。
■ああ、一番激しい曲と比較すると、そうではないと。(笑)
小鳩 そうですっぽ。基本攻めるとやり過ぎるので。
■今回の表題曲“Sense”は、TVアニメ「プラチナエンド」のオープニングテーマになっています。これは依頼を受けてから制作に入ったんですか?
小鳩 そうですっぽ。書き下ろしですっぽ。
SAIKI 小鳩がもともと原作を読んでいたんですよ。
■さすがです!既にチェック済みだったと。
小鳩 本当にビックリだったんですけど、ちょうど(当時の)最新巻を読み終えて、次の巻を待っているところでお話が来たんですっぽ。だから「小鳩、繋がってる?」と言われました。(笑) いちファンだったのですごく嬉しかったですっぽ。だから、歌詞もより気合いを入れて書きましたっぽ。漫画で使われている言い回しやセリフを取り込んで、原作に寄り添おうと。特に製作委員会から細かいリクエストはなかったんですっぽ。
■そうなんですね。
小鳩 曲も歌詞もBAND-MAIDらしい感じで、好きに作らせてもらいましたっぽ。ただ、「<天使>と<予感>というワードを入れてください」と言われたんですけど、それはもうもとから入れようと思っていたんですっぽ。
■もはや以心伝心の領域ですね。
小鳩 曲もイントロのオーケストラだけ変えたんですけど、それ以外は、ほぼほぼ変えてないんですっぽ。
■「プラチナエンド」の内容自体は割りとダークな感情から始まっている物語ですよね。
小鳩 内容的には明るい感じではないけど、生きるとか、希望というものを大事にしているお話なので、そこが一番伝わればいいなと思い、歌詞を書きましたっぽ。暗さはありつつ、光も見える感じを大事にしようと。それでサビに「幸せになりたい」、「生きてたいんだ」という言葉を置きましたっぽ。
■歌詞を含めて生命力に溢れた楽曲に仕上がっていますね。SAIKIさんはヴォーカル面で工夫した点はありますか?
SAIKI 漫画を読んで、「自由になりたい」、「羽ばたきたい」という印象を受けたので、歌う時も強すぎないというか、伸び伸び歌おうと心がけました。メロディ自体も伸びやかなので、歌いやすかったです。私の印象ですけど、オケは主人公の葛藤や闇の部分を描いていて、メロディが求めているものは幸せなのかなと。だから、ポジティブな感じで歌うように意識しました。
■確かに明暗のコントラストがはっきりした曲調ですね。
小鳩 お給仕で映える1曲になると思いますっぽ。イントロのギターリフもすごくカッコいいので、盛り上がるだろうなと。
■イントロの壮大なオーケストラが唯一変更したところですか?
SAIKI はい。もともとイントロもバンドサウンドだったんですけど、それをオーケストラにしたんです。
小鳩 「壮大な感じにして欲しい」と言われたけど、KANAMIは今までやったことがなかったので、いろんな人からアドバイスをもらって作っていましたっぽ。
■映画の始まりのようなイントロですからね。これは頭から引き込まれます。
小鳩 そうですっぽ。アニメの始まりにピッタリだし、SAIKIの言い方だと、中二感もあって。
SAIKI 完全に中二だなと。(笑) でもそのクサめな感じがいいんですよね。
小鳩 最初は「自分たちの曲とオーケストラが合うのかな?」と思ったんですっぽ。今まで考えたこともなかったので。
■メタルとオーケストラは相性がいいですからね。
小鳩 他のメタルで入っている曲は聴いたことがあるんですけど、自分たちの曲でそれを考えたことがなかったので新鮮でしたっぽ。
SAIKI ホーンとかオシャレ系はあったんですけど、ここまでのものは今までなかったからね。
■この曲はヨーロッパとか海外の人たちにも絶対にウケると思いますよ。
小鳩 そうですっぽね。“Different”もそうですけど、アニメというだけでも海外の方は気にしてくださるので。“Sense”でまた海外のご主人様・お嬢様(BAND-MAIDファンの呼称)が増えてくれたらいいなと思いますっぽ。
■「誰のせいじゃない 絶望に伏した心さえ 繋がるRINGに救われて 創り創られて 創造しい程変わって」の歌詞にはどんな思いを込めているんですか?
小鳩 そこが一番闇の部分ですっぽ。自殺し切れなかった主人公が天使にリングをもらい、そこからいろいろ環境は変わるんですけど、それはアニメの世界だけに限らないなと。死にたいと思いながら、死ねなかった人たちが書いたものも読んで、「どういう気持ちなんだろう?」と考えましたっぽ。
■具体的に何を読んだんですか?
小鳩 いろいろな人たちの体験談みたいな日記やブログとかを読んで、それを調べていくと、大体「心の悩みありませんか?」という広告のバナーが最初に出てくるんですっぽ。(笑)
SAIKI ははははは。
小鳩 そういう人たちは大体、自分の殻に入って、そこで騒音みたいな情景が浮かんでくるという話を読んだんですっぽ。そういう、自分ではどうしようもない気持ちを表現したくて、こういう風に書きました。
■そうだったんですね。次の“火花”は「全日本大学eスポーツ対抗戦バトルテーマ」ために書いたものですか?
小鳩 そうですっぽ。これもお話をいただいてから書き下ろしたものですっぽ。
SAIKI 「レインボーシックス シージ」というゲームで、実際に警察の特殊部隊になり、3対3で闘う内容なんですよ。
小鳩 「Gun Shot!!」って歌詞の中でもめちゃくちゃ撃ってるしね。
SAIKI 曲もスピード感があるし、KANAMIのギターも王道でシンプルな構成になっているんです。それも珍しいなと。
小鳩 勢いもあるし、いい曲だなと思いますっぽ。