ベリーグッドマン VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

ベリーグッドマン『必ず何かの天才』

■次の“Hope”は、イントロからレコードに針を落とした音を入れて、アナログちっくな温かみも感じる楽曲ですね。

Rover 記憶を辿るような演出をしたくて、オールドな感じを出したかったんです。トラック自体は古くないんですけどね。僕の感覚で「Hope」と言われると、ショートホープ(タバコ)を思い出すんですよ。父親が僕が5歳の時に亡くなったんですけど、料理人で、ずっとショートホープを吸っていたんです。だから「短いタバコを燻らせた」、「あの人を偲び 両手を合わせた」の歌詞は父親のことで、ちょっと映画っぽいというか、果てしない道を一人でタバコを吹かしながら歩いている男がいると。別にこの曲で伝えたいことはあまりなくて、情景や抽象的なところを掘り下げたらこういうテイストになりました。

■余白を残して聴き手に委ねた歌詞にしたかったと。とはいえ、メッセージ性の強い内容ですよね。

Rover そうですね。希望を絶やさないでということを言いたいのかもしれない。それはコロナとも関連してくるんですけどね。

MOCA この曲はRoverがトラックを持って来たんですけど、アレンジを担当したWood Cherryとは前回のアルバムの“Good Vibes”、“Chill Out”で自分たちとの相性の良さもわかった状態でしたから。周りを見渡しても笑顔が少なくなってきた時代で、それを爽やかに励ましているのが“ナツノオモイデ”だとしたら、「まじで死んでやろうかと食い止めた」(「Hope」)という歌詞があるんですけど、同じように苦しんでいる人もおるんやなって、その気持ちに寄り添える曲になったらいいなと。

Rover  この曲ではゴスペルをやろうと思い、僕の中の答えは理論ではなく、ソウルの部分だったんです。同じ思いを持ったものが同時に歌うことで、それは既にゴスペルなのかなと。そういうアプローチをベリーグッドマンでやれたらいいなと思い、僕たちなりのゴスペルができたんじゃないかと思います。

■最後には“ダイヤモンド(2021 Ver.)”」を収録していますが、これは?

Rover  今年の「高円宮賜杯 全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント」をお祝いする気持ちと、ダイヤモンドって普通は宝石だけど、僕らは野球のグラウンドのダイヤモンドをイメージするんですよ。まだこの時はダイアモンドを入れることが決まっておらず、「無事に高校野球の夏の大会が行われて欲しいなぁ」という思いを込めて入れました。これもコロナの時に書いた曲なんです。この曲はライブであまり歌えていないので、もっと自分たちの血となり肉となり、昇華させていきたいですね。

MOCA  高校野球は勝つのが一校で、それ以外の高校は全て負けてしまう。もちろん優勝することは素晴らしいことだけど、そこまで歩んできた道のりは決して無駄ではないと思うんですよ。ダイヤモンドに「僕らの努力の結晶は決して無駄じゃないよ」と歌詞にありますけど、その気持ちに寄り添える曲かなと。

■わかりました。それと10月6日にリリースされるニューアルバム『必ず何かの天才』についてもお話を窺えればと思います。

Rover まず今回のアルバムのジャケットはHiDEXが僕たち3人の絵を描いていて、メンバーがジャケを飾るのは初めてなんです。大きな意味で芸術を捉えて、彼はそれを深めていきたいと思い、絵を描き始めたんです。僕は素敵なことだなと思うし、歌をやっている人で30歳を超えてから絵を始める人を見たことがないから。

■曲名から取られた『必ず何かの天才』がアルバム名になっていますけど、この言葉に込めた思いというと?

Rover 僕とMOCAとHiDEXは特に天才ではないんですけど、自分でも天才な部分があるんじゃないかと信じて頑張っていたら、音楽活動で少しずつ結果が表れて。僕たちは決して天才じゃないけど、何かに挑戦する、新しい道を作るという意味では、天才的に自信家というか、不安知らずなんです。伝えたいことは、「自分は何もないんだ」という人もいるけど、もしそうだったとしたら、生まれていないと思うんですよ。必ず何かにおいて必要不可欠なんだということを「天才」と表現したんです。それで、こういう楽曲ができたので、「そのままアルバム名にしちゃえ!」って。それが一番伝えたいことでもあり、今の時代に一番必要な哲学だなと。

■“必ず何かの天才”は、柔らかな曲調に仕上がっていますが、これは今作の方向性を表しているのでしょうか?

Rover 僕らはJポップアーティストなので、ポップであるべきだと思っているんです。ロックやレゲエになってしまうとお角違いになってしまうから。日本語を選び、ポップであることを選んでいるので、そこからハミ出さずにハミ出そうと。その挑戦は続いていますね。

MOCA “必ず何かの天才”という曲がリードになり、これは僕がテーマを持っていったんですよ。“アイカタ”もテーマ勝ちできたし、自分の幼稚園からの友達であるケケマルという全くモテない不器用な奴がいまして、「俺には何もないわぁ…」と言うんですけど、お前の優しさは周りの奴みんなが感じているよって。そいつがこのMVに出るなら、というところから曲を作り始めたんです。夢を実現させていく素晴らしさを曲に表しているけど、「別に夢なんてなくてもいいやん」って思う自分もいるんですよ。「俺にはこういう才能があるかも?」と気づいてもらえる曲になればいいですね。夢を追っている人は応援したいけど、夢を追うことだけが人生じゃないし、絶対にひとつは素晴らしいところがあるから、それをより輝かせて欲しいなと。

Interview & Text:荒金良介

PROFILE
2013年11月結成、Rover、MOCA、HiDEXからなる3人組ボーカルユニット。2016年3月に『ありがとう〜旅立ちの声〜』でユニバーサルミュージックからメジャーデビュー。10月5日にはメジャー1stアルバム『SING SING SING 4』をリリース。3声の力強いハーモニーとラップ、秀逸なトラック、リリックが世代を越えた共感を呼んでおり、次世代を牽引するアーティストの呼び声が高い。2019年1月20日、彼らがツアータイトルに冠していた“てっぺん”として目指すべき第1ゴールの場所、“大阪城ホール”でのライブを1万人即日ソールドアウトの超満員で大成功させた。また同年9月28日・29日に自身初となる野外ワンマンライブをユニバーサル・スタジオジャパンにて開催。2 日間で1万人の動員を記録し大盛況にて終わった。2020年6月27日、新型コロナウィルスの影響で練習や試合が思うように出来ない球児を応援したいという思いから、 阪神甲子園球場で初の無観客ライブを行った。同年11月7日(土8日(日)には『ベリーグッドマン “TEPPAN”発売&結成 7 周年記念・超好感祭 2020~ドライビングパーティー編~』を大阪・舞洲“空の広場”で開催。2 日間で合計1,000台を収容した。また同年、2021 年にかけてコロナ禍でありながら『TEPPAN TOUR 2020-2021 ~改めて言うよ、出会えて良かった~』 全4公演を完走。2021年2月20日にはLINE CUBE SHIBUYA にて追加公演も行った。現在、国内最大級ウェディングツアーを開催中。コロナ禍でも常にファンのことを考えながら、エンターテインメントの中で奮闘し続けている。
https://berrygoodman.com/

RELEASE
『必ず何かの天才』

初回生産限定盤(CD+DVD)
CRCP-40625
¥3,850(tax in)

通常盤(CD)
CRCP-40626
¥2,800(tax in)

TEPPAN MUSIC
10月6日 ON SALE

LIVE
■ホールツアー “必ず何かの天才”TOUR 2021-2022
https://bit.ly/3ih3xc5
10月16日(土) 大阪 フェスティバルホール
10月17日(日) 大阪 フェスティバルホール
10月29日(金) 静岡 三島文化会館
10月30日(土) 千葉 君津市民文化ホール
11月13日(土) 岡山 岡山市民会館
11月14日(日) 広島 広島上野学園ホール
11月21日(日) 長野 カノラホール岡谷市文化会館
11月23日(祝) 北海道・札幌教育文化会館
12月03日(金) 岐阜 バロー文化ホール
12月05日(日) 福岡 サンパレス
12月11日(土) 滋賀 大津市民会館
12月12日(日) 奈良 なら100年会館
12月25日(土) 宮城 仙台市民会館
01月08日(土) 愛知 愛知県芸術劇場 大ホール
01月16日(日) 東京 中野サンプラザホール