BUCK-TICK『ABRACADABRA LIVE ON THE NET』配信ライブレポート 9月21日(月・祝)

BUCK-TICK『ABRACADABRA LIVE ON THE NET』

初の生配信ライブで全貌を露にした新作『ABRACADABRA』、曲順通りに完全再現!

BUCK-TICKが33回目のデビュー記念日である9月21日に22thアルバム『ABRACADABRA』を発表、その同日に無観客による初の生配信ライブ『ABRACADABRA LIVE ON THE NET』を決行した。まずは櫻井敦司(Vo)、今井寿(Gt)、星野英彦(Gt)、樋口豊(Ba)、ヤガミ・トール(Dr)のメンバー5人が新作について語る映像が流れる。そこではお気に入りの楽曲やアルバムの曲順、レコーディング時の様子などを話し、また新作に関しては「バラエティ」というキーワードが複数のメンバーの口から飛び出して非常に興味深かった。視聴者の期待感を煽るインタビューが終え、遂にライブ本編へ。

SE“PEACE”が流れ、スクリーンに『ABRACADABRA』の文字が映し出された後、紗幕が落ちると同時に“ケセラセラ エレジー”でスタート。印象的なコーラス・ワークに耳を掴まれ、櫻井は身振り手振りで歌に感情を込めていく姿が目に入った。「ほら 世界が回る 世界が狂う狂う」、「ほら お前は揺れる お前はフラフラ」の歌詞がコロナ禍の現状とリンクするようで胸がざわつく。そこに乗る近未来的なポップ性にテンションは上がるばかりであった。
続いて“URAHARA-JUKU”に入ると、ヘヴィに歪んだギター・リフと宙空を舞うデジタル音が混ざり、硬質なインダストリアル・ロックを奏でる。「鳴り響くサイレン赤色灯が滲む」の歌詞に赤い照明が呼応する演出も素晴しく、どこか緊迫感を帯びた櫻井のヴォーカルにも惹き付けられた。

「ハロー、皆さん元気?楽しんでください」と櫻井が挨拶すると、今井がギターを搔き鳴らして“SOPHIA DREAM”へと突入。ミドルテンポのシンプルな曲調だが、それゆえに各楽器の音色が立体感を帯び、脳裏に鮮やかな絵を結ぶ。次の“月の砂漠”では、櫻井が仮面を右手に持ち、妖艶な歌声を存分に発揮。また樋口のベースが激しく主張する一方、バンド全体で有機的なアンサンブルを聴かせる手腕もさすが。「ウォー、ウォー!」のコーラスも茫漠とした曲世界をより一層引き立てていた。“Villain”では、今井の無機質な歌声と櫻井の熱情的な歌声がコントラストを描き、起伏激しいエモーションを炙り出していく。今井のギターフレーズも楽曲に異様な緊張感をもたらし、櫻井がシャウトを決めるアウトロにも背筋がゾクッとした。その空気をガラッと変えたのは“凍える”である。凛とした楽曲ムードの中、櫻井は子供をあやすような振り付けを入れ、情感豊かなメロディを丁寧に歌い上げていた。

摩訶不思議なイントロが聴こえてくると、”舞夢マイム”に繫ぐ。歌謡風味のサウンドだが、ここではないどこかへ誘われるようなミステリアスな雰囲気もあり、自然と踊り出したくなる曲調であった。その流れを受けて、アッパーなダンスビートが飛び出すと、“ダンス天国”に移る。暗がりから一気に太陽の下へ、我を忘れて身を委ねたくなる開放感な音色は最高だった。緑のレーザー光線が飛び交うと、“獣たちの夜 YOW-ROW ver.”をプレイ。エフェクティヴな今井のギターも鮮烈に響き渡り、楽曲のエッジ感は倍増されていく。自宅で視聴しながら、今すぐライブハウスに直行したいと思った人は多かったのではないだろうか。

それから“堕天使 YOW-ROW ver.”を挟んで、ここからトーンは切り替わる。“MOONLIGHT ESCAPE”が飛び出すと、櫻井はマイクを両手で握りしめ、膝まづいて歌う場面もあり、その祈りの感情に近い清冽なヴォーカルに吸い込まれた。その後、切れ味鋭いビートと共に“ユリイカ”をプレイ。アルバム名である「ABRACADABRA(アブラカダブラ)」のワードを歌詞に盛り込み、「LOVE!」、「YEAH!」、「PEACE!」と連呼するコーラスも迫力満点でここに観客がいたら大合唱に包まれていたに違いない。櫻井は耳に手を当て、マイクを画面越しの視聴者に向けるシーンもあり、バーチャルだろうと、音楽は人と人の心をひとつにできる。そんな力強いメッセージも感じ取れた。本編ラストはステージにモクモクとスモークが立ち込める中で“忘却”を放つ。スロー・テンポゆえに曲に込められた感情が濃厚に炙り出され、今井の切ないアルペジオも胸に沁み入った。それから櫻井は手を叩き、お辞儀をしてステージを去ると、残されたメンバー4人はそのまま演奏を続け、カメラはステージを徐々に遠景で捉えていった。すると、どうだろう。スモークは会場のフロア部分も埋め尽くし、雲海のような美しい景色が広がっていたのだ。

本編をドラマティックに締め括った後、アンコールに応えるべく、メンバー5人が再度ステージに姿を見せる。樋口とヤガミが息を合わせてリズムを刻み、今井と星野がアコギをパワフルに弾くと、“Living On The Net”をアコースティック・バージョンで聴かせる。間髪入れずにスパニッシュな味付けを施した明朗な“Cuba Libre”に移ると、櫻井はカメラに至近距離で近づいて歌う様にもドキッとさせられた。“ICONOCLASM”を経て、メンバー紹介を挟んだ後に“Memento Mori”に進み、遂にライブは終盤を迎える。「今日はこういう形で、ほんとみんな観ているのかな? 静かな夜です。またいつか一緒の空間で遊べることを夢見て。あと1曲で今日は終わりにします」と櫻井が告げると、“独壇場Beauty-R.I.P.-”をプレイ。生命力溢れるロック・ナンバーを見舞い、メンバーもリラックスした表情で演奏を楽しむ様子が伝わってきた。アンコールを含め全18曲をやり終えると、今井が無人のフロアにピックを投げ込むシーンも映され、通常のライブと変わらぬ仕草にニヤッとさせられた。
 
既にお気づきだろうが、本編は新作『ABRACADABRA』を完全再現するチャレンジングな配信ライブとなった。発売日に全曲ライブで聴けるのも、コロナ禍を逆手に取ったスペシャルな演出と言えるだろう。しかもどの楽曲もライブ映えしていたことは特筆すべき点である。この曲たちが観客の前でプレイされる日が来たら、どんな光景が見られるのだろうか。今からそれを想像するだけで笑顔が零れてくる。

Text:荒金良介
Photo:田中聖太郎

『ABRACADABRA LIVE ON THE NET』セットリスト
SE. PEACE
1. ケセラセラ エレジー
2. URAHARA-JUKU
3. SOPHIA DREAM
4. 月の砂漠
5. Villain
6. 凍える
7. 舞夢マイム
8. ダンス天国
9. 獣たちの夜 YOW-ROW ver.
10. 堕天使 YOW-ROW ver.
11. MOONLIGHT ESCAPE
12. ユリイカ
13. 忘却
アンコール
1. Living on the Net (アコースティックver.)
2. Cuba Libre
3. ICONOCLASM
4. Memento mori
5. 独壇場Beauty-R.I.P.-

RELEASE
『ABRACADABRA』

完全生産限定盤A (SHM-CD+BD)
VIZL-1787
¥6,050(tax in)
・高品質CD「SHM-CD」採用
・スペシャルパッケージ仕様
・ボーナスディスク付属

BUCK-TICK『ABRACADABRA』

完全生産限定盤B (SHM-CD+DVD)
VIZL-1788
¥5,500(tax in)
・高品質CD「SHM-CD」採用
・スペシャルパッケージ仕様
・ボーナスディスク付属

BUCK-TICK『ABRACADABRA』

通常盤 (SHM-CD)
VICL-70244
¥3,300(tax in)
・高品質CD「SHM-CD」採用

BUCK-TICK『ABRACADABRA』

完全生産限定アナログ盤(2LP)
VIJL-60228〜60229
¥4,950(tax in)
・2枚組180g重量盤
・オリジナルポスター封入

BUCK-TICK『ABRACADABRA』

完全生産限定カセットテープ
VITL-70244
¥3,080(tax in)

配信
https://BUCK-TICK.lnk.to/abracadabra
※ハイレゾ音源を楽しむには専用プレーヤー、アプリケーションソフトなどが必要です。

https://www.jvcmusic.co.jp/linguasounda/abracadabra/

LIVE
フィルムコンサート
『TOUR2020 ABRACADABRA ON SCREEN』

・2020.10.3(土) 福岡:福岡サンパレスホテル&ホール
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・2020.10.4(日) 広島:広島上野学園ホール
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・2020.10.9(金) 群馬:高崎芸術劇場 大劇場
1回目:OPEN11:30 START12:30
2回目:OPEN17:30 START18:30
・2020.10.11(日) 栃木:宇都宮市文化会館 大ホール
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・2020.10.18(日) 静岡:静岡市民文化会館 大ホール
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・2020.10.24(土) 神奈川:パシフィコ横浜 国立大ホール
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・2020.10.25(日) 東京:昭和女子大学 人見記念講堂
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・2020.10.31(土) 宮城:仙台サンプラザホール
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・202011.1(日) 東京:LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・2020.11.3(火・祝) 京都:ロームシアター京都(京都会館) メインホール
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・2020.11.7(土) 愛知:日本特殊陶業市民会館フォレストホール (旧:名古屋市民会館)
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・2020.11.8(日) 兵庫:神戸国際会館こくさいホール
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・2020.11.12(木) 埼玉:大宮ソニックシティ 大ホール
OPEN17:30 START18:30
・2020.11.21(土) 岡山:倉敷市民会館
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・2020.11.22(日) 香川:サンポートホール高松 大ホール
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・2020.11.27(金) 東京:中野サンプラザホール
1回目:OPEN12:30 START13:30
2回目:OPEN17:30 START18:30
・2020.11.28(土) 東京:中野サンプラザホール
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・2020.11.29(日) 千葉:千葉県文化会館 大ホール
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・2020.12.4(金) 北海道:札幌市教育文化会館 大ホール
OPEN17:30 START18:30
・2020.12.6(日) 東京:東京国際フォーラム ホールA
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・2020.12.11(金) 長野:ホクト文化ホール 中ホール(長野県県民文化会館)
OPEN17:30 START18:30
・2020.12.12(土) 石川:本多の森ホール
1回目:OPEN12:00 START13:00
2回目:OPEN17:00 START18:00
・2020.12.19(土) 大阪:グランキューブ大阪 メインホール
OPEN17:00 START18:00
・2020.12.20(日) 大阪:グランキューブ大阪 メインホール
OPEN17:00 START18:00
・2020.12.26(土) 大阪:グランキューブ大阪 メインホール
OPEN17:00 START18:00
チケット一般発売
Now on sale
全席指定 ¥4,500(税込)
詳しくは、BUCK-TICK オフィシャルサイト
http://buck-tick.com/