「我々サイダーガール、最後まで我々らしく駆け抜けていきます」
サイダーガールが、初のワンマンツアー「サイダーガールTOUR2019 サイダーのゆくえ -SPACESHIP IN MY CIDER-」の最終公演を、3月24日（日）Zepp DiverCity Tokyoにて開催した。
2ndアルバム『SODA POP FANCLUB2』を引っ提げての今ツアー、この日の公演はソールドアウトということで、ファンで埋め尽くされたフロアはなんとも感慨深い光景。そわそわと開演を待つ観客のもとへ、サイダーの映像をバックに登場したメンバーは全員笑顔、とてもうれしそうだ。
“アクセル”でスタートを切り、“メッセンジャー”“エバーグリーン”と、しょっぱなから飛ばし、「あっという間にファイナルでさみしいけど、最後まで自由に楽しみましょう」とYurin（Vo/Gt）。その言葉に応えるかのように、手を上げたり一緒に歌うオーディエンス。まさに自由に楽しみ、全員でこの日を創り上げていくかのような場面にわくわくしてしまう。
勢いよく“パレット”“ぜったいぜつめい”“サテライト”“スーパーノヴァ”と披露し、途中、機材車に乗る3人を撮影したショートムービーが流れ、メンバーのキャラクターがそのまま現れたこの映像に、会場は一気に和む。映像後は“化物”、“なまけもの”“ミスターデイドリーマー”と、『SODA POP FANCLUB2』で挑戦した、横ノリの曲でクールに会場を揺らしたあと、北海道から始まった11ヵ所のツアーをあらためて振り返る。そして“最終電車”の演奏を終えたところで、PCが壊れるというトラブルが発生。「次の曲も大事な曲なので、ちゃんと聴いてほしいから時間をください」と、知（Gt）が復旧までの間、アコースティックギターを持ち、ファンからのリクエストに答え急遽Yurinと2人で“群青”を披露するという嬉しい結果に。
フジムラ（Ba）とサポートメンバー・細川千弘（Dr）とスタッフにより無事復旧したのち演奏されたのは“dialogue”。ただただまっすぐ、そして丁寧に届けようとするメンバーの姿が印象的で、深く深く胸に沁みた。「みんないろいろなことを想って、考えて、ここへ来ていると思います。それを全部我々にぶつけてほしい。我々サイダーガール、最後まで我々らしく駆け抜けていきます」とYurinが叫び、“オーバードライブ”“しょうがないよな”とたたみかけ、続く“モラトリアムさん”ではYurinが勢いあまって客席にダイブ！そして“約束”で本編を終えた。
アンコールは、フジムラがピアニカを持ち、アルバム収録曲の中で残り1曲となった“スパイス”を演奏。全力で“メランコリー”“リバーシブル”“No.2”を披露し、このツアーの幕を閉じた。
本編最後の“約束”の前、ツアーの途中で声が出なくなり、悔しい想いをしたと吐露したYurin。そんな想いもひっくるめ、伝えたいものはすべて伝えきり、それが確実に届いた初ワンマンツアーだったのではないだろうか――どんな場面も「我々らしく」やりきったメンバーの清々しい姿と、それを自由に受け取ったオーディエンスのキラキラ輝く顔がそれをしっかりと物語っていた。
Text：藤坂綾
Photo：山川哲矢
『サイダーガールTOUR2019 サイダーのゆくえ -SPACESHIP IN MY CIDER-』セットリスト
01.アクセル
02.メッセンジャー
03.エバーグリーン
04.パレット
05.ぜったいぜつめい
06.サテライト
07.スーパーノヴァ
08.化物
09.なまけもの
10.ミスターデイドリーマー
11.ドラマチック
12.橙の行方
13.最終電車
14.群青
15.dialogue
16.オーバードライブ
17.しょうがないよな
18.モラトリアムさん
19.約束
ENCORE
01.スパイス
02.メランコリー
03.リバーシブル
04.NO.2
