Yun*chi VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

私の歩んできた10年間は間違いじゃなかった。10周年ベスト盤を配信リリース。

2022年11月14日にデビュー10周年を迎えたYun*chi。彼女の10年間の歩みを記念し、10周年記念ベストアルバム『TEN.~Yun*chi 10th Anniversary Request Best~』を配信リリース。ファンたちからリクエストを募り、集計した上位24曲を収録。さらに新曲“Ienai (PROD.Yasutaka Mizunaga)”と、アニメ「ログ・ホライズン」のエンディングテーマとしてファンの中でもとくに支持の高い“Your song*”のリミックス曲“Your song* DJ Shimamura Remix”の2曲も加えた。現在Yun*chiは同作品を引っさげ全国ツアー中。このツアーを通し、ベスト盤に収録したすべての楽曲をライブで披露する予定だ。
この度、ベスト盤の魅力をYun*chiが語ってくれた。この作品がどういう経緯を持って生まれたのか、どんな思いを込めて作りあげたのか、ぜひ感じ取っていただきたい。

■よく10周年を迎えられた方々が、これまでの日々を振り返る上で「いろいろあったけど、あっと言う間だった」と語りますが、Yun*chiさんもやはり同じ気持ちでしょうか?

Yun*chi あっと言う間でしたね。(笑) デビューしたのが2012年11月14日で、当時の私は年齢を非公表にしていましたが、あの当時で25歳でした。女性にとって、いわゆる適齢期にも当たる頃で。その年齢から大好きな音楽のお仕事をさせていただけるチャンスを掴めたことから、「何が何でもそこから10年間は絶対に音楽のことだけを考えていこう」と心に決めて、音楽活動を始めました。その時は10年間は続けると心に誓いながらも、正直に言うと「長い日々だな」とも感じていました。でも実際に10年経ってみたら、「あっ、意外と早かったな」「10年経ったけど、まだまだ出来ていないことも、やりたいこともいっぱいあるな」という気持ちです。

■10年を経過してもまだまだ欲求が尽きないのは、とても素敵なことだと思います。

Yun*chi 私のこの10年間は、ずーっと光が当たり続けてきた華やかな音楽人生ではありませんでしたし、山あり谷ありの道を進み続ける中、いろいろと叶えられたこともありますけど、叶えられないことや、やりきれなかったこともたくさんあります。むしろやれることも、やりたいことも、年数を重ねるごとに増えています。それが今の私のモチベーションにもなっていますね。

■Yun*chiさんの場合、海外にも大勢のファンがいます。結構早い時期から海外展開もしていましたよね?

Yun*chi いろんな国に行かせていただきました。私はデビューするまで海外へは行ったことがなかったんですけど、たくさん海外に足を運べたのは、本当に素晴らしく貴重な経験になっています。これは余談になりますけど、私の初海外先はイギリスでした。あの時は十数時間のフライトで、「こんなにも長時間飛行機って空を飛べるんだ、すごーい!!」と驚いていたのを思い出します。それとあの当時、周りの海外旅行経験者の方々に「飛行機中は土足厳禁だから、スリッパを持参しなきゃいけない」など、いろんな間違った情報を教えられて、騙されていたこともよく覚えています。(笑)

■海外での活動は、ご自身の音楽面にもいろんなプラスの影響を与えてくれましたか?

Yun*chi 例えば“Waon”という楽曲では、世界中から好きな日本語を募集し、それを歌詞にしているんです。しかもコーラスには24ヶ国の方々に参加していただいて作りました。ジャカルタの公演で“Waon*”を歌った時は、サビの部分をジャカルタ語に変え、その歌詞カードを事前にみんなに配って、みんなと一緒に歌ったりなど、すごく楽しい思い出も心に残っています。他にもイギリス人の男の子と一緒に歌った楽曲もあったりなど、本当に私の表現の幅を広げてくれたとても貴重な機会になりました。

■それらの経験が、Yun*chiさんの音楽面での幅も広げていったわけですからね。

Yun*chi そうなんです。私は新しい音楽に出会うのが今でも好きなように、いろんなプロデューサーの方々とお仕事をする度に、いろんな音楽スタイルに挑戦させていただいて、その幅を広げてきました。そのスタイルは今も変わっていなくて、人との出会いが私の表現の幅を広げ続けてくれています。嬉しいのが、みなさん音楽のプロフェッショナルですけど、いろんなことに対して興味や感心を深く向けている方々ばかりなんですよね。いろんな出会いを通して、映画やゲーム、アニメへの造詣も深まったし、映画一つを取っても、劇伴への蘊蓄を学べたりとか。m-floの☆Taku Takahashiさんはお料理がすごく得意な方で、私も料理を作るから、Takuさんの料理の作り方を見て、「えっ!こんな作り方があるんだ」と、嬉しい驚きを覚えながら作り方の手ほどきを受けたこともありました。

■10年という歩みの中、ご自身の音楽に向き合う上で、意識面での変化もいろいろとありましたか?

Yun*chi それこそデビュー間もない頃のYun*chiを知っている方が、新曲の“Ienai”を聴いたら、「えっ、同じ人?!」と驚く可能性があるんじゃないかと思えるくらい、いろんな変化があったと自分でも感じています。ただし、それも意図したことではなくて、自分がまだ味わったことのない音楽をいろいろと探していく中で、出会い、それを積み重ね、進んできた結果としてのことだと思っていて。それは自分一人では生まれなかった変化だし、いろんな方々との出会いが私に与えてくれた影響だと思っています。そしてそれはこれからも続いていくと思います。

■新曲“Ienai”との出会いについても教えてください。

Yun*chi この曲は私のライブ活動の時にギターを弾いてくれている水永康貴さんの楽曲で、元々20代の頃に康くん自身が自分のバンドで歌っていたという、淡い恋心を記した楽曲なんです。それで康くんが「この曲、Yun*chiが歌っても似合うんじゃない?」と言ってくれたことから、ライブの中で歌い始めたんです。そうしたらとても評判が良く、物販だけで手に出来るCD盤にして販売もしました。同時に「正式の音源にして欲しい」というリクエストも受けていたんです。それもあって、もともとは男性目線の歌詞だったところを、Yun*chiの目線に少し歌詞の表現も変えて、当初はアコースティック色が強かったところを、新たにサックスの音色なども加えた今のスタイルにアレンジし直しました。その上で、今回のベスト盤の制作話が立ち上がったことから、メーカーのプロデューサーさんに「絶対にいい曲だから、形にして収録したいです」とお願いをして、今回実現しました。

■男性目線から女性の視点になったことで、より身近に感じられるようになったんじゃないですか?

Yun*chi それはありましたね。女性目線に置き換えたことで、より説得力が増して歌えたなと思っています。ただし、康くんが歌っていた頃からこの曲が持っていた淡い恋心など、軸となる部分はそのままにしています。

■今回のベスト盤をリリースすることになった経緯も、Yun*chiさんの言葉を通して聞かせてもらえますか?

Yun*chi 今回のベスト盤は、私から「10周年のベスト盤を出しませんか?」と提案した上で動き出しました。きっかけは今年1月に新木場にあった新木場STUDIO COAST(ageHa)が閉店になるということで、最後にもう一度足を運ぼうと、私は「俺たちなりのageHa」というイベントに遊びに行きました。Yun*chiと言えば“Your song*”と言っていただく方も多いように、アニメ「ログ・ホライズン」のエンディングテーマとして流れたことをきっかけに、“Your song*”を通して私と出会ってくださった方々が多いと思いますが、そのイベントのメインの大きなフロアから小さなフロアまで、どのフロアでも必ず“Your song*”を耳にしていたんですよ。今回のベスト盤に収録した“Your song* DJ Shimamura Remix”に至っては、そのイベントに出演したDJ Shimamuraさんが、自らリミックスして流してくれていたものなんです。その様を見て「みんながこんなにも“Your song*”やYun*chiの音楽を愛してくださっているのに、今の私は何をやっているんだろう……?」という思いになり、それで「10周年を記念したベスト盤を出しませんか?」と、レーベルのプロデューサーに話を持ちかけ、今の自分の気持ちをお話しました。そこから今回のリリースへと繋がったように、今回のベスト盤制作のお話もいろんな方々との繋がりがあった上で生まれたことだったので、その繋がりにはとても感謝しています。