■“Your song* DJ Shimamura Remix”は、原曲とはテンポも含めだいぶ変わりましたよね。初めて聴いた時、どんな風に思いましたか?
Yun*chi テンポが速くて「すごく元気な楽曲になったな」という印象でした。もともとこの曲は希望にあふれた心に元気にしてもらえる歌でしたけど、リミックスした楽曲では一緒にダンスも踊れるような、さらに楽しく聴ける曲に仕上がっています。ベスト盤にはオリジナルバージョンも収録しているので、リミックスとはどういうものかがいまいちよくわからない方は、この2曲を聴き比べていただければ理解してもらえると思います。
■今回のベスト盤に収録した曲たちは、ファンの方々からリクエストを募り、上位24曲を収録していますね。
Yun*chi 自身で選曲していたら、きっとこうはならなかったと思います。むしろ、みなさんからリクエストを募って良かったなと私は思っています。というのも、みなさんただ楽曲をリクエストしてくださっただけではなく、選んだその曲についてのいろんな思い出なども書き添えてくださっていたんです。一つ一つの文章を読む度に、「私が思い考えていたことは、しっかりと伝わっているんだ」と嬉しくなったし、自分では意図していなかった思いを読み、「あー、そういう風にも受け止めてもらえたんだ」と、喜びをたくさん実感してきました。その寄せられたお手紙の数々が嬉しすぎて、一度配信を通してみなさんからのお手紙を紹介しようとしたことがありました。結果、読み始めて数秒で泣き始めてしまい、どのお手紙も涙で読めなくなったことから、「今日は読めません」となって終わったこともありました。(笑) それくらいみなさんの思いが深く伝わってくる内容ばかりだったから、本当に嬉しい経験になったし、「私の歩んできた10年間は間違いじゃなかった」とも感じられる、とても素敵な経験になりました。
■今は全国ツアーを通して、その曲たちを届けているんですよね?
Yun*chi 今回のツアーでは、収録した全曲を歌う気持ちで各地を回っています。本当なら全26曲に加え、今年いくつかリリースした新曲たちもあるから、そのすべてをお届けしたかったのですが、さすがにライブの演奏時間的にも限度があり、メドレーなどもいくつか組み込みつつ、結果的に全部のツアーを通して全曲網羅できたらなと思っています。だから、その時その時にしか聴けない楽曲もあります。
■今年に入ってからも、2曲リリースしていますもんね。
Yun*chi タカラトミーのリカちゃんドリームプロジェクト“ゆめみるリカちゃんの歌”を歌わせていただいた時は、 リカちゃんという歴史のあるお人形さんということもあって、本当に幅広い世代の方々に親しんでいただけました。ScapeRec,Tokyoを主催する宝生久弥氏とコラボレートした“FEEL”では、90年代の小室さんのようなサウンドの楽曲にも挑戦しました。私自身が歌う形では初めて触れる音楽性だったから、それも楽しくて新鮮な気持ちで歌えました。そういう曲たちも今回のツアーの中には織りまぜながら、過去から現在までの10年間のYun*chiの姿を伝えていく気持ちで回っています。
■どの楽曲も思い出深いとは思いますが、あえて「自分の分岐点になった」と思える楽曲があれば、ぜひ教えてください。
Yun*chi やっぱり一つはいろんな人たちとの出会いのきっかけになった“Your song*”になります。そしてもう1曲、“今僕のいる場所が理想と違っても”ですね。これはみなさんにも重なることだと思いますけど、私自身、思うように上手く物事が運ばない時や、思いとはちょっと異なる結果を導き、戸惑いを覚えることもいろいろとありました。その度に、私が前へ進む上で背中を押し続けてきたのが、“今僕のいる場所が理想と違っても”でした。例え今いる場所が理想と違っていても、その環境を包み込む周りの人たちの優しさを感じたことで、そこからまた新しい地平が見えたりなど、心が迷い葛藤する度に背中を押されて、新しい扉を開け続けてこられました。もちろんこれからもそうしていくんだと思います。あと、新曲の“Ienai (PROD.Yasutaka Mizunaga)”は、歌詞と想いを照らし合わせながら、ぜひMVも見ていただきたいんです。
■あの老夫婦が出てくる作品ですね。
Yun*chi そうです。実は私、それまで“Ienai (PROD.Yasutaka Mizunaga)”に登場する男女は、20代だと思っていました。だけど、ジャケット撮影もしてくださった岡奈穂子監督が、MVではカップルの姿を老夫婦に置き換えて表現してくださったことで、また新たな解釈が増え、歌詞の受け止め方の視点も一気に広げてくださいました。私なりの解釈はいろいろとありますけど、このMVに関しては歌詞と映像とを照らし合わせながら、それぞれの解釈で想像を広げて欲しいと思うから、あえて細かいことは言わないようにしておきます。中に出てくる私もとある設定を持っています。それが何かも探りながら、ぜひご覧になってみてください。
■最後に10年前の自分について、そして10年後の自分はどうなっていそうか聞かせてください。
Yun*chi 10年前の自分は知らないことがとても多く、頑張り方もわからないような状況の中、猪突猛進で突っ走っていたと思います。10年経った今でもわからないことはいろいろありますけど、少しは周りを客観視できるようになってきたとは思っています。もちろん、10年後も音楽を続けている気持ちだからこそ、次の10年間もいろんな人たちに応援していただけるように精進していきたいと思います。
Interview &Text:長澤智典
PROFILE
幼少期より音楽好きな両親の影響でヴォーカリストに憧れて育ち、デビュー前から様々なアーティスト作品やコンピレーション・アルバムに参加するようになる。2012年11月のメジャーデビューミニアルバム『Yun*chi』が「ミュージック・ジャケット大賞2013」にて「大賞」を受賞。オリエンタルなルックスを活かしモデルとしての活動も行っている。2013年、2014年とロンドンで開催された「HYPER JAPAN」に2年連続で登場。TVアニメ「ログ・ホライズン」エンディング・テーマ“Your song”、“Wonderful Wonder World”と、第1・2シリーズを担当。2015年TVアニメ「うーさーのその日暮らし 夢幻編」主題歌“Lucky Girl”を担当。2017年、初めての日本語タイトル曲の収録された『Canvas』をリリース。本作では作詞だけでなく作曲にも挑戦している。2022年4月より、タカラトミー リカちゃんドリームプロジェクト“ゆめみるリカちゃんの歌”歌唱担当。2022年10月、ScapeRec,Tokyoを主催する宝生久弥氏とのコラボレーション曲“FEEL”をリリース。2022年11月16日、デジタル・アルバム『TEN.~Yun*chi10th Anniversary Request Best~』をリリース。
RELEASE
『TEN.~Yun*chi 10th Anniversary Request Best~』
デジタル配信リリース
https://yunchi.lnk.to/ten
日本クラウン
11月16日 ON SALE