■最後の曲は、このEPのタイトルトラックである“Sweet & Sour”ですが、こちらの曲の聴きどころも教えてください。
mikina この曲は「何年も自分の中で生きる夏」という感じです。ひと夏ではなくて、いつか思い出した時に感じる夏というイメージでした。歌詞がすごく素敵で、いろいろとわかってきている人生の中での「今ココ」みたいな。(笑) 今の自分の感覚とも合っていたので、すごくいいなと思いましたし、歌いやすかったです。
■「ここまでやってきての今だからこそ歌える曲」という感じですね。デビュー曲でこの曲を歌えと言われても、なかなか感情が追いつかない感じですよね。いろいろと思い出す過去もありつつ。yu-kiさんは?
yu-ki 今過ごしている大切な一瞬一瞬を閉じ込めてくれる曲です。ライブで観る前にこの曲を聴くのと、ライブで観た後にこの曲を聴くのでは、だいぶ印象が変わるんじゃないかな?と思います。この曲を聴いた時に、自分にとっての忘れたくない時間とか、大切な時間が思い浮かぶ曲だなと感じました。なので、私たちもそういう時間を作れたらいいなと思います。
mikina 私はこの曲を歌っている自分を俯瞰で観てみたいな。(笑) お客さんとして観たらどういう気持ちになるのかが気になります。
■ちなみにこの曲はMVも制作されていましたが、MVの注目ポイントもそれぞれ教えてください。
mikina 私はずっと浜辺での撮影だったんですが、本当に映画みたいな綺麗な場所で。自然のものなので、その日だけの波の高さだったり、波の音だったりするんですけど、自然の音を感じながらだと出てくる自分の表情なんかも違うんですよ。自然に引き出されるというか、それがすごく面白くて。自然とこの曲に引き出された自分の表情が、まだ言葉にしていない感情や表情だなと感じたので、そこが見どころかなと思います。
yu-ki 今作の監督は、今まで私たちにとって大切な曲を撮ってくれている大喜多監督だったんです。いつもすごく愛を持って撮ってくださっているので、撮る時に毎回「このシーンはこういう想いが込められている」というのを、ひとつひとつ説明してくださるんです。今作は「繋がり」というテーマで、この手を伸ばした先に他のメンバーが手を伸ばしているとか、細かく説明してくださったので、自分でも「それを想像して撮ると、こういう表情になるんだ」という発見もあったし、そういうのを引き出してもらえてすごく嬉しかったです。
■ちなみにyu-kiさんがソロで歌っていたのはガソリンスタンドですか?
yu-ki そうです。私はすごい雨女で、今までのMV撮影の時にも、いつも雨に振られたりするんです……。もしかしたら今回も雨が降るかもしれないと監督が気を遣ってくださって、「yu-kiは屋根があるシチュエーションにしておいたよ」と言われて。(笑) でもその日は無事に晴れたままで撮影出来ましたけどね。
mikina いやいや、そもそも本来はその日の前日がMVの撮影日だったんですよ!前日はすごい雷雨だったので、1日ズラしたんです。(笑) あなたのせいかどうかはわからないけどね。(笑)
■他にMV撮影でのハプニングや裏話はなにかありましたか?
yu-ki 砂浜での撮影だったので、機材を運ぶための大きなトラクターみたいなのがあって、私とnowが「乗りたい!乗ってもいいですか!?」とスタッフさんにお願いしたら、「いいよ!」と言ってもらったので、2人で乗ったんです。砂浜を「GO!GO!」とか言ってはしゃいでいたら、nowが衣装を汚してしまって……。でもnowは衣装さんに怒られるのが怖くて、ずっと隠していたんですけど、結局バレてしまって謝ったら、「後ろだし見えないからいいよ」と言ってもらって、一安心ということがありました。(笑)
mikina この2人はお菓子のことでケンカしたり、はしゃいだり、1日中元気でしたね。(笑)
■mikinaさんはなにかハプニングはありませんでしたか?
mikina 実は私も波打ち際ではしゃぎすぎて海にガッツリ入ってしまって……。(笑) しかもズボンの裾に砂がたくさん入ってしまって、それが重りみたいになって……。衣装さんと2人で砂を一生懸命に取るのが大変でした。総じてみんなして衣装さんに迷惑をかけるという。(笑)
yu-ki あと、私の頬に水滴が落ちるシーンがあるんですけど、あのシーンは監督が実際に上からスポイトで水を垂らしているんですけど、なかなか1滴だけを垂らすのが難しくて……。何回やっても上手くいかなかったので、最後「これで上手くいかなかったら、2滴垂れてるやつの1滴だけを後で消します」と言って臨んだテイクが、奇跡的に1滴だけ垂れたテイクだったんです。使われているのはその奇跡のテイクです。(笑)
■今作のレコーディングで一番苦労した曲や、自分なりに工夫した曲などがあったら教えてください。
mikina 私は“教えない”かな。この曲のデモ音源はKBSNKさんの声で入っていたんですけど、KBSNKさんの声をめちゃくちゃ聴き込んで練習しました。この曲は不思議な音階が多いので、自分の中でちゃんと音階のイメージをしないと上手く歌えなくて。ちょっとでもズレると雰囲気がまったく変わってしまうので大変でした。すごく繊細な曲だと思います。
yu-ki 私は“Sweet & Sour”がすごく好きで、この曲は大切に歌いたいなと思っていたので、家でも何回も練習してからレコーディングに挑んだんですけど、消費カロリーがエグかったですね。(笑) この曲はリズムで歌うとかいうよりも、感情をいかに込めて歌うかがポイントだったので。感情を込めるのが一番疲れるというか……なので、この曲を歌い終わった後はドッと疲れが来ました。でも、だからこそ出来上がったものがいいものになったし、ぜひたくさんの人たちに聴いてもらいたい1曲になりました。
■今作の初回生産限定盤には、今年3月にSeihoさんと行われたスプリットツアーのSpotify O-EAST公演でのライブ映像も収録されますが、この映像の見どころや、そのライブでの思い出などがあったら教えてください。
mikina この間、みんなで副音声を録ったやつだ。その副音声もぜひ聞いてみて下さい。あと、このライブではVJを使っていたので、そこにも注目してもらいたいです。特に“虜”の曲の時には、立体的なハートが後ろにバーッと出てきて、すごく可愛い映像になっているので。
yu-ki 副音声でキーとなるワードがあって、「メロい」という言葉にみんなハマって、めっちゃそれを使っていました。(笑) ライブ中のメンバーの表情を観て、すごく表現力があがっていて、「そんな顔してるなんてズルい」みたいな時に、「メロい」を連発していました。(笑) 意味合い的には「もうメロメロ」みたいな、恋して「キュン」とするような感じの時に使っています。
■では、今後のツアー後半のライブや、「六本木ヒルズ 夏祭り SUMMER STATION 音楽ライブ」など、夏フェスに向けての意気込みも教えてください。
mikina 来てくれるお客さんと一緒にその時の感情を大切にしたり、一緒に時間を過ごすことを変わらず大事に思っているので、ひとつひとつ丁寧にやっていきたいと思っています。
yu-ki 最近は野外でやりたい曲や、みんなで大合唱したい曲が増えたので、みんなと一緒にその時間を作っていけたら嬉しいなと思います。
■2024年もあっという間にもう折り返しですが、今年中にやっておきたいことを教えてください。
yu-ki 海に行きたい!今年の春はツアーの準備とかもあって、あんまりゆっくりできる時間がなかったので、今年の夏こそは隙間を見つけてサーフィンもしたいし、ダイビングのライセンスも取りに行きたいし、ビアガーデンにも行きたいです!
mikina アクティブ過ぎない?(笑) 夏で1年終わる気でいるの?(笑)
yu-ki 秋になったら燃え尽きてるかも……。そこから年末まで虚無で過ごしていたらごめん。(笑)
mikina 私もyu-kiちゃんとは違う意味で海に行きたいです。(笑) 静かに釣りとかをしながら凪を感じたいです。船には乗らずに堤防に座って、テトラポッドの隙間に糸を垂らしながら、風と波の音を感じて。(笑)
■じゃ、今年の夏は海に行ったらお2人に会えるかもしれませんね。(笑)
mikina はい。まるで両極端な二人に。(笑)
■7月19日にはmikinaさんのファーストソロ写真集「life」も発売されましたが、こちらの見どころもぜひ教えてください。
mikina この写真集は、世界観やコンセプトから私の希望を伝えさせていただいて、できる限りのわがままを叶えてもらった写真集になっています。大事にしているこだわりみたいなものもあるので、ぜひ見ていただきたいです。写真集って「一度見たらおしまい」みたいなイメージがあるんですけど、何年か経って、私のことをもし忘れていたとしても、久しぶりに見ても「なんかいいな」と思ってもらえるような作品を目指したし、急に見たくなる瞬間がくるような、そんな写真集にもしたかったので、コンセプトとか、ロケの雰囲気とかも含め、何年も寄り添えるものになっていると思いますので、ぜひ見てみてもらいたいです。
yu-ki 表情とかにも注目して見てみてください!
■yu-kiさんはもう見られたんですか?
yu-ki はい。服も可愛いんですけど、表情もひとつひとつ違うし、写真の明るさとか色味までこだわっていたりするので。それに表紙も自分で選んだし、こだわりがたくさん詰まった作品になったので、ぜひたくさんの人たちに見ていただきたいです。
mikina まるで自分のことのように、ありがとう。(笑)
■それでは最後に読者に向けてそれぞれメッセージをお願いします。
yu-ki 大切な人に届けたい気持ちがたくさん詰まったEPになっているので、それぞれに聴いた人が大切な人を思い浮かべながら、愛しい気持ちを思い出したりとか、当時の風景を思い出したりとか、いろいろな楽しみ方をしてもらえたらいいなと思います。
mikina 今作に収録された曲たちは、結構情景が浮かぶというか、匂いまでもわかるような曲が揃っていて、一日中聴いていられるし、一人の時間をすごく楽しめるような曲が多いので、いろいろな場面で聴いてもらえたらいいなと思っています。聴いた後は重く受け止めて、その余韻を楽しんでもらえたら嬉しいです。(笑)
Interview & Text:土谷拓史
PROFILE
2022年6月にEMPiREのメンバー、yu-ki、mayu、midoriko、mikina、maho、nowの6名で結成されたグループ。所蔵事務所はWACK、レーベルはUNIVERSAL MUSIC / EMI Records。2022年11月に、大沢伸一(MONDO GROSSO)、デニー・ホワイトら、国内外のさまざまなクリエイターが参加した1stアルバム『xYZ』を発表。2023年5月にグループ始動から僅か9ヶ月で日本武道館でのワンマンライブを成功させた。同年7月よりライブハウスツアー、対バン形式のZeppツアー、オールナイト公演を含むクラブツアーを5ヶ月にわたって開催。2024年1月に、大沢伸一のゼロ年代ダンスミュージックアンセム『Our Song』を大沢自身によるプロデュースでリリース。3月に東名阪にてSeihoとのスプリットツアー『ExWHYZ presents ‘SeihoWHYZ’』を開催し、バラエティアルバム『Dress to Kill』をリリース。現在までに、ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)、Seiho、yahyel、Shin Sakiura、80KIDZなどの多数のクリエイターがサウンドプロデュースを務め、フルアルバム2作、EP1作、企画アルバム1作をリリース。2024年5月から全国19都市20公演のワンマンツアー『ExWHYZ TOUR 2024 ‘Futura Free’』をおこなっている。9月8日には追加公演『ExWHYZ TOUR 2024 ‘Futura Free’』が決定。9月28・29日には沖縄桜坂セントラルでの」再追加公演、FCイベントの開催も決定している。
https://www.exwhyz.jp/
RELEASE
『Sweet & Sour』

初回生産限定盤(2CD+BD+PHOTOBOOK)
UPCH-29474
¥10,000(tax in)

DVD盤(CD+DVD)
UPCH-20674
¥5,800(tax in)
通常盤(CD)
UPCH-20675
¥2,500(tax in)
EMI Records
7月31日 ON SALE