FantasticYouth VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

『BlueGuns』

■LowFatさんが作る曲の方についても聞きたいんですけど、すごく引き出しが多いなと思って。『BlueGuns』はロック色の強い曲が多いですけど、ロックの中にクラシックっぽさがあったり、EDMっぽい感じが入っていたり、ほとんどの曲にラップが入っていたりするじゃないですか。何か違う要素を混ぜようという意識があるんですか?

LowFat 思考を働かせているというよりは、感覚的なものだと思うんですけど、「ごちゃっとした作りにしたい」という意識は働いているのかなと思っていて。ジャンルレスな捉え方をされるような曲を作りたいなと思っています。

■そもそもLowFatさんは、どんな音楽を通ってきたんですか?

LowFat ジャンルはかなり浅く広くで。いろんな人のいろんな曲を聴いて、こういう部分は好きだなっていうところだけ吸い上げてきた気がします。

■ピアノは習っていたんですか?

LowFat 幼少期に母に教わっていました。でも、すぐ反発してしまって辞めちゃったんです。バイオリンも少しやっていたので、クラシックの影響はバイオリンからの方が強いかなと思います。

■そうだったんですね。他の楽器経験もあるんですか?

LowFat それに関しても浅く広くというか。吹奏楽部で管楽器を吹いたこともありまして。中学3年の時には、アコースティックギターを弾いて歌うみたいな文化にも触れつつ、高校に入ってからはエレキギターやエレキベースも弾いたり。

■ラップが入った曲も多いですけど、それも昔から触れていたんですか?

LowFat 中学生の時にラップが流行った時期があって。最近のラップはそこまで追えていないですけど、割りと昔から親しみはありました。

■そうなんですね。Onyuさんも楽器をやっていたんですか?

Onyu 私も小さい時に6年くらいピアノを習っていたんですけど、形にできるようなものではなくて。私も浅く広く、ジャンルレスにいろいろ聴いてきたとは思います。

■お二人ともバンドの経験はあるんですか?

Onyu 学生時代はバンドを組んで、ボーカルをやっていました。

LowFat 僕もめちゃくちゃバンドやっていました。

■勝手にインターネット生まれインターネット育ちみたいなイメージを持っていたので、ちょっと意外でした。

LowFat そういうアナログ的なところもちゃんと通っていますよ。(笑)

■そういうお二人が一緒にやる上で、この要素は絶対に入れようと決めていることはあるんですか?

LowFat おそらくないですよね?

Onyu ないですね。

■たとえば今回の『BlueGuns』では、“ウゴクオト”以外は2人とも歌もしくはラップをしているじゃないですか。ツインボーカルというのはFantasticYouthの個性でもあると思うんですけど、そういう意識はないんですか?

LowFat 各々が何かしらで曲に参加すると自然とそうなるだけで、特に制約があるわけではないです。僕の中では、自分の声はスパイス的な感じで捉えていて。ここぞというような曲では、アレンジの一部として加えたいなという気持ちは強いんですけど、全曲そうなってしまうとスパイスではなくなってしまうので、自分の声が入っていない曲も作りたいなと思っています。

■(3曲目の)“ドンスタ”は、LowFatさんのラップの比率の方が高いですよね。

LowFat あれは逆スパイスというか。「たまにはうるさいやつもあるよ」みたいな感じです。(笑)

■僕は『BlueGuns』を聴いて、ツインボーカルということ、何かと何かが混ざったサウンドになっていること、歌詞が自分に厳しいところ、その3つがFantasticYouthのアイデンティティなのかなと思いました。

LowFat そうかもしれないですね。

Onyu うん、うん、うん。

■でも、自分たちで意識しているわけではないんですよね?

LowFat はい。

Onyu そうですね。

■そういう自分たちの個性について、お二人で話し合うことはないんですか?

LowFat うーん、なくはないですかね?

Onyu そうですね。

LowFat 基本的には、いろんなジャンルでいろんなことをしたいっていうのがあって。それと、こういう言い方はおこがましいですけど、自分たちの中での美学みたいなものはちょっとあって。そこは絶対に守ろうと。

■その美学というのは?

LowFat 音楽を第一にもっていきたいというか、それ以外のところであんまりアピールしたくないというか。いろんな売り方があって、それは悪いことではないと思うんですけど、あくまで作った音源で勝負したい気持ちは強くあります。

■メジャーデビュー曲が“真刀勝負”だったのは、そういう理由だったんですか?

LowFat そうなんですか?

Onyu うーん……。そういう美学に関してだけではないですけど、決意表明と言いますか、そういう気持ちは歌詞に書けているかなと思います。

■その“真刀勝負”を出してから半年ほど経ちましたけど、ここまで振り返っていかがですか?

LowFat 今はいろいろな人の助けを頂いて活動できているので、ここから自分たちの魅力を出し切って、ちゃんと結果を残して、恩返ししていきたいなと考えています。

Onyu “真刀勝負”の配信をスタートに、制作とかの数も多くなって、今までより曲を作るペースも早くなったんです。そういう中でもしっかり自分のいいと思うものを作っていけたらいいなと思います。

■メジャーでやる前と後で、変化は実感していますか?

LowFat 以前とはだいぶ変わったなと思っています。特に(メジャーデビューする)直前の時期は、僕たちも少しだらっとしていた部分があって、いろんな活動のペースが遅れていたんです。それが今はかなり早いペースで活動できているので、とてもありがたいことだなと感じています。

■制作に追われることがいいプレッシャーに?

LowFat そうですね。このコロナ禍で例えるなら、今までは在宅ワークみたいな感じで、人に見られていないからだらけちゃうところもあったんですけど、今は出社しているような感覚ですね。人の目もあるし、ちゃんとやらないといけない。シャキっとした空気にできてよかったなと思います。

■今作にも収録されている“品行崩壊”がドラマ『RISKY』の主題歌になったのも、メジャーになったからこその仕事だったんですか?

LowFat そうです。この曲で初めてFantasticYouthを知ってくれた人も多いみたいで、今までとは違う層からSNSで反響がありました。そういう自分たちだけでは届けられなかったところに、どんどん届けられたらいいなと思っています。

■インターネットの外に飛び出すというか?

LowFat インターネットも大事にしたいんですけど、今はいろんなところに導線を張り巡らせた方がいい時代なのかなと思っていて。インターネットも活用しつつ、インターネットだけじゃない活動ができたらいいですね。

■この先の目標はどんなものを描いていますか?

Onyu まずはたくさんの人に聴いてもらって、その時に「いいな」と思ってもらえる音楽が作れたらなと。制作面で言うと、歌詞を書く機会が増えて、書いているうちに「こういう曲も書きたい」とか、新たに書きたいことがいっぱい出てきているんです。そのうちのひとつが死生観なんですけど、まだ自分の中に確固たるものができあがっていないので、これからいろいろ経験していく中で、今の自分ではまだ書けないもの、作れないものを作っていけるようになったらいいなと思っています。

■最初の方に10代に響いて欲しいと言われていましたけど、10代にはどんなことが届いたらいいなと思いますか?

LowFat こちらの想いを届けるというよりは、彼らがいろいろあった時に、何か助けになるような曲になるといいなと思っていて。Onyuは「自分の背中を押してくれるような詞を書いています」と表現することが多いんですけど、何か挫けそうな時に僕たちの曲を聴いて、「よし、やるか」というような気持ちになってもらえたら嬉しいです。

Onyu 私も届けたいというよりは、共感してもらえたり、リンクする部分があるといいなと思って歌詞を書いていて。当たり前のように生活のかたわらに置いてもらって、何かあった時に背中を押せるものになったらいいなと思います。

Interview & Text:タナカヒロシ

PROFILE
2017年結成。圧倒的歌唱力を持つボーカリストOnyu(おんゆ)と、コンポーザー兼ラッパー・ボーカルを担うLowFat(ローファット)による二人組音楽ユニット「FantasticYouth」。ユニット初の投稿動画は累計再生数1,000万回を超える話題のヒット動画となり、ニコニコ動画内ではエンターテイメントカテゴリで50週連続TOP100にランクインしている。結成してからわずか7ヵ月でさいたまスーパーアリーナにて行われたライブイベントに出演。動画投稿サイトでの総再生回数は8,000万回を超える。
https://fantasticyouth.com/

RELEASE
『BlueGuns』

UPCH-2221
¥2,860(tax in)

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