GOOD BYE APRIL VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■そういう共通意識があるからこそ、このどこを切り取っても冬を感じるイントロが生まれるんだろうなと。白い息と、静かに降り注ぐ粉雪がパッと頭の中に広がります。

延本 これ聴いて夏だと思う人は、まずいないですよね。(笑)

倉品 音しか鳴っていないのに、景色が見えたり、季節の匂いがするのって、音楽の醍醐味ですよね。やっぱり僕はそういう音楽の分析しきれない感じが好きで、ロマンを感じるんです。これからも音を使って、音以外の景色、匂い、感情を表現していきたいですね。

■“夜明けの列車に飛び乗って”を含め、2023年はいろんなチャレンジに満ちた1年になりましたね。

延本 今年は人生でいちばん幸せだったかもしれない。林哲司さんの作ってくださった楽曲に歌詞を乗せて、メジャーデビュー曲“BRAND NEW MEMORY”を作れたことも嬉しかったですし、尊敬するいろんな方々とのライブでのコラボレーションや制作がすごく修行になったんです。自分たち以外の人が書いた曲を演奏しなきゃいけないので、ベースを始めた時みたいな基礎練習をたくさんして。人生でいちばんベースを弾きましたし、いろんな人と演奏することで、音楽がもっと好きになりました。

吉田 1年通して音楽をいっぱい勉強できて楽しかったですね。EPOさんとはライブでのたった1回の共演だったんですけど、リハも数回一緒に入ってくださったし、いろんな話をしてくださったんですよ。そこで自分が漠然とやってきたことに対して、腑に落ちるところがたくさんあって。

延本 「ポップスは建築物」っていう話ね。

吉田 そうそう。すべての楽器がそれぞれの役割を担うことで頑丈な建築物を作るっていう理論を聞いて、「自分たちがこれまでやってきていたことって、そういうことやったな」と理由づけができたんです。それで自信を持てるようになりました。

つのけん 今年はお会いしたことがないコブクロの小渕健太郎さんが、“BRAND NEW MEMORY”を絶賛してくださったり、自分たちの音楽が届き始めていることを実感できて、可能性を感じましたね。あと、スキマスイッチの常田真太郎さんがEPOさんとのツーマンライブを観に来てくださって、その時にいろいろとアドバイスをいただいたことで、自分の新しい課題も見えてきたんです。「もっとドラムでいろんな表現ができるな」とも思っているので、レベルアップのための練習に励んでいます。

倉品 自分たちが自分たちの目指すものをちゃんと真面目にやってこれたから、出会いたい人たちにたくさん出会えたと思っています。だから、これからも自分たちを自分たちで超えていかないといけないし、これからも自分たちが脱皮するための新しいチャレンジをして、ベストを更新していきたいですね。それを繰り返すことで、バンドの天井がどんどん高くなっている感覚があるんです。

■まだまだやりたいことが山ほどあると?

倉品 自分なりのポップスを作るということは、際限なく一生追求していくものだと思うんですよね。すぐ答えが出ることでもないし、答えが出ることと結果が出ることがイコールかというと必ずしもそうでもない。やるべきこと、やりたいことがほんとに山のようにあって、来年もそのワクワクを持ったまま活動していきたいですね。つのけんも言っていたとおり、4人全員が新しい可能性を発見し続けている。13年やってきたバンドが、いまだに新人みたいな気持ちでいられていることは、すごく大事だと思うんですよね。あと、年齢を重ねれば重ねるほど音楽家としても成熟できると思うので。

吉田 この13年で引き出しも増えたから、いろんなことが試せるようになったかな。遊び心も増えたし。

延本 そうだね。肝が座ったなと思います。4人だけでバンドを動かしていた時期があるから「4人いればなんとかなる」と思えるし、思いっきり挑戦もできるんだと思います。だから、あの時期はバンドの宝物だなと思ったりもするんですよね。今支えてくれるチームの人たちも、一緒にやるならもっと若くてもっと影響力のあるバンドもいると思うんです。それでも一緒にいてくれるのは、音楽に惚れ込んでくれているからなんですよね。音楽さえしっかりやっていれば大丈夫だと思っています。

■2024年は今年の充実を生かして、より豊かな1年になりそうですね。1月のワンマンライブではいち早くそれを体感できるだろうなと。

倉品 間違いなくフレッシュなライブになると思いますね。結成14年目とは思えないくらいの。(笑)

延本 EPOさんが、共演した時に「ライブは何が起きてもいい」ということをしっかり見せてくださったんですよ。「ミスっても私が回収するから大丈夫」って本当に頼もしくて、さらに思いっきりやれたからすごく楽しくて。真面目すぎる私たちを解放してくださったんです。

吉田 本番も何回もアドリブでギター弾くように言われて、「え、まだソロ回しするんすか!?」って慌てて。(笑) 「そんなに引き出しないけどなー」と思ったけど、案外やってみると新しい引き出しがあったんですよね。

延本 あの経験があってから、ヒリヒリしたライブが癖になっちゃって、予定調和を崩しにいきたい欲求が湧き上がっています。(笑) そういうライブをいっぱいしたいな。来年はライブを楽しんでいきたいので、1月のワンマンはもちろん、30分のブッキングライブでも常識を崩したライブをいっぱいしたいです。フェスにも呼んでもらいたい!

吉田 そんな中で、どんな曲ができてくるのかも楽しみですね。僕は神経質すぎるところがあるので制作は毎回しんどいんですけど……音楽は芸術なので。神経すり減らして健康を保ちつつ頑張っていきたいです。

つのけん バンド全体としてライブで堂々としていられるようになったので、どーんと構えていきたいですね。制作はこれまで通り着実に向き合って、その曲が呼ぶ方向に向かって、1個1個着実に進めたらなと思っています。

Interview & Text:沖 さやこ

PROFILE
2011年東京で結成。ニューミュージックを血肉に洋邦の80ʼsサウンドをクロスオーヴァーした楽曲と郷愁を煽る甘い歌声が“令和のオメガトライブ”と話題を呼ぶ、ネオ・ニューミュージックバンド。メンバーや当時のスタッフで好きな単語を持ち寄り、その中に“GOOD BYE”と“APRIL”があり、「それぞれの第2歩」「別れと出会い」という意味を込め、バンド名が決まる。昭和歌謡カバーを収録した7inchレコードシリーズ<「木綿のハンカチーフ」(2020年発売)/「セーラー服と機関銃」(2021年発売)/「Last Summer Whisper」(2022年発売)>は、“HMV売れ筋レコード-予約ランキング”へのチャートインや“ディスクユニオン インディーズ・ヒットチャート”2週連続入りなど、大好評の企画盤となる。また、Spotify公式プレイリストでは国内新譜・City Popプレイリストや台湾のグローバルプレイリストなどに軒並み選曲され、スペインやカナダなどの海外ラジオ局で楽曲がパワープレイされるなど、日本から海外へとリスナーの幅を広げ次世代のポップスシーンを担う存在として邁進している。2020年11月、結成10周年を迎え80ʼsリヴァイバルの金字塔となる3rdフルアルバム『Xanadu』をリリース。2021年夏にリリースされたシングル『missing summer』(ホーン隊に藤田淳之介/織田祐亮(TRI4TH)、湯浅佳代子が参加)は、80ʼs CityPopを愛好するリスナーから話題になる。2022年1月、4thフルアルバム『swing in the dark』をリリース。8月に『missing summer/Last Summer Whisper(杏里カヴァー)』7inchリリース。9月、配信シングル『YES』をリリース。12月、東洋化成主催“レコードの日”にて、代表作『Xanadu』『swing in the dark』をLP化し、2作同時発売。2023年4月5日、メジャー1stシングル『BRAND NEW MEMORY』で、日本クラウン・PANAMレーベルよりメジャーデビュー。4月7日、メジャーデビュー記念ワンマンライブを渋谷 duo MUSIC EXCHANGEにて開催。
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RELEASE
『夜明けの列車に飛び乗って』

デジタル配信シングル
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日本クラウン/ PANAM
12月6日 ON SALE