■ひとりで歌い始めたきっかけは?
林 半年くらいでバンドがなくなって、そのとき「ひとりで歌ってみない?」ってライブハウスの人に言われて。歌ってみたら「いいやん!」って、いきなりライブハウスの冊子の表紙にしてくれたり、めっちゃ推してくれて。でもわたしとしては、手探りでやっている最中だったので、何でそんなに応援してもらえるかがわからないし、それがすっごい不安だったんです。他に仲間や先輩もいっぱいいる中で、どうしてわたしのことを応援してくれるんだろう?こんなにも力を注いでくれるんだろう?って。知らない間に輪が広がってるっていうのが怖くなっちゃって、2年くらいそれで悩んで。
■なるほど。
林 それをまた別のライブハウスの人に相談したら、「それは才能と思って受け入れないと」って言われたんです。助けてもらえるのも才能なんだよって。それを強味にして、何で?ってことは考えず、受け入れて前に進みなさいって。だから、それからもうそういうものとして受け入れようって思えたんです。
■何で?ってところがわからないと不安になるけど、案外そこはどうでもいいことだったりもするんですよね。
林 そうなんですよ。なんか勝手にネガティブに捉えてしまっていたんですよね。だからもう理由は考えず、助けてくれる人がいたら感謝して、頼って進んでいこうって、今はそう思えるようになりました。それに、そうしてくれる人のためにも歌で返そうって思えるようになったし、もらった分自分も応えたい想いが強くなりました。だからいい方向にみんなに連れていってもらっている感じです。
■じゃ、「みんなでメジャーデビュー!ここから出発」みたいな、そういう感覚でもあるんじゃないですか?
林 すっごくあります。弾き語りで全国周った場所や人も全部含めて、メジャーデビューして、もっと大きくなって返りたい場所がたくさんあるんですよ。これからそれが出来るようにがんばらないと、と思うし、楽しみですね。
■高橋(宏貴)さん(ELLLEGARDEN / PAM / THE PREDATORSや、片山(僚)さん(Halo at 四畳半)と一緒にやられて、どうでしたか?
林 高橋さんは、初めてのレコーディングのとき、自分の中から何かを引き出される感覚がすごくあったから、もう高橋さんじゃなきゃだめ、みたいな感じだし。(笑) 片山さんは“散歩歌”で参加していただいて、この曲は弾き語りでもそうなんですけど、繊細さと力強さを出したいと思っていて、アレンジと音でそれを表現してもらえたので、片山さんにやってもらえて良かったです。どの楽器もわたしはプロじゃないから、感覚的なものでしかないから、「どうしてもこの人とやりたい!」っていうのは言えないんですけど、出来上がってみて、「この人と一緒にやれて良かった!」って思える作品が出来たので、めっちゃ嬉しいです。
■刺激にもなりましたか?
林 プレイヤーさんによってこんなにも違うんだってことを初めて体感できたし、でもそれって、わたしが歌うことでわたしの歌になるというか、他の人が歌ったら違うんだって思ってもらえるような歌をうたいたいな、ともあらためて思ったし、本当に刺激になりました。まだまだ全然知らないことがいっぱいあるなって、今回のレコーディングで思ったし、「次はこうするぞ」みたいな課題も生まれ続けているので、これからどんどん成長出来るだろうなって自分に対しての期待もあります。
■アルバムのために作った曲というのはどの曲ですか?
林 “出航日和”“g’ night”“ファイティン”“BLUISH WHITE”ですね。ずっと作ってみたかった、ちょっと子守唄みたいな“g’ night”に、同世代や身近な人を応援する曲もずっと書きたくて書いた“ファイティン”、上京してからのリアルな気持ちを書いた“BLUISH WHITE”、“出航日和”は、まさにここからスタートという曲で、最新の林青空の曲であり、今までずっと書きたいと思っていた曲を書いた感じです。
■そこに昔からの大切な曲が入るって、なんか感慨深いですね。
林 そうなんです。そういう曲たちの中に昔から歌ってる曲である“光”が一緒に入るってことがもうすごく嬉しくて。今までのわたしでもあるし、これからのわたしでもあるアルバムになったなって。
■どの曲でも自分の想いや日常が歌われていますが、そこは昔から変わらずですか?
林 そうですね。わたしはずっと自分のことしか歌っていなくて。自分が想像したこと、自分が感じたこと、見たもの、見たいもの、自分から生まれる想いみたいなものを曲にしていて。その中でも日常に馴染むというか、寄り添える曲になればいいなと思って作っているんです。だから、わたしの日常が全部詰まっているって感じです。
■そういう日常を言葉にしているから、景色が浮かびやすいし、自分の想いや出来事にすっと重なるような気がします。
林 言葉の選び方とか、景色の伝え方とか、聴いている中で「あ、なんかこれ知ってる」とか、「考えたことある」、「感じたことある」って思ってもらえるような曲を書きたいんです。それはずっと変わらなくて。だから聴いてくれる人たちがキャッチして、自分のものにしてもらえるような言葉を今回はたくさん入れられたかなって。
■“ねぇ”は、共感する女の子が多いんじゃないかなって。
林 恥ずかしい。(笑) でもそうだったら嬉しいですね。
■“光”には勇気をもらえるし。
林 そういう意味では、いろんなシーンやタイミング、聴くときによって響く曲が違うアルバムになってくれたかなって思います。
■バラードや切ない曲もあるけど、基本元気というか、フレッシュで瑞々しい曲が揃った気がします。これは青空さんの中にあるものがそのまま出ているのかなって。
林 バラードであっても、マイナーな曲であっても、自分の中にある陽気というか、ポジティブというか、明るい光みたいなものをどこかに込められたらいいなと思って常に曲を書いているので、それが伝わっていたら、すごく嬉しいですね。
■明るい光、伝わっています!では最後にメッセージをお願いできますか。
林 デビューアルバム『出航日和』、時間をかけて大事に大事に作ってきました。新曲もあるけど、昔からの大切な曲も入っていて、それをこうやってアルバムに出来たことに今はすごく意味を感じています。今まで聴いてきてくれた人たちも、みんなで一緒にメジャーにいこう、そしてよりいい景色を見ようという気持ちを反映することが出来たアルバムになったので、これまでわたしを知ってくれていた人も、これからわたしを知ってくれる人も、楽しんで聴いてもらえたらと思います!
Interview & Text:藤坂綾
PROFILE
2014年、地元大阪ライブハウスにて弾き語りでの活動を開始する。コンテストや自主企画ライブなど数々の経験を経て、大阪・梅田CLUB QUATTROでのワンマンライブを成功させる。2018年、初めての弾き語り全国ツアーを行い、ファイナルには初となる東京でのワンマンライブを見事SOLD OUTさせる。2019年4月より、TOKYO FM、FM NORTHWAVEにて自身初となるレギュラー番組を担当中。2020年2月26日、ユニバーサルミュージックより初のフルアルバム『出航日和』でメジャーデビュー。等身大の自分を歌い、景色が見える歌詞、透き通るような声が特徴のシンガーソングライター。
http://www.hayashi-aozora.com/
RELEASE
『出航日和』
UPCH-2205
¥3,300(tax in)
ユニバーサルJ
2月26日 ON SALE