林青空 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

林青空『出航日和』

もっと大きくなって返りたい場所がたくさんある

2014年より地元大阪で活動を始め、これまでに北海道から沖縄まで弾き語りツアーで周り、大阪・梅田CLUB QUATTROでのワンマンライブを成功させた林青空がメジャーデビューアルバム『出航日和』をリリースする。これまで歌ってきた大切な曲を含む全11曲、彼女の想いとそこに関わるすべての想いがようやくこうしてカタチとなった。たくさんの人の宝物になるであろうこのアルバムについて、これまでを振り返りながら話してもらった。

■メジャーデビューを控えていまどんなお気持ちですか?

林 時間をかけて大事に作ってきたアルバムなので、「もう出ちゃうのか」って。(笑) そういう気持ちもあるし、やっぱりドキドキしています。みんなの「聴いたよ!」っていう声を早く聞いて安心したいです。

■アルバムのイメージみたいなものはあったのでしょうか?

林 曲を作り始めたときはアルバムを作る予定ではなかったんですけど、大事にしたい曲や音源で届けたい曲を順番にレコーディングしていく中で、「アルバムで出したいね」って話が出てきて。そこからアルバムならどういう曲を入れたいかなって作った曲もあるし、アルバムを意識せずに作っていた曲もあるし。なので、昔の曲から新しい曲までがここに入っているんですけど、今回のこのアルバムでしかできないことなのかもって出来上がってみて思ったので、こういうカタチで1枚目を出せることがすごく嬉しいです。

■たしかに、1枚目だからこそ出来ることですね。

林 もう5~6年歌っている曲もあれば、新曲もあるので、林青空を知ってもらうにはぴったりの自己紹介的な1枚になったかなって。

■その5~6年前から今までを振り返ってみていかがですか?

林 時間的にはすごいスピードで進んだなって思うんですけど、こうやってCDで音源を出せるところまでって考えると、すごく長かったような気がします。飛び級せずに一歩ずつ進んできた感覚なので……やっぱり長かったな~。(笑) やっとっていう感じです。

■そもそも歌い始めたきっかけ、歌に興味を持ち始めたきっかけというのは?

林 3歳からクラシックピアノを習っていて、音楽が身近なものではあったんですけど、ものごころつく前から「歌が大好きな子どもです」って両親に紹介されるくらい歌うことが好きで。小学校の音楽の授業で歌のテストとかあるじゃないですか。

■はい。

林 ああいう人前で歌うことがすごく好きで、自信があったんです。まったく根拠のない自信なんですけど。でも大勢の人の前で歌いたいなって気持ちは、ものごころつく前からあったと思います。

■そこから実際に人前で歌い始めたのは?

 最初はバンドで歌っていたんですけど、初めてステージに立ったのは高校の軽音楽部に入ってからで、そこからライブをするようになったんですけど、もうそれがあたりまえ、みたいな感じでしたね。朝起きて、歯を磨いて、朝ごはん食べて、っていうのと同じ感覚で歌をうたうという。

■生活の一部というか?

林 はい。中学のときに合唱部に入って、そこで譜面通りに歌うことを初めて知ったんですけど、「あ、これじゃないな」と思って(笑)、高校では軽音楽部に入ったんです。

■なるほど。(笑) そこからもうずっと歌っていこうという気持ちはあったんでしょうか?

林 高校を卒業するまでは何も考えていなかったけど、好きなアーティストのライブを観に行ったときとかに、あ、わたしあそこに立つんだなって。(笑)

■すごい!(笑)

林 アホみたいですよね。(笑) 怖いもの知らずというか、何の努力もしてないし、オーディションに応募するとかも全然してなかったけど、歌っていたら何とかなる、みたいな。(笑) でも大学に進学することは小さい頃から決めていたので進学して、大学1年の冬からライブハウスで歌っていたんですけど、3年になって、みんなが就職活動を始めるタイミングですごく悩んで。自分で企画ライブとかやって、ワンマンライブも成功させてっていう時期だったんですけど、周りがみんな就職していく中、どうしたらいいかが分からなかったんです。

■なるほど。

 正解がわからないというか、歌は歌っていたいけど、就職したら歌えなくなるものなのかどうかもわからないし、どうしたらいいかわからない。なので、それを両親と兄に相談したら、あたりまえのように「歌うべきだ」って言ってくれて。父と母は大学を出てすぐ就職して働いているんですけど、目標とか夢とか、誰かに認められることがないままここまできた自分たちからしたら、歌をうたって、好きなことをして、それを応援してくれる人がいるなんてすごいことだし、何よりやりたいと思えることを見つけられたことがすごいことだから、やれるところまでやるべきだって。兄はちょっと現実的で、そんなに不安に思うんだったら、イベントを組んだりライブをやっていることを就職活動だと思ったらいいって。もし音楽を続けられなくなっても、もし違う仕事に就くとしてもそうやって全力を注いでやってきたことは絶対に役に立つからって。

■素晴らしいですね。

林 そういう意見を家族からもらって、やりたいならやっていいって言ってくれる家族がいるなら、チャレンジしてみようと思って乗り越えました。

■じゃ、今はご家族も喜んでらっしゃるんじゃないですか?

林 もうね、わたしが載ってる雑誌の切り抜きとかやると思いますよ。(笑) わたしよりわたしのことを覚えていますからね。「あんたいついつ、どこどこでこんなこと言ってたよ」とか。(笑) 地元のライブは絶対に来てくれるし、恥ずかしいくらいいつも応援してくれています。

■東京に出てきたのは?

林 去年の4月なので、まだ1年経たないくらいです。2年前くらいからずっと来たいと思っていたので、これでもやっとって感じですね。

■もともとはバンドでやっていたとのことですが、バンドとひとりとでは違いますか?

林 すごく楽。(笑) だってギター1本持ってどこにでも歌いに行けるって最高じゃないですか。

■確かに。

林 でもいつかはまたバンドでやると思っていたんですけど、まさかひとりでずっと歌い続けるとは……。(笑)

■そうだったんですね。

林 だから3年前くらいからバンド編成でワンマンライブをやったりして、そこであらためて弾き語りの良さを感じるというか、弾き語りでももっと出来ることがあるなって思えるようになって、今はそこを繰り返しながらやっています。