■今回の選抜には6期生からの初選抜もあり、その意味でもまた新しさのある選抜メンバーだと思います。このメンバーを見渡してみて、どんな印象を受けますか?
豊永 初めに言った、過渡期っていうのを表す選抜だったんじゃないかなと思います。HKT48の未来を感じてもらえる選抜だと思うし、歴史も感じてもらえる選抜だとも思うし。年々HKT48の魅力が濃くなりすぎていて、16人を切り取るのってすごく難しいと思うんですけど、今この時期のHKT48を世間に見せる顔として、「すごく今のHKT48が詰まっているな」という印象です。特に奈那華とかはすごく頑張ってくれる場面が多いし、背負わせちゃう部分も多いけど、そこを乗り越えた奈那華を見てみたい気持ちもありますね。
田中 そうね。私は3枚目のシングルから選抜として活動してきたんですけど、シングルを出すごとに、「この立ち位置って昔はあの先輩がいた立ち位置だな」って思ったりするんです。でも今こうやって見ると周りに後輩がたくさんいて、昔は「なこみく」がやっていた立ち位置に「いぶくる」がいたりして、すごく世代交代を感じるんです。後輩がすごく成長して頑張っているのを見て、今回は奈子の卒業シングルだけど、「HKT48はこれから先も大丈夫だな」っていうのをすごく感じます。
■存在感の大きい矢吹さんの卒業シングルで、また新しい世代のメンバーが選抜に入っているのはすごく心強いですよね。楽曲を最初に聴いた時の印象は覚えていますか?
豊永 今までのHKT48にはない曲調だけど、すごく好きだなと思いました。歌詞も、誰にとっても応援歌になる曲だなと思ったし、卒業曲ってその人に当てはまった曲というイメージが強いんですけど、自分に対しても言ってもらっているような気がして。いろんな方に届いて欲しいなと思います。
田中 本当にHKT48を代表する応援ソングになると思います。卒業シングルは指原さん以来だと思うんですけど、その時はメンバーに向けてくれている歌詞で、今回はいろんな受け取り方ができる歌詞になっています。その時の自分に合った感情で歌える歌だと思いました。
■特に好きな歌詞などはありますか?
豊永 私は「自分のこと ちゃんとちゃんと そう信じてごらんよ」のところです。「まだできるじゃん!」じゃなくて、「あなたはできるから信じてごらんよ」って言われている感じがして、すごく沁みる歌詞です。
田中 私も阿紀と同じ部分が大好きなんですけど、違う部分だと、出だしの「君はもっとできる」っていうところですかね。落ち込んでいても勇気づけられる一言だなと思って。歌詞にいっぱい「もっともっと」って詰まっていると思うんですけど、「まだまだ先に行けるんだ」という思いにさせてくれるので大好きです。
■シンプルだけど訴えかける力のある言葉ですよね。お2人はHKT48に長く在籍していますが、改めて伝えたいHKT48の魅力はありますか?
田中 めちゃめちゃプライベートな感じで言ったら、卒業したメンバーの写真を必ず楽屋に貼るんですよ。(笑)
豊永 そう。(笑) 卒業公演の時に、卒業するメンバーがマネージャーさんに写真を送って、壁一面にメンバーとの思い出とか、そのメンバーの印象的だった写真とかを並べるんです。みんなに見せられないようなプライベートな写真になればなるほどお手洗いに近づいていくっていう。(笑)
田中 宮脇さんの写真がメイクするところに貼ってあったり、一人ひとり卒業したメンバーの写真が並べて貼られていて。そこに手書きのメッセージを書いている人もいたりするんです。村重さんは楽屋に入る前の廊下に「ずっと仲良しのHKT48でいてください!」って書いてある色紙を貼っていたり。そういうのはHKTならではの仲の良さと絆の深さかなって思います。
■どんどん賑やかになっていきそうですね。(笑)
田中 そうですね。どんどん変化していくHKT48だけど、そこに卒業したメンバーの写真があるおかげで、全員含めてHKT48だっていうのを感じるんです。在籍している時期がかぶっていない人がいても、「全員でHKT48」って感じがあるんですよ。
豊永 あとナチュラルに楽屋に卒業生がいる時もあって。卒業公演を見に来たりする時、普通に楽屋にいるんですけど、すごい馴染んでいるんですよね。(笑) まるで実家のように帰ってきてくださるので、「自分が卒業してもこうやって帰ってくればいいんだな」って思えるのもすごく嬉しいです。
■あと、先日の劇場公演で披露した目標の書き初めがTwitterに上がっていたと思うんですが、それぞれの理由を改めてお伺いしたいです。豊永さんは「三面六臂」でしたよね。
豊永 改めて説明するとちょっと恥ずかしい理由なんですけど、本当に私は普段から抱負とか目標を持たないんですよ。時の流れに身を任せて出会うことの方が面白いなと思うタイプで。なので、何を書こうかなと思ったんですけど、年始に弾丸旅行で関西に行ったことを思い出して。私のキャッチフレーズに「阿修羅の阿」って入れているんですけど、京都の阿修羅は見たことがあっても、奈良にある国宝の阿修羅像を見たことがなかったんです。なので、旅行に行った時に思い立って奈良の阿修羅像を見て、すごく面白いなと思ったんです。それを書き初めの時に思い出して、「三面六臂」にしようと書きました。自分の得意なこととか、好きなことでいろんな活躍ができたらいいなと。
■そこからの「三面六臂」だったんですね。田中さんは「自分」でした。
田中 いろんな意味を含めて「自分」って書いて。やっぱり自分を一番大切にできるのは自分自身だなと思ったんですよね。去年はいろんな人に相談することが増えたんですけど、一人ひとりみんな意見が違うんですよ。道に迷うことがすごく多かったんですけど、そういう時って「この人の意見にしよう」っていうよりも、結局は自分で決めた方がどう転がっても自分の責任にできるし、良い方に転がった時は自分の道が正しかったんだなって思えるので、いろんなことを含めて「自分」ってなりました。
■グループとしての2023年の目標はありますか?
豊永 過渡期ってさっき言いましたけど、2023年いっぱいまではそうなんじゃないかなと思っていて。卒業が決まっているメンバーもいますし、人によって大きい小さいっていうものではないですけど、奈子ちゃんと本村碧唯ちゃんの卒業って、グループにとってはすごく大きな影響があるものだと思うんです。2人の卒業後、私たちがどうするかっていうところにいろんな課題があると思います。それぞれが頑張ることはもちろん、自分の魅力にそれぞれが気づくことがすごくキーになってくるんじゃないかなと思います。数年後、「今のHKT48を作っているのはあの数年があったからだよな」と思わせられる2023年になればいいなと思います。
田中 HKT48ってセンターも毎回変わるし、誰が絶対にこのポジションっていうのがあまりないんですけど、それがいいところでもあって。2023年は誰がどのポジションに立っても輝けるような1年になったらいいなと思います。
Interview & Text:村上麗奈
PROFILE
SKE48、NMB48に続いて誕生した、福岡県福岡市を拠点に活動するAKB48の姉妹グループ。2011年10月に埼玉・西武ドームで行われたAKB48の全国握手会にて1期生がお披露目された。2013年3月1日にシングル『スキ!スキ!スキップ!』でCDデビュー。2021年、矢吹奈子がIZ*ONE 活動終了後にHKT48 として活動を再開し、15thシングル『ビーサンはなぜなくなるのか?』で初のシングル曲単独センターを務めるなど、中心メンバーとして活躍。2022年10月、幕張メッセで行われた11周年記念ライブ「HKT48 11th anniversary LIVE 2022~未来へのメッセージ~」にて、矢吹奈子のグループ卒業を発表し、今作がラストシングルとなる。また、4月1日にはパシフィコ横浜国立大ホールにて卒業コンサートを予定している。
http://www.hkt48.jp/
RELEASE
『君はもっとできる』
TYPE-A(CD+DVD)
UPCH-80586
¥1,676(tax in)
TYPE-B(CD+DVD)
UPCH-80587
¥1,676(tax in)
劇場盤(CD)
PRON-5103
¥1,047(tax in)
ユニバーサルミュージック/EMI Records
2月8日 ON SALE