HKT48 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

田中美久・豊永阿紀が語る、新たな黎明期に向かうグループの今後。

HKT48が16枚目のシングル『君はもっとできる』をリリース。IZ*ONE への在籍経験も持ち、HKT48に多大な影響を与えてきた3期生、矢吹奈子の卒業シングルである今作。昨年は矢吹の卒業発表だけでなく、新チーム体制の発表や6期生の加入など、HKT48全体に大きな変化やその予兆があった。
今回は、2022年8月よりチームHのキャプテンを務めている4期生の豊永阿紀と、卒業を発表した矢吹と「なこみく」の愛称で親しまれる他、自身も数多くの選抜、グラビア等で活躍している田中美久の2人にインタビューを決行。それぞれ異なる視点でグループを引っ張っている彼女たちは、HKT48の変化をどのように感じているのか。たっぷりと語ってもらった。

■去年は6期生が加入したり矢吹さんの卒業発表があったりと、多くの変化があった年だったと思います。2人はその変化をどう感じていますか?

豊永 ツアーがあった中で、いろんなメンバーの卒業を実感することも多かったですし、加入したメンバーの新しい風みたいなのもすごく感じていました。みなさんの前でコンサートをすることが多かった1年だったので、そこで今までと違う景色を実感することが多かったです。

■新鮮な気持ちもありましたか?

豊永 そうですね。今までは先輩の背中を見て踊っていたことが多かったのに、今は前に立ったりする場面も多くて。今までやってきたコンサートとそう変わらないはずなのに、全然違うというか。でもその中で、先輩を見てきた私だからっていう経験値があることも実感したり、頼もしくなる後輩の存在も感じたりしたので、景色が違って不思議な感覚だったなと思います。

田中 私は「継承」をテーマにしたコンサートだったり、世代交代を感じる1年だったなとすごく思っていて。阿紀ちゃんがキャプテンになって、後輩がキャプテンになるということが初めてだったので、すごく変化があった1年だなって思いました。

■コンサート以外の面ではどうですか?

豊永 今って本当に過渡期というか、すごい移り変わっている時代の間なんじゃないかなって思っているんです。まるっきり変わったHKT48というわけでもなく、1期生さんがまだいてくださって、新しい子たちが入ってきて。6期生は1期生さんの背中が見られるっていうことは、たぶん今は気づいていないけどすごく貴重なことだし、未来のHKT48が振り返った時に「あの1年は激動だったな」って思う1年になったんじゃないかなと感じています。大晦日の時も「1年前の年越しはこんなに顔ぶれが違ったんだ……」って特に思いましたし。そんな中でも慌ただしい楽しさというか、いろんなことが起きているからこそ挑戦できることもあった気がして。経験値をひそかに溜めていた1年だったんじゃないかと思います。私は松岡菜摘ちゃんからHのキャプテンを譲り受けたのもあって、下半期は特に視野を広くしようって思っていた時期でした。

田中 私は個人的な活動で言うと、去年はたくさんの雑誌の表紙を飾ることができたんです。グラビアでは充実できた1年だったなと思います。すごくありがたかったですね。

■田中さんはグループだけでなく個人のお仕事で、豊永さんはキャプテンという立場でそれぞれ違う方向でグループを引っ張ってきたお2人ですよね。

豊永 美久ちゃんが表紙を飾っていっぱい頑張ってくださるおかげで、他のメンバーにも目を向けてもらえたり、グループに持ち帰ってくれるものがすごく大きいなっていうのは実感しています。それがグループのアイドルの良さだと私は思っていますし、その分私たちがその作用を受けてちゃんと形にできるようにしたいなと思います。

田中 私も阿紀ちゃんはキャプテンになって欲しいなって思っていたメンバーだったので、阿紀ちゃんが後輩をしっかりと引っ張ってくれる姿を見ると、とても頼もしいなと思っています。HKT48の流れをいい方向に変えてくれたのは阿紀ちゃんだと私は思っているので、必要不可欠な存在です。

豊永 嬉しいです。改めて言われるとちょっと緊張しますね。

田中 こういう時にしか伝えられないよね。(笑)

■豊永さんはキャプテンになったことでの気持ちの変化も大きかったですか?

豊永 キャプテンになったからというより、前のキャプテンだったなっちゃん(松岡)が卒業したことの方が大きかったかなと思います。キャプテンに関してはマニュアルがあるわけでもないし、「どうしたらいいのかな?」って日々考えながらメンバーに助けられながらやっています。私は気合いを入れると空回るタイプなんですけど、それをみんながわかってくれているから手伝ってくれますね。(笑) キャプテンって今まで1期生さんの役職だったのもあって、すごい遠い存在だったと思うんですけど、それが4期になったおかげでちょっといじりやすいというか。後輩の気持ちがほぐれたという意味では、私がキャプテンになった意味がちょっとはあるのかなと思っています。

田中 4期、5期、6期のみんなも「私ももっと頑張らなきゃ!」みたいな勢いは感じられるようになったよね。

豊永 それはありますね。頑張りやすくなったのかなとすごい思います。

■先輩たちに引っ張ってもらうというよりも「みんなで一緒にやっていこう!」的な?

豊永 そうですね。自分たちもHKT48を作っていくっていう感覚になったのかなと思います。もちろんそういう変化にはコンサートだったり、いろんな理由があったと思うんですけど、でも最近は見ていてすごく面白いなと思う後輩が増えました。

■その中でも特に注目の後輩というと?

豊永 すごく私が最近頼りになるなと思っているのは、チームが同じなのもあって伊藤優絵瑠ちゃんですね。今は研究生がアンダーで劇場出演するためのテストを各チームでやっているんですけど、チームHは優絵瑠が見てくれていて。この間、私も時間があったので隣にいてみたんですけど、すごい真剣に見ている上に、1人1人に「こうしたらいいと思う」と伝えていて。知らない間に頼もしくなっているんだなと思いました。

田中 私は注目の後輩がたくさんいすぎて、この質問が一番難しいかもしれない……。(笑) 頑張って欲しいと期待を込めてだったら、ペアになっちゃうんですけど「いぶくる」っていう石橋楓ちゃんと竹本くるみちゃんのペアですね。ちょっと幼い感じがするけど、ちょうど6期生も入ってきて、これから大人になっていかなきゃいけないタイミングだと思うから、そこを上手く切り替えて頑張って欲しいなって思います。

■そして今作“君はもっとできる”は、矢吹奈子さんの卒業前ラストシングルです。それこそ田中さんは矢吹さんと「なこみく」として一緒に活動することも多かったと思うんですが、相方の卒業を受けて、どんな思いがありますか?

田中 卒業シングルを録っていて、「奈子と一緒にシングルを出すのは、これが最後になるんだな……」と実感して、すごく寂しくて泣いちゃって。今までずっと「なこみく」として隣にいてくれたので、もうそんな時期が来たんだなって思いました。昔は「どっちが先に卒業するんだろうね?」っていう話をしていたこともあって。これまで同期が卒業することってあんまりなかったですし、一番身近にいる存在だった奈子の卒業なので、今までのメンバーで一番悲しい気持ちもあるんですけど、奈子が次の道に進むのを応援したいなと思います。これからはプライベートで仲良く遊べたらいいなと思っています。

■奈子さんの卒業については発表の前に知っていたんですか?

田中 私は結構前からそういう話を聞いていて。コンサートで発表したんですけど、「今日言うんだな……」っていうのは前日から感じていたんです。いつ発表してもおかしくないっていう覚悟は自分の中でできていたから、「本当にお疲れ様」っていう気持ちで見送ることができました。

■豊永さんは矢吹さんの発表を受けて、どんなことを感じましたか?

豊永 今まで本当にいろんなタイミングで、いろんな可能性があったと思うんです。でもその中で春までHKT48でいるっていう選択をしてくださって。奈子ちゃんがいろんな分野から持ち帰ってきてくれたものの大きさは日々すごく感じているし、「そんな奈子ちゃんが卒業しちゃうHKT48はどうなっちゃうのかな……」という思いもあります。でも奈子ちゃんが卒業するまでに、「これからのHKT48はこうなっていくんだ」っていう形を見せていかないといけないし、それをやるのは残った私たちだと思っていて。奈子ちゃんは韓国に行って、新たな挑戦をして、私たちが知らないいろんなことがあったと思うんですけど、そこから持ち帰ってきてくれたものをすごく丁寧に教えてくれるんです。そんな奈子ちゃんがいなくなった後、そこに対してどういうHKT48にしていけるのかっていうのが、今の課題だなと思っています。奈子ちゃんとの印象的な話があって、周年のコンサートの後、私が無意識に気負いすぎていたのか、涙が止まらなくなっちゃったんです。そうしたら奈子ちゃんが隣でずっと話を聞いてくれて。「すごく頼りにしていたから」って言ってくれて、すごく救われたんですよね。なので、奈子ちゃんとは最後まで、美久ちゃんとは違う位置から支え合えるような、お互いのちょっとした原動力になれるような存在に追いつけるように頑張りたいなと思いました。

■すごく良い話ですね。矢吹さんが韓国から帰ってきて教えてくれたものという話も出ましたが、そういう意味でも矢吹さんからグループが得たものは大きかったですか?

豊永 すごく大きかったと思います。「持って帰ってきてくれたもの」と言うと、技術的なものを想像するかもしれないんですけど、私的にはそういう部分だけじゃなく、今までHKT48に触れてこなかった人たちの目を向けてくれたことがすごく大きいなと思っていて。どう精一杯頑張っても届かない層っていうのはあると思うんですけど、それを奈子ちゃんが連れてきてくださった部分もあって。HKT48の中でも、奈子ちゃんを見たいお客さんがいっぱいいたと思うんです。それを「HKT48が好き」っていうところまでにするのはHKT48の仕事で。奈子ちゃんがいなくなった後にその結果が出ると思うから、それに応えたいなと思います。

■田中さんは矢吹さんと近くで過ごしてきて、強く影響を受けた瞬間ってありましたか?

田中 奈子が韓国から帰ってきた時ですね。お互いに別々の道で頑張っていた2年半を経て、あらためて会った時に、「なこみく」じゃなくて、「矢吹奈子と田中美久」になっている感じがしたんです。そこからまた一緒に手を取り合って頑張っていっている感じがして、お互いが成長できていていいなと感じました。

豊永 それは見ていてもすごく思いました。やっぱりHKT48の中でも、あの2年半は「さくちゃん(宮脇咲良)と奈子ちゃんがいない期間」って切り取られてしまうことが多いんですけど、その間のHKT48を引っ張ってくれていたのは美久ちゃんだったなって思っていて。自分がキャプテンになった今になって、「あの時は美久ちゃんがやってくれていたんだな」というのを感じますし、それを経て奈子ちゃんが戻ってきた時も「奈子ちゃんと美久ちゃん」って感じで。対等なんだけどセットじゃないっていう感じがカッコいいなと思いながらずっと見ていました。