INNOSENT in FORMAL VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

INNOSENT in FORMAL『INNOSENT 3〜High Purity Mixed juice〜』

ぽおるすみす(Vo)

自分たちが背中を見てきた人たちとやることで、バンドに刺激を入れまくろうと

新たなチャレンジを盛り込んだ意欲作と言っていいだろう。INNOSENT in FORMALがメジャー2ndミニアルバム『INNOSENT 3〜High Purity Mixed juice〜』をここに完成。今作は全曲フィーチャリングアーティストを迎えたコラボ作になっており、Nagie Lane、チプルソ、PES、RAU DEF、Ace the Chosen onE & Bug-V、quon6と豪華なラインナップが顔を揃えた。ジャンルの枠組みを華麗に飛び越え、ボーダーレスな音楽性を追求し続けるINNOSENT in FORMALのぽおるすみすに、今作の経緯や制作を含めて話を聞いた。

■今作は全曲フィーチャリングゲストを迎えたコラボ作になります。このアイデアはいつ頃から温めていたんですか?

ぽおる 僕らが音楽活動を始めた時にはありました。

■ということは、結成当時から?

ぽおる はい。僕はもともとヒップホップが好きで、それからロックンロールを好きになり、その両方をやりたいと思って、イノセン(INNOSENT in FORMAL)のスタイルができたんです。ヒップホップと言えば、いろんな人を巻き込んで曲を作ることが当たり前だし、ロックシーンではあまり人を招いて曲を作ることはないので、ずっとやりたかったことなんです。

■逆にここまで時間がかかったのは?

ぽおる 友達の曲に僕が参加することはあったけど、イノセンで人を招くのはタイミングもあるし、そこに向けた楽曲作りもしてこなかったんですよ。あと、リアルな話、自分がやりたいと思う人を呼ぶためのギャラが払えなくて……。(笑)

■いきなり生々しい話ですね。(笑)

ぽおる はははは。せっかくメジャーデビューしたので、大きなことをやりたいなということで。今回はめちゃくちゃ楽しかったです!

■ぽおるさんが聴いていたヒップホップ作品で印象に残っているものは?

ぽおる 日本だとFGクルー(FUNKY GRAMMER UNIT)、それこそ今回参加してくれたPESさんもそうですけど、KICK THE CAN CREW、RHYMESTERがまとまっている感じとか、エミネムが別で活動していたD12とか、そういうことを自分でもやりたくて。だから、今回はFGクルー、D12の影響は強いかもしれないですね。

■バンド系で刺激を受けた人はいますか?

ぽおる RIZEも聴いていたので、Jesseさんもいろんな人と共演しているじゃないですか。あと、東京スカパラダイスオーケストラがチバ(ユウスケ)さんを招いたりとか。どちかと言えば、海外よりも日本の音楽を聴いていますからね。サウンド面は海外の音楽に影響を受けているけど、言葉の使い方やメロディは日本の歌が好きです。歌謡曲、Jポップも大好きだし。

■Jポップだとどの辺ですか?

ぽおる CHEMISTRYとか、ゴスペラーズ、平井堅さんとか、いくらでも出てくるんですけど。(笑)

■今作の人選はどういう基準で声をかけたんですか?

ぽおる 普段仲良く遊んでいる友達や、ずっとやりたいと思っていた人、あと、プロデューサーの飲み友達、この3つの柱ですね。会ったことがある人と、初めての人とが半々ぐらいで、初めての方とはドライなやり取りになるのかと思いきや、全然そんなことはなくて。チプルソさんとはデータのやり取りだったけど、ライブでいろいろ話したし。RAU DEFさんはMVを撮り終えた後に、普通に家に遊びに行きましたから。みなさん人間味溢れる人たちばかりでした。

■今回、初顔合わせの人というと?

ぽおる PESさん、RAU DEFさん、Nagie Laneの3組です。僕は声が好きじゃないと「あんまり……」って感じになるんですよ。ラップも上手いし、生き方もカッコいいので、一緒にやってみたい方に声をかけました。

■今作の楽曲制作はどういう風に進めたんですか?

ぽおる 今までの作品はメンバーとセッション形式で作ることが多かったんですけど、今回はパソコンのDTMでデモを作ることから始めました。

■過去作とは違う作り方を試みたんですね?

ぽおる そうです。データを共有しやすいし、アレンジもしやすかったです。前作からプロデューサーの方が制作に絡んでくれていて、今作も引き続きやってもらったんですけど、その方とデモを共有する時にもパソコンがいいだろうということで。スピード感もスタジオでセッションするより、パソコンの方がポンポンとアイデアが出てきたので良かったです。いろいろと遊べましたからね。

■今作の中で一番遊べた曲というと?

ぽおる Nagie Laneとやった“doo dah!! winter!! feat.Nagie Lane”ですね。そもそもアカペラグループとどうやってやろうかなと思って。呼んだものの、僕らはバンドだしなって。(笑) コーラスワークでメロディに絡んでもらうのもそうだけど、せっかくやるなら他の方もそうですけど、それぞれのカラーが前面に出た方がいいですからね。ラストのサビ前くらいにがっつりとアカペラのボイスパーカッションを入れたり、女の子にラップしてもらったりとか、その場で思いついたアイデアも詰め込めたので、この曲では遊べました。

■決め決めで楽曲を制作したのかと思いきや、そうでもないんですね?

ぽおる 決め決めというより、その場で思いついたことをやる方が多かったです。そういう作り方も今回が初めてなんですよ。

■えっ、そうなんですか!

ぽおる 前作まではプリプロの段階で詰めてからレコーディングする形でしたけど、今作は相手もいるので、レコーディング中もその人の意見を取り入れることもありました。その柔軟性は自分たちの作品を作る上でも今後に活きそうだなと。それこそ“doo dah!! winter!! feat.Nagie Lane”は、もうちょっとパンチが欲しいという話になり、みんなでリリックを出し合いました。それで「アダムとイブに負けないくらい」という歌詞があるんですけど、「こんなカップル痛いけど、最高だよね!」って。それは僕一人では出てこなかったし、一緒にワイワイとやった結果ですね。

■ああ、なるほど。

ぽおる PESさんともプリプロの時にその場で掛け合い的に大喜利をして、脱線しつつ……「そこはシモに寄りすぎです」みたいな会話もして。(笑) すごく楽しくやれました。

■“doo dah!! winter!! feat.Nagie Lane”、“my peaches feat.PES”は今作の中でも肩の力が抜けた遊び心が出ています。何よりハッピーな空気が伝わってくるなと。

ぽおる 嬉しいっす。制作の場所がハッピーだと、それが伝わるんですね!(笑)

■特に“doo dah!! winter!! feat.Nagie Lane”はポップな仕上がりですよね。

ぽおる そうですね。この曲は全部打ち込みで、サビのギターだけは弾いたんです。全編打ち込みだと、ライブに向けてどんなアレンジをすればいいのかなって、そういう楽しみもあるんですよ。今作は打ち込みの曲もあれば、がっつり演奏している曲もありますから。本当に全部やれた一枚になりました。

■他に今作の中で予想外の転がり方をした曲はありますか?

ぽおる チプルソさんとの曲(“愛じゃ崇ワナ feat. チプルソ”)は、オケを送って、ラップだけ返ってくるのかと思っていたんですけど、チプルソさんは家で録るみたいで、オケのアレンジまでされたものが返って来たんです。これはイノセンを殺しに来たなと思いました、いい意味で。(笑) それに対して、ラップに上手く絡むようにギターやベースのアレンジも変えましたからね。結果的にいい方向に変わったのですごく良かったです。あと、RAU DEFさんとの曲(“カメレオン feat.RAU DEF”)も、ラップだけ返ってくるかと思ったら、メロも返ってきたんです。“カメレオン feat.RAU DEF”のフックを踏襲したメロを送ってくれて、それも予想外でした。