INNOSENT in FORMAL VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

INNOSENT in FORMAL『INNOSENT 3〜High Purity Mixed juice〜』

■今作はバンドとしての基礎体力、対応能力がなければ、実現不可能だったと思います。やはり外部からの刺激を求めていたところはありましたか?

ぽおる はい。修行だと思っていました。自分たちのハードルを高く設けた作品だったので、レコーディング後は、メンバーも憔悴し切っていましたから……。(笑)

■自分たちのハードルを高く設けたというと?

ぽおる 僕らはいろんなジャンルの音楽をやりたいので、それに見合うスキルや考え方が必要ですから。自分たちが背中を見てきた人たちとやることで、バンドに刺激を入れまくろうと。表現の幅を広げたかった、というのが一番ですね。そのためにはデモの段階で高い水準の曲を作り、それをできるようにしなきゃいけないから。そういう意味でも、パソコンでは自分たちのスキル以上のものを作れますからね。今作は僕よりも演奏陣の方が大変だったと思います。その甲斐もあって、最近のライブでも演奏スキルが上がってきています。

■なるほど。

ぽおる 音作りに対しても、今回幅広いジャンルの曲を作ったので、意識も変わりました。曲に対しての音のイメージも今まではそんなになかったと思うんです。僕たちロックだから「バーン!」とやるみたいな。でも「この曲のこのパートはどういう風に弾くのか一番いいんだろう?」とか、音作りのイメージがメンバー個々から生まれてくるようになったことも大きいですね。

■そして今作は歌詞にもそれぞれの特色が出ていて、そこも面白かったです。

ぽおる テーマを決めてリリックを書いたのは、今回が初めてなんです。自分も慣れていないことをやったのでかなり頭を使ったけど、テーマに対して上手くまとめるコツを掴めた感じがします。quon6との曲(“Hang out feat.quon6”)は、普段遊んでいるノリが出ているし、Nagie Laneとの曲(“doo dah!! winter!! feat.Nagie Lane”)は、4、5回書き直したけど、納得のいくものが書けたなと思うし。チプルソさんは内側に入るリリックが多いんですけど、自分もそういうものが多いから、あの曲(“愛じゃ崇ワナ feat. チプルソ”)はそういうテーマで書きました。“katana feat.Ace the Chosen onE & Bug-V”は名古屋の友達と作ったんですけど、「タイトル通りのテーマだからよろしく!」って投げました。(笑)

■今作のリリックに関しては、コロナ禍の影響もどこかにあると思いますか?

ぽおる コロナに対するメッセージはあまり出ていないんじゃないかな?逆にそういう時代の中であっても、それを気にしないくらいに立ち振る舞った方が聴き手にもいいんじゃないかなと。まあ、気にしない人はいないと思うし、みんな同じ状況なので、その中で「ツライね」と言い合うよりも、小さな楽しみを見つけて、それで「楽しいね!」と言いたいタイプなんです。

■“katana feat.Ace the Chosen onE & Bug-V”の「俺にとってはグローバル 皆にとってはローカル そのすれ違い 摩擦で産まれる音楽に恩がある」の歌詞にはどんな思いを込めて?

ぽおる これはAce(the Chosen onE)くんが描いたリリックですけど、誘われた人は違うジャンルの人とやっている意識がみなさんあったんですよ。それに対するメッセージなのかなと僕は思っています。

■「摩擦で産まれる音楽に恩がある」のリリックが個人的に好きで、ぽおるさんにもそういう思いはありますか?

ぽおる ありますね。僕は好きな音楽が多すぎて……でも好きなものを好きと言いたいんです。シンプルにリスナーでもあるし、自分で曲を作る表現者でもあるから。好きな音楽を自分たちでどうやったら取り入れられるかなと。ヒップホップ畑の人からは、「それはヒップホップじゃない」、ロック畑の人からは「それはロックじゃない」と思われているかもしれないけど、僕はどちらも好きだし、どちらも同時に発信したいから。それもすべて好きという気持ちから始まっていますからね。ミクスチャーというジャンルは既にあると思っているので、その表現をあえて使わずに、今回はタイトルに「Mixed juice」と付けたんです。今の時代はジャンルレスでリスナーの人も音楽を聴いているし、曲単位でプレイリストで聴く人も多いと思うから、いろんな材料をぶちこんで、自分で消化してくれたらいいなと思い、そのタイトルにしました。今後も好きなものを好きに聴いて、発信していけたらいいですね。

Interview & Text:荒金良介

PROFILE
ぽおるすみす(Vo)、CANDY MAN(Gt)、Kuni the ripper(Ba)、TOY BOY(Dr)からなる4人組バンド。ヒップホップやロック、エレクトロニックなどの要素を飲み込んだストリート色の強いサウンド、その聴くものを捕らえて離さないメロディでフロアを席捲する。“架空のカートゥーン・バンド”として2018年にシングル『One for you』でデビュー。配信と同時にSpotifyのバイラルチャートで上位にランクイン。そのヴィジュアルとコンセプトから“和製Gorillaz”とも呼ばれ、一部で話題になった。2018年4月に1stミニAL『INNOSENT 0 ~The night late show~』をリリース。2019年4月に人気ファッションブランド「#FR2」と全面コラボレーションした2nd ミニAL『INNOSENT 1~Into the new world~』をリリース。2020年10月にはTVアニメ「池袋ウエストゲートパーク」ティザーPV曲、EDテーマを担当。2020年12月にはこれらを収録したミニAL『INNOSENT 2~How to spend the night~』をもってメジャーデビュー。
https://innosent.net/

RELEASE
『INNOSENT 3〜High Purity Mixed juice〜』

COCP-41650
¥1,980(tax in)

日本コロムビア
12月15日 ON SALE