■そうなるとINORANさんはイギリスでは曲作りできないかもしれませんね……。(笑)
INORAN イギリスに行ったら、イギリスっぽい曲を作りますよ。すぐに感化されちゃうんですよ。(笑)
■雨ばかりだから湿り気のある楽曲ができると。(笑)
INORAN 湿度98%みたいな楽曲も全然書けますからね!
■アーティストで夜に曲作りする方の話はよく聞きますが……。
INORAN 夜は静寂ですからね。曲は違えど、僕は5、6年前からずっと日中に作っています。飯を食べたりした後に作るのが嫌なんですよね。何か満足しちゃうと、自分の音がまた変わるんですよ。
■今作のリード曲は“Wherever,Whenever”ですが、この曲を選ばれた理由というと?
INORAN ヴォーカル録りをした後にラフミックスをして、持ち帰ってから聴くんですけど、他の曲と比べてもこれがいいんじゃないかと。初めは他の曲も候補にあがっていたんですけどね。
■その後はスムーズに曲はできたんですか?
INORAN 頭の中で全部の楽器が鳴っているものもあれば、シンセの音とかのみで「バババッ」とインスピレーションを得てできたものもあるんです。前2作よりも、さらに楽しんで作れましたね。それも一期一会というか、出会った音を「いい!」と思えば、それから作ることもありますから。
■それこそインスピレーションを大事にして?
INORAN それしかないですね。それも今まで培ってきたデータがあり、それを信じている部分もありますから。自分なりにオーガニックな音楽を作っているつもりだから、作ったデモでリリックを書いてもらい、歌を吹き込んで、そこからブラッシュアップする時にものすごく変えるのはやめようと決めているんです。今回はギターを一音も使っていないし、そうなるとまた違うものが生まれて、ギターでは表現できないものができますからね。そういう意味でも自分をイノベーションする気持ちは常に絶やさずに、チャレンジしているつもりです。
■今作のラストを締め括る“Dancin’ in the Moonlight”は明るい曲調ですよね。これは曲名通りに行くと、月明かりの明るさということになりますが?
INORAN この曲は「楽しいこと、幸せなことを思い描いて、好きな人と過ごして、それが永遠に続けばいいなぁ、明日は今日以上だったらいいなぁ」と。そういう曲ですね。それを伝えたかったのかもしれない。
■“Moonlight”は昼というより、夜のイメージですが?
INORAN うん。太陽の光とは違って、直接的な感じではないからそれがいいなと。セクシーに見えるし、ドキッとするじゃないですか。
■今回の歌詞の中に「光」という言葉が多く出てきたり、また「新しい物語が今日始まる」(“Feel It In The Air”)、「全く新しい妄想の始まり」(“Run Away”)など、「ここからスタートしよう!」という表現も随所に出てきます。それが今作のサウンドともリンクしているなと。さらに“A Beautiful Mess”の中に「この人生は美しい混乱」という歌詞がありますが、これもコロナ禍を経験した上でのポジティブな表現なのかなと。
INORAN 本当に辛い時には「辛いよなぁ」と一緒に泣き合えたらいいし。でも「まんざらでもないぜ!」って、「これからだよ!」って前向きになった方がいいですからね。この歌詞に出てくる「混乱」とはまた意味は違うかもしれないけど、何かを経験したからこそ強くなれたりとか、ポジティブになることは必要ですから。
■わかりました。では今作発表後の予定を教えてもらえますか?
INORAN 今作のライブの予定は今のところないんですけど、ビルボードで11、12、1月と東京、大阪、横浜でアコースティックライブをやります。それと年明けの1月にはLUNA SEAの30周年ツアーのグランドファイナルもありますからね。それも楽しみにしていてもらえればと思います。
Interview & Text:荒金良介
PROFILE
LUNA SEAのギタリストとしてデビューし、活動を展開する一方で、1997年にソロとしての活動を開始。1stアルバム『想』では、世界的アーティストDJ KRUSHとタッグを組み、当時まだ日本ではメジャーではなかったHip Hopを取り入れた最先端の音楽を表現し、大きな注目を集める。また洋楽ファンからも支持の高かったFAKE?のメンバーとしての活動、FEEDER のTAKA等と結成した多国籍バンド Muddy Apesの活動や、香港ではGUN’S AND ROSESのオープニング・アクトを務めたり、LUNA SEAの河村隆一らと結成したTourbillonでは、日本武道館でデビューライブを飾る等精力的な音楽活動を展開。その他、2008年には映画「《a》symmetry」の音楽プロデュースや、日本最大級のファッションショー「KOBE COLLECTION」での楽曲提供及びモデル参加等、活動の場を広げている。2020年9月、自身一人で全ての楽曲を制作した注目作『Libertine Dreams』をリリース。2021年2月には『Between The World And Me』をリリース。そして2021年10月20日には、3部作の完結編となる『AND DAY NOW』をリリース。
http://inoran.org/
RELEASE
『AND DAY NOW』
完全生産限定盤(CD+BD+写真集)
※KING e-SHOP限定
※LP SIZE BOX 仕様・KING e-SHOP限定特典付き
※High Resolution Audio
NKCD-6964
¥13,200(tax in)
通常盤(CD)
KICS-4022
¥3,300(tax in)
KING RECORDS
10月20日 ON SALE