iScream VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

iScream『つつみ込むように...』

自分たちも音楽に溶け込んで歌おうと思いました。

現役高校生のガールズユニットiScreamが、3rdデジタルシングル『つつみ込むように…』をリリース。日本を代表する歌姫・MISIAのデビューシングル曲であり、誰もが知る名曲を彼女たちが臆することなくカバーとして取り上げている。前回のバラード曲『himawari』とはまたタイプの違うミドルテンポの曲調を、堂々と自分たちの色に染め上げたRUI、YUNA、HINATA、メンバー3人に話を聞いた。

■2021年はiScreamの記念すべきデビュー年になりましたが、振り返ってみてどんな1年でしたか?

RUI 新しい出会いと経験の1年でした。それこそデビューして、テレビ歌唱の収録、取材、ラジオで話したり、有観客でパフォーマンスをしたり、ファンのみなさんはもちろん、先輩方とお話できたり、新たな経験をたくさん積めた1年になりました。2022年もさらに新しい挑戦ができたらいいなと思います。

YUNA 私は変化の多い1年でした。RUIが言ったように、いろんな出会いや経験があったけど……2021年の前半は活動がなかった分、6月のデビューからガラッと景色が変わったので刺激的な1年でした。

HINATA 私はステップアップした1年でした。同じLDH所属の輝いている先輩をたくさん観てきて、「自分たちもこういうアーティストになりたい!」と改めて思いました。あと、自分たちをこんなに応援してくださる方がいたんだなと実感した1年でした。SNSのフォロワー数も増えたり、自分たちが発信すればするほど興味を持ってくださる方が増えていって。歌やダンスをみなさんにお届け出来て、自分たちの良さを知ってもらえた年になったんじゃないかと思います。

■そして、今回はMISIAの名曲“つつみ込むように…”のカバーとなりますが、この曲自体はみなさん知っていたんですか?

YUNA 私は知っていました!

RUI  私は知らなくて……。2人はレッスンの時に聴いていたみたいなんですけど、私はこの曲のことを詳しくは知らなくて。それからMISIAさんの曲をいろいろと聴きました。

■“つつみ込むように…”は1998年に発表された曲なので、みなさんがまだ生まれる前にリリースされていますからね。

YUNA 私は中学2、3年の頃に初めて聴いたんですけど、いつも聴く曲とは雰囲気が違いましたね。新しい曲を聴いたような感覚でした。EXPG時代はアップテンポの曲ばかりを歌っていて、こういうR&Bは全然聴いていなかったので……。最初のハイトーンもこれは機械の音なのか、人間の声なのかもわからなくて。(笑)

HINATA 私はバラードを練習するならMISIAさんの曲というのが、周りでも鉄板だったんです。今回はカバーする上でたくさん考えているうちに、あの頃はなぜ何も考えずに歌っていたのかなと。当時は全然歌えていなかったんだなと感じました。こんなに難しい曲だったのに、EXPG時代に練習していた頃はもっと気軽に歌っていました。

RUI YUNAが言うようにホイッスルボイスのところを含めて、私たちが改めてカバーしたらどうなるのかな?って。オリジナルはMISIAさんが一人で歌われているので、それを3人で分担したらどういう形になるんだろう?というワクワクはありました。この曲はレコーディングのためにボーカルレッスンもたくさん行いました。

■そうだったんですね。

RUI はい。この声の深みを出すためには発声から練習が必要で。MISIAさんの歌の世界観を出すためには、ベースやドラムのスネアの音だけをみんなでひたすら聴いたりして、「ここはこういう風に歌っているんだな」と、みんなで分析しながら聴きました。なので、この曲を通して勉強することも多くて、私たちも歌のスキルや知識をたくさん吸収できました。

■曲をただ聴くのと、実際に歌うのとでは大きな差があると思いますが、特にどの辺が難しかったですか?

HINATA 全体的にリズムを取るのが難しくて。私の場合は単調に聴こえたりして、歌とリズムをリンクさせるのが大変でした。あと、裏のリズムに合わせて歌を切るとか、ビブラートで終わるとか、語尾の最後を意識して歌いました。

■前作の“himawari”は初のバラードソングでしたが、それとはまた違うアプローチが必要だったと?

HINATA そうですね。自分たちが触れていなかった世代の楽曲で、今リアルタイムで聴いている音楽とはメロディやリズムがまた違うんです。それに自分たちを合わせるのが大変でした。

RUI “himawari”は夏の等身大の曲で、サビは透き通った声で伸び伸びとバラードソングを届けるイメージでしたけど、この曲は透き通った声というよりは、どれだけグルーヴィーに歌えるかが大きな違いだったんです。サビの「恋人と呼び合える時間の中で〜♪」の歌詞も、自分がグルーヴに乗り切れていなかったり、音楽の中にMISIAさんのように入り切れていないと、すごく単調に聴こえてしまうんです。なので、自分たちも音楽に溶け込んで歌おうと思いました。いい意味で大人っぽい歌を意識しました。

YUNA 自分の実力を最大限に出すのが一番難しかったです。ディレクションしてくださった方と一緒にやるうちに、正解がわからなくなってしまって。自分がどういう風に歌いたいのか、3人でどういう風に届けたいのか、その表現の仕方が難しかったです。なので、自分が感じたことを届けることを一番に意識しました。

■オリジナル曲の良さを残しながらも、iScreamらしい個性がきちんと発揮されたカバーになりましたね。ディレクターからはどんなアドバイスがあったんですか?

RUI 「これが正解だよ」と言われるわけではなく、ヒントを下さって、自分たちでその正解を見つけるような取り組み方だったんです。レコーディング中にスタッフさんから「いいね!」と言われるテイクもいいけど、自分が「やり切った!すごく気持ちよく歌えた!」というテイクを採用してくれたりして。「今、自分は気持ちよく歌えていた?」と聞かれたりして、考えさえてくれるディレクションだったので、私たちのありのままをぶつけられました。自分たちを奮い立たせてくれるようなアドバイスだったんです。

YUNA 私はDメロでサックスが鳴るんですけど、それと自分の気持ちが一緒に上がって、そのまま歌っちゃうみたいな。今までは楽器が盛り上がるから、自分の気持ちも盛り上がるみたいな感情はなかったので……。レコーディング中に「なぜ楽器のテンションが上がるのかを考えながらやってみよう」と言われたのが印象的でした。だから、生のバンドと一緒にレコーディングしているような気持ちでした。

HINATA 練習の段階からレコーディングまで、ここまでこだわるんだと思うほど楽曲と向き合ったんです。もちろんこれまでの曲も自分たちの思いを入れてきたんですけど、“つつみ込むように…”が一番レコーディングの時間が長くかかったんです。丸2日間レコーディングしていて、たった一文字のために録り直したりしたこともあったので、自分たちも完全燃焼しました。音源を聴いた時は、「やり切った!」と思えたし、周りの方たちからモチベーションを上げてもらえたので、この曲を通してiScream自体も強くなったと思います。

■“つつみ込むように…”の歌詞の世界観に関しては、みなさんどういう風に解釈しましたか?

YUNA 私たちは17、18歳なので、背伸びすることなく、歌詞にあるように時間を大切にするとか、MISIAさんは20歳の時に歌っていたこともあり、大人になる前の気持ちを歌っているところは似ているのかなと。今まで自分たちの楽曲では風景をイメージして歌っていたけど、この曲は自分たちがどういう気持ちで歌うのかを重視しました。

■YUNAさんはどんな気持ちで曲に向き合ったんですか?

YUNA 私が思い浮かべたのは、家の中でお風呂上がりにTVのリモコンをマイクに歌っちゃったみたいな感じ。(笑)

■(笑) 歌詞は抽象度が高いので、いろんなイメージを掻き立てられる楽曲ですからね。

RUI 私は決まった情景よりも、自分自身に刺さる楽曲だなと思いました。今までは3人でイメージを合わせて歌っていたけど、Bメロの「明日が見えなくて 一人で過ごせないよ もがくほど 心焦るけど」の歌詞は、自分も曲を届けたいけど、それを形に仕切れなくてもがく気持ちがあって……それは高校生でデビューした時の自分の心情と重なるところもあったので、自分がこの曲の当事者のような気持ちで歌いました。