私の音楽や歌声が、日常の中でほっとするような存在であれたらいい。
モデル、俳優、アーティストとして活動する川口ゆりながニューシングル“C.O.S.M.I.C Love”をリリース。2014年に第14回全⽇本国⺠的美少⼥コンテスト演技部⾨賞を受賞、そのファイナリストが集まるアイドルグループX21として活動後、韓国に渡り「Girls Planet 999:少⼥祭典」に参加。2022年にソロアーティストとして活動を始めてからは、ソロ音源のリリースだけでなく、ガンバレルーヤとのコラボ曲で注目を集めるなど、音楽面での活動だけを挙げてもこれまで多くの場所で活躍している。ソロデビュー以降は、シングルを出す度にそれまでの川口ゆりな像を覆す楽曲を発表している彼女だが、折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Flip4」のWeb CM挿⼊歌にもなっている今回の新曲“C.O.S.M.I.C Love”は、レトロポップなトラックと韓国語の歌詞がリズミカルな楽曲に仕上がっている。
今回はそんな川口ゆりなにインタビューを決行。今に至るまでの活動についてや、俳優業、モデル業との考え方の相違、新曲での挑戦について語ってもらった。
■X21での活動を経て⽇中韓ガールズグループオーディション番組『Girls Planet 999:少⼥祭典』に参加し、現在のソロ活動に至る川口さんですが、音楽の道を志したきっかけを教えてください。
川口 ずっと音楽で溢れている家庭環境だったので、小さいころから音楽が大好きだったんです。ホームビデオを見返すと、ずっとソファの上で踊っていたり、母と歌っていたり。クラシックからポップス、K-POPも好きで聴いていたので、いろいろなジャンルに触れていました。ただ、自分が音楽を職業にできるとは思っていなかったんです。今の事務所であるオスカープロモーションは、女優やモデルがメインの事務所なので、そこに所属してX21というアイドル活動をすることになるとは思っていなくて。本当に流れに身を任せていたら、いつの間にかアイドルになっていました。(笑) ただX21としてアイドル活動をさせていただいて、ステージの楽しさやファンの方と一体になってライブを楽しむ、音楽を表現することの楽しさを感じて。グループが解散したあとの1年半くらいはお芝居を中心に個人活動をしていたんですけど、音楽活動をやったときの楽しい気持ちが忘れられなかったんです。かつ自分がK-POPが好きだったので、その気持ちがリンクして、ガルプラに応募しようと思いました。事務所に黙って応募しちゃったんですけど、マネージャーさんが「やれるところまでやっておいで」と背中を押してくれたんです。今思うと、X21という音楽活動があったから音楽を職業にする道もあるんだなと気付けたので、そこでチャンスをもらったなと思います。
■X21については「流れに身を任せていたらアイドルになっていた」とおっしゃっていましたが、ガルプラにはご自身で自発的に応募されたのですよね?ガルプラでの経験は川口さんにどんな変化をもたらしましたか?
川口 当時は20歳になったばかりだったんですけど、それまでは自分の意見を言うことに恐怖を感じていたというか、「これを言ったらどういう反応をされるだろう?」みたいなことを考えた上で発言していたんです。でもガルプラで1回思い切ったので、そこからは自分の意見をはっきり言えるようになりました。ガルプラで中国の子と仲良くなったんですけど、その子たちは良いことも悪いこともすごくはっきり言ってくれるんです。それが個人的には日本で暮らしていてあまり触れてこなかった環境だったので、そこに感化されて。マネージャーさんからしたら「だいぶ言うようになったな」と思われているかもしれないですけど。(笑) でも自分的には、「自分が将来どうなりたいか」や「今の自分のやりたいこと」、「今あることに対してどう思っているか」などを細かく話せるようになったので、そういう部分ではガルプラを経て変われた部分なのかなと思います。
■自分の考えていることを口にできるのは、ソロ活動をしていく上でもすごく大事なことですよね。
川口 そうですね。当時は「芸能界にいてもいいのか」と思うくらい悩んでいた時期だったので、ガルプラに参加したことは自分の中でも大きな分岐点だったと思います。
■その経験はソロ活動をする上での自信にもなっていますか?
川口 オーディションでは脱落して帰ってきたので、最初は自分の実力不足をすごく痛感しましたし、正直言うとソロをやる自信もなかったんです。「これからどうしようかな……」とすごく考えながら帰国してきたんです。でも、ガルプラに挑戦する時「最初で最後のチャンス」とは言いましたけど、いざ終わってみるとやっぱり諦めきれない気持ちもあったし、ファンの人たちも音楽に取り組む姿を見たいだろうなと思ったんです。「やるなら今すぐ動き出さないと間に合わない」という焦りと不安がある中で、ちょうどソロのお話をいただいて。今のチームのみなさんがすごく熱い気持ちで「ゆりなのことをサポートしていきたいと思っています」と言ってくださったので、私もチームで一緒に作り上げていくことに惹かれて決断しました。デビュー曲の“Look At Me”の時はいろいろと模索していたというか、ソロとしてのあり方もまだ自分の中では確立していなかったんですけど、月日を重ねてリリースしていくごとに、ソロとしての自覚や覚悟、責任感が大きくなって、前に進めているのかなと思います。
■ソロ活動前の音楽活動はグループの形でしたが、グループとソロの違いを痛感する瞬間はありますか?
川口 すごくあります。X21やガルプラの時は、グループの中での川口ゆりなの役割や立ち位置のようなものは、自分の中でうまく意識できていたと思うんです。でも、いざソロになった時に、役割を分担せずにすべて自分で全部やらないといけないということだったり、メインでパフォーマンスをするのは私だけで、ずっとみんなが私だけを見ているといったギャップはすごく感じました。でも今はそれがソロの良さだと思っています。チームの中でもグループだと中々話せないところまで自分の意見をはっきり言えるので、それはソロになってよかったなと思う部分でもあります。
■ソロアーティストとしての活動の他にも、モデルや俳優としても活躍されていますが、表現のベクトルは違えどアーティストとしての活動とモデルや俳優での活動で、表現方法は通じるところもあると感じますか?
川口 どちらかというと、例えばモデルの撮影の時の自分と、アーティストのビジュアル撮影での自分は類似しない方が面白味があるなと思っているんです。モデルの撮影の場合では、お洋服の良さを見せたいですし、アーティストとしての活動の場合は、川口ゆりなを前面に出して表現しないといけないので、そこを区別して表現する難しさが楽しいなと感じていて。その反面、お芝居はかなりアーティストにリンクしているなと感じます。歌詞は感情を乗せて歌いますし、聴いた時にストレートに歌詞が入ってくるように意識するという部分と、お芝居の時の感情を乗せて演じるということは、すごく通じる部分があるなと感じます。
■なるほど。
川口 なので、モデルとアーティストの撮影が連続で入った時には、ちょっと前のモードが抜けないという事があるんです。「MORE」の気持ちでジャケット撮影に入ったりすると、「ちゃんと切り替えなきゃ」って思う。(笑)
■切り替えられていない時は、撮ったものを見て、切り替わっていないと感じるんですか?
川口 感じます。モデルの撮影の時は、ポージングとかも「もうちょっと『MORE』っぽく」みたいなリクエストをされることもあって。でもその切り替えも以前よりはスムーズにできるようになったと思います。
■ポージングだけでなく、それぞれの活動では気持ちの面でも意識的にスイッチを切り替えているんですか?
川口 分けています。お芝居は役として表現しますし、アーティストはKawaguchi Yurinaとしての表現になりますし。お芝居での川口ゆりなは、役を通して作品に溶け込んで引き付けることが大事だなと感じていて。モデルの川口ゆりなでは、お洋服の良さだったり、着ているお洋服を「欲しい」と言わせるのが最大のポイントかなと思っているので、そういう風に言ってもらえるような表現の方法をこれからも追及していきたいと思っています。