Kitri VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■好きなアーティストの作品ほどハードルを感じることありますよね。アレンジに時間がかかった曲とスピーディーに完成した曲はどれですか?

Mona “オトナブルー”は最初、すごくメロウでゆったりとしたアレンジにしていました。でも、アルバム全体のバランスとして、バラード調が多かったので、「もっとピアノ連弾の面白さを出してみよう」ということで、1番はテンポ感を出して今の形にしています。

■“オトナブルー”は、Kitriがカバーしたこと自体に意外性がありました。

Mona あと、“深夜高速”は連弾のしずしずとしたバラード版のカバーに行き着くまで、最初はギターを入れてみたりとか、テンポを落とさずに原曲の疾走感を出したりしていました。でも、この強い歌詞と真っ直ぐなロックのメロディは、「要素をそぎ落とした方が伝わるんじゃないかな?」ということで、今回のアルバム版にいきついています。

Hina ピアノを弾くのは意外と“あじさい通り”が難しくて、リズム感のアンニュイな感じを出すのを今も練習中です。(笑)

Mona UAさんの“水色”は、去年12月のライブで「何かカバーをしたい」ということで、スタッフさんに教えていただき、短い間で集中して編曲したのですが、Kitriの高音パートを活かせるように、原曲よりかなり音域を上げて歌っています。これが意外とすぐにハマったなと思いました。

■“水色”はKitriの世界観にもよく合っていつつ、違う方の作品だからこそKitriのオリジナル性も際立つように感じて、すごく良いカバーだと思います。工藤静香さんの“嵐の素顔”などは、かなり大胆なアレンジが効いている一方で、久保田早紀さんの“異邦人”は結構そのままだったりして。アレンジの方向性はどうやって決めているんですか?

Mona 私たちが心動かされた名曲をカバーしているんですけど、「その名曲にも何か違う方向性がないかな?」っていうのをまず探ります。だから、コードとかを一回ちょっと忘れて、歌詞とメロディーの「素材」だけを見て、「こういう方向もあるんじゃないか?」と相談して。私たちの声域の問題などでカバーが難しいこともありますが、コードを見て原曲を聴きながら、「こんな風にカバーしたら面白そう!」って、浮かんだものからチャレンジしていきますね。

■なるほど……でも、結構リスキーなことしている気がします。

Mona 毎回リスキーだと思っています。(笑) やっぱり大切な誰かの曲ということで、本当に中途半端なことはできないし、意外とカバーを作る最中は「楽しむ」というより、冷静に作業している感じがします。

■1970年代~2020年代の曲までありますが、今回アレンジをしてみて、最近の曲と昔の曲で、歌詞や和声の違いは感じましたか?

Mona 1つのリズムの中に入る言葉の量はだんだん増えてきている気がします。和声的には今回は良い意味でシンプルな曲が選ばれていますね。

■それにしてもいろんな曲が集まりましたね。個人的に“TAKESHIの、たかをくくろうか”は、初めて聴いた曲でした。

Hina 私はもともとこの曲の作詞をした谷川俊太郎さんが好きで、この曲をスタッフさんが教えてくださった時、「谷川さんがこの曲も書いているんだ!」と思って。

■谷川俊太郎からこの曲に入っていったんですね。(笑) 今作の収録曲のうちで、お二人のイチオシ曲を教えてください。

Hina 私は銀杏BOYZの“BABY BABY”です。レコーディングの時、Monaから「天から降るような声で歌って欲しい」と言われ、「なるほど……」と思って。この曲だけはMonaがディレクションをしながら録ってくれて、完成形を聴いたら「こんなふうになるんだ!」という発見があり、イチオシ曲になりました。

Mona 私はアルバムの最後を締めくくる“TAKESHIの、たかをくくろうか”ですね。こうやってカバーさせていただいたことで出会えた曲でもあり、原曲の3拍子というか、ワルツ感とはまた違うKitriならではのカバーになったのかなと。一日の終わりとかに、この曲をアルバムの最後に聴いて、「ほっ」として欲しいです。

■いつかカバーしてみたい曲はありますか?

Mona 今までは日本の曲をカバーすることが多かったので、何ってわけじゃないけど、洋楽とかにもチャレンジしてみたいです。聴く方としては、最近ベンジャミン・クレメンタインがめちゃめちゃカッコいいなと思っていて。やっぱりピアノを弾く人に惹かれてしまいますね。(笑)

■今後、Kitriの音楽をどんな方たちに届けていきたいですか?

Mona ファンの方たちにお話を伺うと、「本当に音楽が好きな方なんだな」と思うことがよくあります。そういった方たちにこれまで聴いてきた音楽を伺うと、意外とKitriとはジャンルが違ったりして、「音楽でKitriに出会ってくださった」のだと感じています。今は多分、私たちよりすごく若い世代の人は、Kitriのことを知らない方も多いと思うので、未来のミュージシャンが出てくる世代の方たちにもぜひ聴いてもらえたらいいなと思います。

■話は変わるのですが、Kitriは衣装にもすごくこだわられていますよね?

Hina そうなんです。1stの時からオーダーメイドで作っていただいているんです。

Mona 最初は「赤」がテーマで、先日は『Blanc Noir』という名のツアーをやっていたのですが、「Blanc」が白、「Noir」が黒という意味ですので、衣装を白と黒に分け、ツーステージで開催しました。ステージごとにアコースティック編成とデジタル編成をやってみたり、いろんなチャレンジをしました。

■Kitriのデジタル編成は気になりますね。

Mona チャレンジしてみました。(笑) シンセだったり、デジタルピアノだったり、生ピアノを使わないでやってみました。デジタルの世界に魅了されても面白いですよね。

■シンセサウンドなKitriも聴いてみたいです。最後にお二人の今後の目的地はどこですか?

Mona 常に思っているんですけど、多くの方たちに普遍的に愛されるような、そんな曲を作りたいなと、毎回そう思いながら作曲しています。今もたまに知り合いから、「あそこでKitriの曲が流れていたよ」って、連絡が来たりするのですが、いつか自分でも街中で流れているのを聴いてみたいです。

Hina Kitriは全国各地のみなさんに、「うちの県にも来て欲しい!」という風に言っていただいているので、まずは全都道府県に行きたいなと思っています。いつか海外でもライブをしてみたいなとも思っていますし、行きたい所はいっぱいあるんですけど、まずは私が昔暮らしていたことがある大分かな。(笑)

Interview & Text:安藤さやか

PROFILE
姉のMonaと妹のHinaからなるユニット。クラシックピアノをベースに持ちながら実験的な音楽を創造し独自の存在感を放つアーティストとして、2019 年1月、日本コロムビア BETTER DAYS レーベルより、大橋トリオプロデュースで 1st EP『Primo』でメジャーデビュー。TVアニメ「古見さんは、コミュ症です。」エンディングテーマ『ヒカレイノチ』や、TVアニメ「事情を知らない転校生がグイグイ来る」エンディングテーマ『ココロネ』は、海外からの支持も高く話題を呼んだ。また、他アーティストへの楽曲提供など、多方面で活躍中。
配信まとめ:https://nippon-columbia.lnk.to/LHiJ1
Official HP:http://kitriofficial.com/
日本コロムビアHP:https://columbia.jp/kitri/
X:https://twitter.com/__kitri
Instagram:https://www.instagram.com/__kitri/
TikTok:https://www.tiktok.com/@kitri_official

RELEASE
『Re:cover 2in1』

ライブ会場・コロムビアミュージックショップ限定販売(CD)
CEG-63
¥3,300(tax in)
https://shop.columbia.jp/shop/g/gS5157/

日本コロムビア/ BETTER DAYS
11月10日 ON SALE