LACCO TOWER VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

LACCO TOWER『青春』

松川ケイスケ(Vo)、真一ジェット(Key)

酸いも甘いも噛みしめて、それでも前に進み続ける“青春”を見事に体現した聴き応え十分のニューアルバム!

LACCO TOWERのメジャー6thアルバム『青春』がここに届いた。アルバム名を見て、ここまで直球のタイトルを付けるのは珍しいことだ。来年、結成20周年という大きな節目を迎えることもあり、バンドとしてもコロナ禍を潜り抜けていろいろ感じることがあったに違いない。歌詞や楽曲共に伝えること、届けることに迷わずフォーカスを当てた今作について、松川ケイスケ、真一ジェットの二人にじっくりと話を聞いた。

■改めて経歴を確認すると、LACCO TOWERは来年で結成20周年を迎えるんですね。

松川 そうなんですよ。「もう20年経ったんだ」という思いが強いですね。積み重ねてきて、気づけば20年だったという。現編成で20年ではないけど、このメンバーでずっとやっている気もするし……前のメンバーのことを忘れたわけじゃないんですけど。常に今で精一杯でしたから。

■真一さんは途中加入になりますが、いかがですか?

真一 僕が入ってからも10年以上経ちますからね。人間の歳と同じような感覚で、バンドとして歳を重ねてきたなと。常にギリギリの状態で走ってきて、20周年まで来たのは不思議というか、改めてすごいなと思います。

松川 全然楽にならないんですよ、20年経っても。毎年大変なんですよね……。(笑)

真一 常に崖っぷちみたいな。(笑)

■今作はメジャー6thアルバムになります。インディーズ時代にはアルバム4枚出しているので、既にその枚数を超えているんですよね。その意味でもメジャー移籍後の活動はより濃い時間を過ごしてきたんじゃないですか?

真一 それも言われてから「そうなんだ!」と思うくらいなんですよ。

■2015年のメジャーデビューから2019年まで、毎年フルアルバムを発表していましたからね。

真一 そう考えるとメジャー移籍後の5、6年は、インディーズの頃よりずっと早く感じますね。ただ、気持ちの上ではまだメジャーデビューまもない新人という気持ちなんですよね。

■メジャーで毎年1枚アルバムを発表する流れは計画的なものだったんですか?

松川 途中からルーティンのようになったんです。これまでずっと夏にアルバムをリリースしていたけど、今回は初めて冬に発表するんですよ。春に「I ROCKS」という僕らが主催のフェスをやり、夏にCDを出して、冬に投票によるファンクラブイベントをやって年を越すという。それがルーティンになっていましたから。今回はコロナもあり、冬にリリースすることになりましたが。

■前作(『変現自在』)までは、毎年1枚フルアルバムをリリースするという流れはバンド的に大変ではなかったですか?

真一 1年に1枚出すことに疑問を抱かず、リリースできる喜びの方が勝っていたというか。産みの苦しみはありますけど、「また出さなきゃ……」みたいな大変さはないですね。

■今作の制作自体はいつ頃から始まったんですか?

真一 本当はルーティン通りに2020年にリリースするつもりで制作していたんですよ。最初にできた曲が“閃光”で、これは2019年に作っていたものなんです。それからコロナ禍になり、ライブを含めてバンド活動も難しくなってしまって。だから、制作の始まりはコロナ前で、それからコロナが始まり、その状況が当分続きそうだなと。今作の制作に関しては、ほぼコロナ禍で制作したものですね。あと、ライブは有観客ができない状態だったし、制作しかできなかったので、そこに集中しようと。

松川 受け入れるしかないし、とにかくできることをやろうと思いました。例えは変ですけど、「お葬式は悲しみを忘れるためにやることが多い」とか言うじゃないですか。ある意味そんな感覚で、今やれることをやろうと。

■それで普段はできないことにもトライして?

松川 そうですね。ウチはメンバーが住んでいる場所がバラバラなので、行動制限されている中で、みんなで配信をやったりとかもしましたね。それと「ZAIKO」(※ライブ配信システム)にも早めに問い合わせをしたし、できることは何でもやろうと思って。その時期に新しいことに手を出せて良かったですね。配信ライブをやったのも僕らはかなり早かったんです。

真一 「ZAIKO」に挨拶に行ったのは2020年の2月でしたから。2020年はリモートライブをやったので、それをやった他のアーティストもあまり知らないから。

■コロナ禍でもバンドの動きは止めたくなかったと?

松川 それもありますし、余計なことを考えないためにやったところもありますね。考えてもしょうがないことの方が多かったから。

■バンド的にはこれまで通りに2020年に作品を出そうという流れにはならなかったんですか?

松川 やっぱり「今じゃないよね」という感じになりました。あと、我々は店舗特典でライブを開催したりして、みんなとコミュニケーションを取ったりするので、そういう意味でも本来やりたいことができないだろうと思ったから。

真一 それこそ、レコーディングでメンバーが同じ場所に集まるのもまずいんじゃないかという時期でしたからね。レコーディング自体も一度休止になったんです。“罪”という曲のリズム録りまで終わっていたけど、次のギター、ヴォーカルを録る段階で止まりましたからね。4カ月ぐらい空いたんじゃないかな。

■そして今年はベストアルバムを出し、さらに松川さんと真一さんのユニット・松川ジェットの作品リリースもあり、多忙だったと思うんですが、今作の制作は2021年から本腰を入れて?

松川 そうですね。それまでに作った曲もあるけど、そのバランスも見据えて、「アルバムにはこういう曲も欲しいよね」と考えながら作りました。

■今作と松川ジェットの制作が被っていた時期もあったんですか?

真一 はい。順番にやっていました。そう考えると、2021年からずっと制作に没頭していましたね。

松川 他のアーティストへの楽曲提供もあったので、最大3本立てでやっていましたからね。(笑)

真一 今作はタイアップの楽曲もあったので、それに関しては締め切りもありましたし。

■メジャーでの黒白極撰曲集を出したことも、改めてバンドを振り返る機会になりましたか?

松川 メジャー5周年という区切りのいいタイミングだったので、過去の作品を振り返ったし、自分たちの武器をもう一度確認できる時期でもありました。ベストアルバムは、我々が選ぶベストという形で出させてもらったんです。松川ジェットというユニットもこのタイミングだったらやれるんじゃないかと思ったんです。

真一 黒白極撰曲集は今まで培ってきたものを再認識できたし、「ここまでやって来れたんだな」という自信にもなりましたから。それで松川ジェットは全曲カバーで、また新しいことにも挑戦できたので、それも大きな出来事でしたね。それを経ての今作なので、自分の中でもいい流れだなと。

■黒白極撰曲集、松川ジェットの制作、そして今作という流れにもどこか繋がっている部分があると?

真一 松川ジェットではヴォーカルを前面に出して、歌を第一に届けようと思ったんです。それは今作にも活きているんじゃないかと思います。

■なるほど。今作のアルバム名は『青春』と、どストレートな言葉を使っています。これはどのタイミングで浮かんできたんですか?

松川 後半ですね。毎回テーマを決めずに制作していて、最後の方にテーマ的なものが浮かび上がって来たんです。この時代にこの年代の僕らがやれることを考えたら……「青春」という言葉がドンピシャだったんです。ただ、僕はどちらかと言えば、そういうわかりやすい言葉をつけるのが好きじゃないんです。でもシンプルに生きてこなかった人間だからこそ、今回はシンプルな言葉をつけるのが面白いかなと。