LACCO TOWER VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

LACCO TOWER『青春』

■LACCO TOWERとして「青春」という言葉がドンピシャだった理由とは?

松川 20周年というのもあり、コロナ禍で解散したバンドや、なくなったライブハウスもあり、それでも僕らは今も何かをやれている。それをアルバム名で表現したら『青春』がぴったりな感じがしたんです。

■松川さんが思う青春のイメージとは?

松川 青春は若い人に向けて使う言葉だと思うんです。でも青春という言葉は誰でも使っていいと思うし、僕らがこういう状況の中で進んでいるのも青春だなと。僕の中で「青春」という言葉は10、20代に感じていたものと、経験を積んできた今とでは捉え方が違うんですよね。「酸いも甘いも噛みしめて、それでも目標に向かう我々の姿はなんだろう……?」と考えたら、「青春」がぴったりだったんです。

■それで“青春”という曲が生まれたんですか?

真一 そうです。その曲だけ唯一タイトルから作り始めたんですよ。先ほど(松川)ケイスケが言ってくれたことをメンバーも聞いて、この曲は最後にできましたからね。

■あっ、そうなんですね!

真一 はい。アルバム名を『青春』にしようと決めて、それからそういう曲を作ろうと。

■最後にできた曲がアルバムのオープニングを飾り、アルバム名になるというのはすごいですね。本当に最後のピースがハマッたような感じでなんですね。

松川 本当にそうですね。

真一 最後に「青春っぽい曲を作ろうと思ったけど、青春ってなんだろう?」と、最初は上手く消化できなくて。それこそ昔に流行った青春パンクみたいな曲も作ったけど……収録されている“青春”という曲ができるまでは紆余曲折ありました。

■底抜けに明るい曲ではなく、LACCO TOWERなりの切なさと爽やかさを兼ね備えた、エモーショナルロックに仕上がっていますよね。

松川 初めて白髪について歌いましたね。(笑)

■「黒に白が混じった マーブル頭の 英雄(ヒーロー)」の歌詞はやはりそうでしたか!

松川 それを受け入れるか受け入れないかもあるし、そういう意味でも悩み多い青春時代なんです、今も。(笑)

■自分たちの現状をしっかり受け止めた上で、キッと前を向いている表情は作品全体にも通じる部分ですよね。

松川 そうですね。僕が20代のことを書いてもしょうがないし、自分がわかっていることをより明確に伝えることが人に響くと思うので、それは意識しました。今の状況もあり、全体的にそういう仕上がりになっているのかなと。

■歌詞とアレンジを含めて、よりシンプルな楽曲が増えた印象も受けますが、そのへんはどうですか?

松川 それはあるかもしれないです。

真一 シンプルな感じは突き詰めたというか、それも松川ジェットの経験が活きているのかなと。前作の制作ぐらいから、歌を前面に出すアレンジや曲作りを心がけていたので、今作ではそれが上手くまとまってきたんじゃないかな。

松川 別にそう話し合ったわけじゃないんですよ。ただ、テンポが速いと歌詞が届けられないとポツリと言ったことはあるかもしれないけど。(笑)

真一 メロディラインもヴォーカルのことを考えて作っていますから。歌の息継ぎのことまで考えながら作りましたからね。以前はそんなことを全く考えていなかったから、地獄みたいな曲ばかりでしたけどね。(笑)

松川 歌詞もわかりにくい言葉はなるべく使わないように考えました。

■今作の歌詞を通して伝えたいことは?

松川 真っ黒の上に真っ白があるから、真っ白であることが理解できるわけじゃないですか。悲しいからこそ、嬉しいことがわかるわけで、「今はこういう状況だから、次はきっと良くなるよね」という表現は、どの歌詞にも通じるところだと思います。

■ええ。綺麗事ではなく、ダークな部分を見据えたポジティブな表現にちゃんと昇華していますよね。では、今作の中で一番挑戦した楽曲というと?

真一 “雪”は冬にリリースする計画でもあったので、それで作り始めた曲なんです。初めて情景から作ったんです。雪が降っている絵を浮かべて、自分が子供の頃に描いていたクリスマスみたいな。今まで情景から曲を作ったことがなかったので、それは新しい試みでしたね。今後こういう曲の作り方もできるんじゃないかな。

■“雪”は今作の中でも質感が違うし、純粋にいい曲ですよね。最後になりますが、今作のレコ発ツアーはどんな内容になりそうですか?

松川 僕らが生まれたライブハウスをこのタイミングでもう一度まわろうと思って。渋谷サイクロンがスケジュールに入っているのも、僕らが初ライブをやった場所だからなんですよ。

■原点回帰的なツアーになると?

松川 まさに青春です!(笑)

真一 現時点での僕たちを見てもらって、僕たちの青春をそこで作り出せたらいいなと。そういうツアーになると思います。

Interview & Text:荒金良介

PROFILE
松川ケイスケ(Vo)、塩﨑啓示(Ba)、重田雅俊(Dr)、真一ジェット(Key)、細川大介(Gt)からなる5人組ロックバンド。叙情的なリリック、パワフルなドラミング、空を切り裂く轟音ギター、縦横無尽にグルーヴするベース、幻想と狂奏が入り交じるピアノライン、どこか懐かしい印象のメロディがフロアを大きく揺り動かす、叙情的な詩世界とは裏腹な激情その物のライブパフォーマンスで全国各地で暴れ回る狂想演奏家。2002年バンド結成。2015年6月に日本コロムビア / TRIADレーベルよりメジャーデビュー。2016年と2017年には2度にわたりフジテレビ系TV アニメ「ドラゴンボール超」のエンディング主題歌に抜擢。2017年より5年連続で地元群馬のプロサッカーチーム、ザスパクサツ群馬の公式応援ソングを担当。現在までにアルバムをインディーズにて4 枚、メジャーにて5 枚をリリース。2021年12月8日メジャー6thアルバム『青春』リリース。
laccotower.com

RELEASE
『青春』

COCP-41622
¥3,300(tax in)

日本コロムビア / TRIAD
12月8日 ON SALE