Lead VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

Lead『Tuxedo~タキシード~』

「生きていく中でいちばん大事な要素はまず楽しむこと」
――それをシンプルに表現したLeadのロックンロールナンバー誕生

Leadの33枚目となるニューシングル『Tuxedo~タキシード~』が完成した。ダンスの原点ともなるロックンロールをさかのぼり、彼らのスパイスを加えたオリジナルのロックンロールナンバー。サウンドはもちろんのこと、MVで披露されすでに話題となっている「ほうきダンス」と、ここには音楽の原点――「楽しむこと」が凝縮されている。ここに込めた想い、そしてこのシングルについて、谷内伸也、古屋敬多、鍵本輝、3人にたっぷり話してもらった。

■ロックンロールなシングルになりましたね。

谷内 もともとはTOKYO MXの『Leadバラエティ』の、時代をさかのぼった楽曲をカバーしようという企画から始まったものなんですけど、その流れから、次のシングルも今までやったことのない年代の曲をカバーして、新たな一面として打ち出したら面白いんじゃないかってことで、今回こういうシングルになりました。

■当時の音楽は実際には聴いたりされていました?

鍵本 潜在的には聴いてたかもしれないんですけど、実際に聴いたことはなかったですね。

古屋 ちっちゃい頃にテレビとかで流れていて、なんとなく聴いて知っているかな?ってくらいの認識ですよね。竹の子族とかも。(笑)

■そうでしょうね。(笑)

古屋 ツイストを僕ら流に踊るってどういうことやろ?ってところから、竹の子族の映像を初めて観たんですよ。本場のツイストってどういんもんなんだろう?って。僕の中では手を思いっきり振るイメージがあったんですけど、意外と本場は違って、技みたいなものもあったりして。技だったら何か入れられそうだねってことで、そこからロックンロールの勉強会をしたりしてね。

鍵本 「ロックンロールとは?、ロックの文化とは?」とかね。事務所のスタジオの管理人の方がごりごりロックンロール好きの方で、その方に「ロックンロールといったらどのアーティストを聴けばいいですか?」って聞いてみたり、「この曲を聴いてどう思いますか?」って“Tuxedo~タキシード~”を聴いてもらったりしたんですけど、その方に出会ってから19年、あんなに輝いた目の管理人さんを見たことがなかったです。(笑)

■ふふふ、好きなものについてはそうなりますよね。

鍵本 それで、その方もエルビス(・プレスリー)は聴いた方がいいと言っていたのでまずエルビスを聴いて。

谷内 ロックンロールに限らず、その年代の音楽をプレイリストにして。

■聴いた印象はどうでしたか?

谷内 知っている曲が多いなって。というのも、サンプリングでいろいろなアーティストが取り入れていたり、カバーとかされているじゃないですか。だから、「あ、これが原曲やったんや!」って発見がめちゃめちゃあって、引き出しが増えましたね。これまでなかなか掘ってこなかった年代の曲なので。

鍵本 よくよく考えると、ダンスミュージックの原点でもあるんですよね。僕たちはブレイクダンスが好きなんですけど、例えば敬多が観たっていう竹の子族のツイストも、サークルを作ってダンスバトルじゃないけど、「俺のダンスはこれだぜ!」ってバトルしていくみたいな。それって今に通ずるものがあるじゃないですか。だから「あー、これが原点なんだ」って、ダンスの原点、僕らの原点も再確認できた気がしました。

■そんな中“Tuxedo~タキシード~”は、当時のロックンロールの雰囲気を残しつつ、Leadらしくアップデートされた楽曲になりましたね。

谷内 そのひとつとして、こういう楽曲にラップが入っているというところですよね。

■すごく新鮮でした。

谷内 そこに違和感を覚える人もいるかもしれないけど、遊び心、新しさとして捉えてもらえたら嬉しいし、あとはやっぱりダンスですね。

■MVで披露されていた「ほうきダンス」ですね。

谷内 そうです、ほうきダンス。ツイストダンスとアメリカでバズりつつあるモップダンスを組み合わせて、日本だったらモップよりほうきの方が馴染みがあるということで。

鍵本 TOMO(DA PUMP)くんと話してね。

谷内 TOMOくんに振り付けをしてもらったんですけど、TOMOくんは最初モップダンスとして持ってきてくれたんです。でも「日本ではどうだろう?」って話になって、みんな学校の掃除で子どもの時にほうきを絶対に持つから、ほうきダンスかなって。もともとはDA PUMPでやろうと思っていたみたいなんですけど、「あげちゃう」ってことだったんで、「いただきやす!」って。(笑)

■踊ってみてどうでしたか?

谷内 今までだとこういう振り切った楽曲は、あえてめちゃくちゃ踊りを詰めていたんです。でも今回はキャッチーに楽しく、そこまでがんばらなくてもちょっとマネしようと思えばできるくらいのダンスをTOMOくんにお願いして。だから、振り入れがめちゃくちゃ早く終わりました。シングル史上初じゃないかっていうくらい。

鍵本 僕たち詰め込まないと不安になるタイプなんですよ。振り数もそうだし、ライブのリハーサルをしていても、とにかく詰め込むんです。それくらいやらないと、「これでいいのかな?」って心配になっちゃって。なのに、今回はすごくシンプルでサビもずっとほうきダンスしているだけなので、「大丈夫かな……?」って、もう心配性爆発。(笑)

■ふふふ、そうなんですね。

古屋 ずっと同じ振りを推すって、DA PUMPさんのスタイルで。だからいいんですよね、それだけ遊べるし。

鍵本 そうそう。シンプルに攻めるのもいいなって。すっごい派手な洋服を着るよりも、ユニクロでいい、みたいな。(笑) それでも十分カッコよく見えるなって、MVの完成形を観たときにちゃんとそう思えたし。

■すごく楽しそうですしね。

鍵本 そうなんです。そこがちゃんと表現できたので、「あ、これで大丈夫だ」って。さすがTOMOくんだって思いましたね。

古屋 難しいことはやっていないので楽しみながらできたし、みんなにもできるかなって。

■聴きながら勝手に手が動いちゃいました。

古屋 そういう感じで、全部マネできるくらいのクオリティではあると思います。

■ダンスも曲も、歌詞にあるよう「まず楽しむことさ」って、この一言に尽きるのかなと。

鍵本 まさにその通りだと思います。このご時世だからポジティブなメッセージを詰め込む楽曲もいいとは思うんですけど、人間が生きていく中でいちばん大事な要素って、まず楽しむことで、そういうことをシンプルに表現していくのがLeadらしいのかなって。その大事な要素がMVも含めてちゃんと表現できたと思います。

■“監獄ロック”のカバー、こちらはいかがでしたか?

鍵本 この曲は、最初は盤に入れるつもりは全然なかったんです。番組の企画の流れからフランクな感じでレコーディングをしたら、案外周りの評判が良くて。表題曲が“Tuxedo~タキシード~”だから、この2曲がセットになると、“監獄ロック”が“Tuxedo~タキシード~”を推してくれたり、“Tuxedo~タキシード~”が“監獄ロック”を推してくれたり、そういう相乗効果があるかなってことで、今回入れることになったんです。

■いい具合にラフに録れましたか?

鍵本 そうですね。とはいえ、すごく大変でしたけどね。(笑)

古屋 大変だったよね。

■何がいちばん大変でしたか?

古屋 英語です。英語を習いたいなってずっと思ってはいたんですけど、習えてなかったし、だからまず耳で聴いた音で覚える、みたいな。

鍵本 スピードラーニング的なね。(笑)

古屋 そう。(笑) あと、ロックンロールの歌い方っていうのも、今まであまり経験がなかったので、これも難しかったですね。自分の中でロックと言えばシャウトなんですけど、ちょっと攻め気味の、シャウト気味の声を意識してレコーディングして。最終的にはみんな一緒に歌っている感じなので、埋もれてよくわからないかもしれないんですけど。(笑)

鍵本 その敬多のシャウトのエッジーな感じが、だいぶこの曲を支えてくれていると思います。

古屋 結果的には3人でいい具合にバランスが取れたよね。

鍵本 そうだね。でもやっぱ大変でした。こんなゴリゴリしたロックは歌ったことがないし、敬多の言うようなシャウトみたいなスタイルは、今まで僕はできなかったので、正直どうしようかなって。あと英語も速すぎて「なんでこの単語と単語がつながることによってその発音になるの?」って。(笑)

■あー、なるほど。

鍵本 だって、例えば「古屋敬多」って日本語を縮めたら「フリャケタ」ってことじゃないですか、たぶん。(笑)

■はい。そうですね。(笑)

鍵本 「あー、俺って頭固いんだな……」って思いながら、カタカナに起こしていましたね。あと、ノリを出すのも難しかったです。タッカタッカタッカタッカっていう跳ねた16ビートなので、跳ねさせなきゃ、ちゃんと後ろのサウンドを感じて歌わなきゃって。