Leola VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

Leola『白いページの中に/朝が来るように』

悲しい気持ちになってしまっても、そこから希望を見出せるような時間をこの曲と一緒に過ごして欲しい

Leolaが『白いページの中に/朝が来るように』を配信リリース。11月13日より全国公開の映画「ホテルローヤル」の主題歌となる“白いページの中に”は、1978年に発表された柴田まゆみのカバー曲であり、“朝が来るように”は、8年前の下積み時代に歌われていたという彼女にとって思い入れの深い曲である。時を経て、2020年という今歌われるこの2曲――ここへ込めた想いを話してもらった。

■映画『ホテルローヤル』の主題歌のお話をいただいた時のお気持ちはいかがでしたか?

Leola 武(正晴)監督の作品はよく観させていただいていて、『百円の恋』とか大好きなので、携わらせてもらえることが嬉しかったです。そして今回はカバー曲ということで、歌謡曲やフォークは好きで結構知ってるつもりではいたんですけど、こんな名曲があったんだと初めて知ることができたのも嬉しかったです。

■聴いた時はどんな印象でした?

Leola とても奥行きのある楽曲だなって。なので、自分が表現できるのか、正直そんな気持ちでした。しかも映画の主題歌なので大丈夫かな?って。

■その気持ちから、どのように表現されようと?

Leola 原曲はもちろん、いろいろな方がカバーをされているものを聴かせていただいたんですけど、(清水)信之さんのアレンジを聴いた時、原曲に対するリスペクトをすごく感じたんです。原曲をほとんど変えないまま、少しだけ優しく、少しだけ素朴にという、まるで映画に寄り添うようなアレンジになっていて。だから、これは変えない良さみたいなものを出さなくちゃいけないなと。柴田(まゆみ)さんのコピーをして、自分の中で言葉や音のニュアンスを捉えていきました。

■正解がないだけに大変だったと思うのですが。

Leola 大変でした。例えばハッピーな楽曲だったら、笑顔で歌うだけでそのニュアンスが伝わる場合もあるじゃないですか。今まで自分が歌ってきた曲はそういうものが多かったんですけど、この曲に関しては最初から最後まで同じような空気が漂っていて、感情がすごく表に出るわけでもないし、リズムがすごくあるわけでもない。だから、どこで変化をつけたらいいのかがよくわからなくなってしまったりして、かなり難しかったです。

■自分の表現に辿り着くまでかなり時間がかかりましたか?

Leola 真似してもダメだし、私なりに歌わなくちゃと思っていたんですけど、またそれがむずかしくて。「こうでもない、ああでもない、ブレスはどこでやるか、抑揚はどうするか」って、細かいところまで考えるんですけど、納得いくまでというのがまた難しいんですよ。それこそ正解がないから、どこまでいけばOKなのかもわからないし、もうあの時はレコーディングが永遠に続くんじゃないかって思ったほどです。(笑)

■歌詞の世界はどのように表現されようと?

Leola そこがまた難しくて。この曲は、聴く人によって想像する景色や思い描く人が絶対違うと思うんです。そこの含ませ方や、漂わせ方がまたすごいんですけど。今の時代、そういうところを説明しちゃうことが多いじゃないですか。でもこの曲はそうではないから、聴き手の想像力を掻き立たせられるように、そこまで自分の気持ちは入れず、自分だったらこの言葉を言われたらこう考えるかなとか、ほんとその程度で、あえてそれほど自分の気持ちは落とし込まずにという感じです。

■確かにいろんな受け取り方ができる曲だし、いろんな表情のある曲ですよね。

Leola そうなんです。微笑みながら歌ってもいいと思うし、悲しみながら歌ってもいいと思うし。それは聴く人も同じだと思っています。いろんな表情がある曲で、いろんな景色が見える曲なので、自分の気持ちはそれくらいでいいかなと。

■映画はご覧になられたんですか?

Leola はい。まだ音とか完全な状態ではなかったんですけど、ここに自分の歌が流れることを想像すると、なんだか不思議な気持ちでした。今までも主題歌を歌わせていただいたことはあるんですけど、その時の感覚とはちょっと違って、それはカバーということもあるし、この映画自体がタイプスリップのような構成だってこともあると思うんですけど、私も一緒にタイプスリップして、最後にその「ホテルローヤル」の時代の女性シンガーの役として歌っているというか、そんな感じだったんです。それが今までにない感覚で、すごく不思議でした

■カバーという点では、演じる感覚で歌われたところもあるんですかね?

Leola 演じているわけではないけど、普段とは違う自分という意味では、そういう感覚はあるかもしれないです。

■納得のいく仕上がりになりましたか?

Leola カッコつけもせず、かわいこぶるわけでもなく、フラットな声で歌えているなって。しゃべっている声に近いというか、実際の声に近い歌声、「あー、私だな」って声だし、案外大人っぽい声も出せていて。(笑) 納得いく仕上がりになりました。