Lucky Kilimanjaro VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

Lucky Kilimanjaro『!magination』

■そもそも“DO YA THING”は、どういうきっかけで作ったんですか?

熊木 もともとは、他人と比較してとか、他人がどうしているからとかで、自分の行動を決めるのは、そんなにいいことじゃないなという気持ちがあって。たとえば僕が売れている人を見て、「こんなに売れなくちゃいけないんだ」って音楽を作るんじゃなくて、僕がなんの表現をしたいか、Lucky Kilimanjaroの音楽が誰かにとって大事なものであるためには何をするべきかを考えなくちゃいけない。そういうのを大事にしてほしいっていうのが根底にあって。そのためだったら失敗もそんなに悪いことじゃないかもねっていうところまでつなげようかなと思って、こういう歌詞になりました。

■だから“DO YA THING”=あなたのことをしなさいというタイトルなんですね。

熊木 これだけいろんな人の行動が見えちゃう時代だと、他の人が何をしているから自分もやるとか、合わせたくなっちゃうと思うんです。でも、それには自分の意思が入っていなくて、他の人がやっていることをやるだけになっちゃう。たとえば僕だったら、目の前のお客さん、Lucky Kilimanjaroを聴いてくれている人、その先にいる人、不安を抱えている人に対してやると決めているから、売れるためにやるみたいになるとブレるなと思ったんです。それは最終的に僕が幸せになれない。そういうことが誰にでも日常的にあると思うから、「あなたのことをやるんだよ」っていうのを大事にしてほしいっていう曲ですね。

■こういう歌詞の話は、メンバーにもするんですか?

熊木 いちおう書ききってからみんなに渡すことが多いので、こういうことを考えてるよっていうのは話します。理解してくれていたり、なかばふざけて聞いていたりですけど。(笑)

■熊木さんのなかでメンバーはどういう存在なんですか?

熊木 もともと大学のサークルのメンバーですけど、僕がこうして1人で話したり、自分が曲を作れたりするのは、6人で受け止めているからだと思うんです。そういう意味では安定剤的な意味合いが強いのかなって。全員のアイディアを1つにしているというよりは、僕のアイディアをちゃんと支えてくれている。1人ではできないなと感じています。

■今回の収録曲は、わりとシンプルな構成が多くて、曲もほとんど3分台じゃないですか。メンバーからもう少しアレンジをひねりたいとか、そういう意見は出ないんですか?

熊木 言われてないですね。短くするのは、僕が短くしたいからなんですけど、「あっさりしてるよね」とかは言われます。「いや、あっさりしてるから何回も聴きたくなるんだよ!」と返していますけど。(笑)

■いまはサブスクの時代で短い曲が増えているので、意図的に短くしているのかなと思ったんです。

熊木 僕もサブスクで音楽を聴きますけど、それを意識したというよりは、自分の中で「これ以上は長いかな?」みたいな感覚があるんです。もうひと展開加えることで、ドラマチックになるかもしれないけど、重たくなりすぎちゃうというか。僕は1曲で伝えられることは、そんなに多くないと思っているので、ある程度シンプルにまとめたくて。あまり長いとか短いとかは思わず、作り終えたらこの長さになっていたということが多いです。

■アルバム中盤は遅い曲も入っていますけど、曲が短いからこそ、アルバムとして聴いた時に、より展開を感じやすくなっているんじゃないかと思ったんです。それが時代に即しているのか逆行しているのかわからないですけど。

熊木 スローな曲を入れたいなっていうのはありましたけど、どちらかと言うと曲が揃ってから、初めてこうだったなと気づいた感じですね。(笑) 僕は過渡期というか、もともとCDで育って、ストリーミングを聴くようになった世代なので、小さい頃からアルバムとして聴く感覚はあるんです。それが自分でフルアルバムを作るとなったときに、自然と出たのかもしれないですね。その感覚と、いまのサブスクを聴いて「短い方がしっくりくる」という感覚が、うまく混ざったのかもしれないです。

■自然とバランスを取っていたんでしょうね。そういう時代の中で、今後の活動については、どんなビジョンを描いていますか?

熊木 楽曲に関しては、よりみんなの生活に寄り添えたらいいなと思っていて。流行りのジャンルをやったからウケたとかじゃなくて、その人にとって大事なものになればいいなと思っているんです。そういう曲を書きたいと思っているし、それを通してライブとか僕らの活動自体を好きになってもらいたい。そういう意味では、昔のアーティストと考え方は変わらないと思います。

■Lucky Kilimanjaroの曲が、自然と生活の中に入ってきてほしいですか?

熊木 そうですね。Lucky Kilimanjaroを聴いてから、ちょっと空気がよくなったよねって。人間の気分って、それくらい潜在的なものだと思うんです。普段どんな音楽を聴いているかで、自分のテンションは無意識に決まっていたりするから。それをLucky Kilimanjaroの音楽で、明るい方向に引っ張れたらいいな、自然と底上げできたらいいなって思います。

Interview & Text:タナカヒロシ

PROFILE
2014年にヴォーカルの熊木幸丸を中心に活動を開始。鮮やかなシンセサイザーのサウンド、ダイナミックなドラム&パーカッション、誰もが口ずさめるようなメロディラインとダンスミュージックの融合はリスナーからの注目を集めてやまない。そんなリスナーの心を踊らせることを目的とした、6ピース・エレクトロポップ・バンド。2020 年3 月にはメジャーでは初のフルアルバム『!magination』のリリースを発表。5 月に開催される東名阪のワンマンツアー初日の恵比寿リキッドルームは完売し、6月の渋谷クラブクアトロの追加公演を発表。
luckykilimanjaro.net

RELEASE
『!magination』

Lucky Kilimanjaro『!magination』

MUCD-1447
¥2,970(tax in)

DREAMUSIC
3月4日 ON SALE