MADKID VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

MADKID『Interstella Luv』

こだわり抜いたニューシングル“Interstella Luv”でみせた個々の力とチームワーク

MADKIDが宇宙(そら)をモチーフに描いたラブソング『Interstella Luv』をデジタルリリース。Halo at 四畳半の渡井翔汰によって作曲された本楽曲は、メンバーのLINによってダンスミュージックとバンドのハイブリッドに編曲された。ロマンチックに、それでいてリアルな「きみ」への強い気持ちが描かれている。情報番組『バゲット』のエンディングテーマとしても採用され、彼らの更なる飛躍のきっかけにもなりそうな本曲は、MADKIDのチームの強さをよりはっきりと写し取った作品でもある。渡井とともにLINが作り出した本曲の世界観は、ボーカリストの表現力やラッパーとして作詞にも携わるYUKIを感化させ、MADKIDチーム全体の士気をより上げた楽曲とも言えるだろう。そんな彼らに“Interstella Luv”に込めた思いやこだわり、そして個人の持ち味も生かして活動するMADKIDの考えるグループとしての強みなど、YOU-TA、YUKI、KAZUKI、LIN、SHIN、5人にたっぷりと語ってもらった。

■壮大な楽曲となっている今回のシングル曲“Interstella Luv”ですが、まずは完成した感想を聞かせてください。

KAZUKI LINから曲が届いて初めて聴いた時、電車に乗っていたんですけど、泣きそうになっちゃって。歌詞を見ながら聴いていたんですけど、急に自分だけの空間になったみたいな感じで、いろんな気持ちが溢れてきたんです。でもサビに差し掛かったくらいで、ちょうど乗り換えのタイミングになっちゃって、それで現実に戻っちゃいました。(笑) 本当にいい曲ができたなと思いました。

YOU-TA LINが編曲するバラードというか、このタイプのミドルテンポの曲が初めてに近かったので、最初に聴いた時、こういうアプローチもできるんだっていう驚きがありました。

■去年からいろんなアーティストと一緒に制作をしていたみなさんですが、今回はHalo at 四畳半の渡井さんの作曲です。編曲にも携わっているLINさん、今回ならではの発見などはありましたか?

LIN Halo at 四畳半は、曲を聴かせていただく中ですごく素敵だなと思っていたので、作曲をお願いできてすごく嬉しかったです。他の方が書いた曲を編曲させていただくのは初めてだったんですけど、自分の趣味で人の曲をカバーしたり、人が作った曲を触るのは結構好きなんです。なので、それが仕事としてできて嬉しかったです。

■“Interstella Luv”の歌詞は、テーマや世界観がはっきりしているなと思ったんですけど、作曲をお願いする段階で先にイメージなどは決めてあったんですか?

LIN 歌詞はお願いする段階では考えていなくて。ただ僕は歌詞を書く時にストーリーにするのが好きなんです。雰囲気のある楽曲を任せてもらえたので、得意な感じで書いてみようかなって思って、そんなに気負わずに書きました。

■今回LINさんが編曲をしているからでもあると思うんですけど、バンドとダンスミュージックの融合の仕方がすごく面白いなと思って。今までのMADKIDの曲を聴いてから聴いてもすごくしっくりくるし、Halo at 四畳半の曲を聴いた流れで聴いてもそのニュアンスがしっかり残っているのがすごいなと思ったんです。編曲の段階で「こういう要素を足そう」とか、「こういう風にやってみよう」って考えたことがあれば是非聞きたいです。

LIN 渡井さんから頂いていたデモは、アコースティックギターと渡井さんが歌ってくださったメロのみだったんです。だから僕が手を加えた部分が大きくて。その中でバンドの文脈の方と共作するにあたって、例えばスネアの音色であったり、ハイハットやパーカッションあたりは生っぽい音を使っていこうと意識しました。

■そうだったんですね。渡井さんから届いたデモはみなさんも聴かれていたと思うんですけど、それと完成形を聴き比べて印象の違いなどはどう感じましたか?

SHIN 最初のデモを聴いた段階でもすごい世界観がある楽曲だなと思いました。できあがった曲を聴いて、渡井さんが作ってくれたものをちゃんと残しながら、気持ちを汲みながら作っているのが伝わって、すごく感動しました。

YUKI 今回の“Interstella Luv”を作っている時期は、いろいろと制作が立て込んでいて、LINちゃんは編曲の他にも歌詞を書くことが多いのもあって、タスクを分配しようっていう話も出たんです。でも、この曲に関してはLINちゃんがもうすでにテーマを決めていて、編曲の時点で「もう形を作ってあるから、任せて欲しい」と言ってくれたので、僕たちはその世界観に触れずに任せたんです。渡井さんの曲を聴いた後にLINちゃんのを聴いても、配分がすごい上手いなって思いました。作曲家としても作業しているからこそ、人の曲を触る時の感覚とかってまた違うんじゃないかなとか、そういうところも考えて聴くようになりましたね。さっきのパーカッションの話もそうですけど、1個1個の音が入っている理由があるっていうのが聴いていても楽しさが増しますし、インストで聴いてもいい曲だと思います。MADKIDの色味のひとつとしてLINちゃんの音色があるなと改めて感じますね。

■“Gold Medal”のリリース時に取材させてもらった時は、金メダルに対する解釈が自分にとってのトップなのか、みんなに金メダルをあげたいのかとメンバー間でそれぞれ考え方の違いがあって、それが歌詞の幅を生んだっていう話もでましたけど、今回はLINさんが1人で書いたからこそ、強固なひとつの世界が構築されているなと感じましたし、どっちの良さもあると改めて思いました。今回の宇宙モチーフの世界観は、映画や小説の影響もあったりするんですか?

LIN 2000年代のSF映画の中で、僕が一番好きなのが『インターステラー』なんですけど、これはずっと頭にありました。僕自身、話を作ったりする時に、根拠のない御伽噺よりもロジックがあったり、裏付けされているような物語が好きで。その中でも宇宙とか、僕らが感じ取れないようなものを描いているものが好きなんです。『インターステラー』を観ていて、僕らには絶対に会えない人もいるし、会えなかった人もいるけど、例えば速度が限界を超えたりしたら、「もしかしたら僕らが死んだ後に生まれる人なんかとも会えたりするかもしれない」とか考えたりしました。あと宇宙は関係ないですけど、『バタフライ・エフェクト』っていう映画があって。すごく遠いところで起こしたひとつのアクションが、もっと大きくなってすごく遠くに届くみたいなのもちょっと意識にはありましたね。

■時空を超えたら会えなかった人にも会えるかもっていうのは、暗にみなさんの身近な人とか、ファンとか、実際の人たちを表していたりもするんですか?

LIN 歌とか詞とかのいいところって、自分たちで自由に解釈できることだと思っていて。だから意味を限定するのはあんまり僕は好きじゃないんです。聴く人がそれぞれの中で、自分と相手の位置を決めて聴いてくれたら楽しめるんじゃないかなと思っています。SHINくんはレコーディングの時に言っていたエピソードがあるんだよね。

SHIN そうなんです。僕は小学5年生の時に妹を亡くしているんですけど、この歌詞を見た時に妹が真っ先に思い浮かんだんです。会いたいのに会えない辛さや、自分の心の中には生きているのに直接言葉をかけることができない悔しさがある中で、この歌詞だったら妹にも届くんじゃないかとも思ったんです。歌詞の最後に「やっと逢えたんだ」ってあるんですけど、これにすごくぐっときたんですよね。会えない、会えないけど伝えたい、でも最後にやっと逢えたんだっていうのが、自分でも歌いながらハッピーになれるし、嬉しいし。いつかは会えると思っているので、それを信じて今MADKIDで頑張ろうと思う楽曲でもあります。LINが言ってくれた通り、聴く人や歌う人によって対象とか考えることって違うと思うので、それぞれが大切な人を思いながら聴いてくれたら、より一層この曲の世界観に入れるのかなって思います。

■宇宙っていうモチーフとしてはすごく大きなものではあるけど、そこで歌われているのは親密だったり大切な存在だったりする。身近な人に対する、大きな感情も込めることができるんですね。

YOU-TA 僕は誰かを思って歌ったというよりは、曲を聴いて目をつぶった時に自分が思っている気持ちをその都度レコーディングしていきました。一貫しているテーマっていうよりは、その時々の感情をぶつけていくっていう感じでしたね。

KAZUKI 僕は切ない中にもちょっと希望があるみたいな思いで歌っていて。今回はMADKIDのロック系の曲に比べたら歌いやすかったというか、自分の声とマッチしているのかなと思って挑めました。難しい曲だったんですけど、普段よりは苦戦せずにできました。

■YUKIさんはご自身のラップ部分の歌詞を書かれたんですよね。歌入れ前の制作側として参加するメンバーとして歌詞の見方も違ったと思うんですけど、いかがでしたか?

YUKI 僕のラップが入る8小節以外は既にできている状態、100点に近い形でデモがあがってきたんです。毎回「ここからどうしよう」って考えるのは、楽しみにしているところで。同世代でこうやってクリエイティブをやっている人……っていうかチームメイトなんですけど、そういう人とやる時って、自分が今までやってこなかったことをやるチャンスだと思っていて。「僕だったらどうするんだろう?」って考えながら自分を開拓するチャンスなんです。なので、今回も新しい扉を開けられるように頑張ろうと思いました。僕は理系だったので、歌詞にでてくる「相対性理論」とかは考える節が浮かんでくるんですけど、それとファンタジーの世界って通じるようで通じないんですよ。僕が習っていた物理とか科学とはまた感じ方とか捉え方が違うんです。最初に書いた詞があまりにも現実的なものだったんですけど、一応LINちゃんに送って、それから2、3回リテイクして作りました。ラップは個人の考えが出ると思うので、いつもはLINちゃんも「YUKIの好きなようにやって」っていう感じだったんですけど、今回は「こういう風にした方が曲のイメージに合うかも」っていう具体的なものを送ってきてもらえて。たった8小節ですけど、世界観を壊さないようにっていう努力をしながら、それでも僕のラップが入るのであれば、「ちょっと異物が入ってきたな」って思ってもらえるような形にできたらいいなっていう塩梅を考えながら作りました。

■YUKIさんのラップの存在感と、世界観を壊さないっていう両立。考える糸口として理系が思わぬところで役に立ったんですかね?

YUKI 逆にちょっと邪魔した感はありましたね。(笑) ファンタジーの世界と似ているようでやっぱり似ていないので。僕が書く前から歌詞に言いたいことが全部散りばめられていたので、僕のところは直接的に言っていいのか、幻想的になりすぎても何を言っているかわかんないし、みたいな。一瞬「僕のパートなくてもいいんじゃないかな……?」って思うくらいだったので。(笑)