「盾の勇者」ベスト盤は彼らの成長がわかる一枚に
MADKIDが6枚目のシングル『Bring Back』をリリース。“RISE”、“FAITH”に続き、TVアニメ「盾の勇者の成り上がり」のタイアップとしては3曲目のリリースとなる“Bring Back”は、彼らの楽曲の王道でもあるアッパーなロックチューンである一方、終盤の高速ラップなど、これまでにない勢いもある楽曲となっている。
声色の異なる3人によるボーカルと2人のラップという体制が特徴のMADKIDだが、その他、作詞・作曲、編曲など、制作に本格的に携わることができるメンバーがいることも彼らを語る上では欠かせない。外部の作曲家等によるバラエティ豊かなアイデアと、レコーディング以前の制作に関与するメンバーによって詰め込まれるグループの思い、そしてテクニカルなラップの絶妙なバランスが魅力である彼ら。今作の制作秘話から6月のワンマンライブ、8月のアニサマに向けての思いなどを、YOU-TA、YUKI、KAZUKI、LIN、SHIN、5人にたっぷりと語ってもらった。
■まずは、アニサマ出場おめでとうございます!今の気持ちはいかがですか?
KAZUKI 今年の僕らの目標にアニサマ出場を掲げていたので、それが叶えられたことが嬉しいです。あとは、さいたまスーパーアリーナという規模感が全然想像つかなくて。本当にあのステージに立つのかっていう。
YOU-TA それくらい実感がないよね。
KAZUKI でも3日間ある中で、僕らが一番盛り上げる勢いでステージに立ちたいなと思います。今から楽しみですね。
■今回の新曲“Bring Back”は、TVアニメ「盾の勇者の成り上がり Season 2」のオープニング曲ですが、作詞がLINさん、YUKIさん、YOU-TAさんの3人なんですね。制作はどのように進めたんですか?
LIN YOU-TAは歌詞を書く場を用意した人です。(笑)
YOU-TA 超寒い屋上のカフェを用意しました。(笑) 歌詞を書く場所がなかったんですよ。開放感のあるところがいいなと思って、渋谷のプールとかがあるお洒落なところで書こうと思って3人で行ったんですけど、めっちゃ寒くて。(笑)
LIN 3人でブランケットにくるまって。「さみー!」ってなりながら。(笑) 3人でディスカッションしながら書いたって感じです。
YOU-TA 場所選びを任せてもらったものの、盛大に失敗しましたね。(笑)
LIN でも難しいですよね、曲を聴きながら作業するので、途中で無意識に鼻歌とか歌っていたらマズいじゃないですか。
YOU-TA 店内で声は出せないし。
■確かに。そんな難しさがあったんですね。曲が先にあって、それに歌詞をのせたという形だったんですか?
LIN そうですね。曲はコンペをやらせてもらって、僕らが選ばせていただいたんです。一番この曲が想像できたんですよ。「僕らが歌ってカッコよくなりそうだな」っていうのが見えていた曲だったので、この曲を選んでからやりとりをさせていただいて、今の形になりました。
■今回はアップテンポで激し目の曲調ですよね。歌ってみていかがでしたか?
KAZUKI 最初にデモを聴いた時、とんでもない曲だなって。激しいどころか、「何この展開……」って思いました。(笑) 今回はちょっとキーが高めの設定で難しかったんですけど、なんとか自分流に落とし込めたかなと思います。
SHIN 僕も難しかったんですけど、自分が成長できた楽曲でもありましたし、次に繋げられる歌い方にもなったというか。ニュアンスのつけ方だったり、自分の中で工夫できたのがよかったなと思います。
■終盤にはすごく早いラップがありますね。何度聴いても迫力がすごいなと思います。ラップのお2人はいかがでしたか?
LIN これ意味わかんないですよね。(笑) 最後、曲が終わると思ってからの、まだ続く展開というのがすごいなって。でも最初はこういう感じじゃなかったんですよ。結果的にワンフックある曲になったのかなと思います。これ、何故か2人とも早いラップになったんだよね、確か。
YUKI 打ち合わせしていなかったんだけどね。
LIN なのに何故か2人とも早くなって。
YUKI LINちゃんに関しては、普段早いラップをなかなかすることってないんですよ。でもただ早いんじゃなくて、韻の踏み方とかもすごい計算されて作られていて、その後も最後に向かってビルドアップしていく流れになったと思います。
LIN そうなんだよね。僕のところはツーバス踏まれていて、YUKIのところもリズムがすごく早くなるから。もう逃げ場がないっていうか。(笑)
YOU-TA 一番最後の「Make a change」っていうところはYUKIが書いたフレーズなんですけど、YUKIが「ここは一緒に歌おう」みたいな提案をしてくれて。またここから雰囲気が変わるので、ボーカルの僕が入ることで切り替えになるので、ナイスアイデアだったなと思います。すごく綺麗で好きな展開ですね。できることならアニメのオープニングでもフル尺で流して欲しいくらいです。(笑)
LIN 長すぎるだろ。(笑)
■(笑) 今回はEnglishバージョンも収録されていますね。
YOU-TA 海外でもアニメの放送があるんですが、海外ではこのEnglishバージョンが流れます。リスナーの方からしても、聴ける選択肢が多い方がいいかなっていうのもあったり。
■英語の方は発音も関係して、より勢いが増すように感じます。日本語と英語で違ったカッコ良さがありますが、英語の方が歌うのが大変だったとか、あるいはその逆とかありましたか?
KAZUKI 僕は英語の発音には毎度苦戦しているんです。今回も「また英語がきた……」って思いました。(笑)
YOU-TA でも発音よくなっていたよね。
KAZUKI 歌詞を英語に書き換えてくれた人から英語で歌った音源をいただいたんですけど、声をこと細かく聴いて。ちょっと恥ずかしいんですけど、iPhoneのメモ帳に、何個ちっちゃい「い」を書こうかなとか思いながら、ひらがなで発音を書いたりして。Google翻訳の発音を聞いたりもしました。でもそういうのよりも、歌にして発音してくれたものを一番参考にしてやってみようって挑んだら、直されるところがあんまりなかった気がします。
YOU-TA すごくよかったです。ちゃんと練習したんだなって思って。
■地道な努力が報われたんですね。
KAZUKI できればそもそもの発音がよくなりたいですけどね。(笑)
YOU-TA でも上手くなっていくんじゃない?それを積み重ねていけば。僕は2人のラップがめちゃくちゃ好きで、全曲真似してラップできるくらい好きなんですけど、英語バージョンだけはできないですね。難しくて。(笑)
■LINさんとYUKIさんとしては、英語でのラップはどうですか?
LIN 楽しかったです。
YUKI リズムは英語の方が正直作りやすいです。今回は日本語を英語に直していますけど、やっぱり英語の方が韻は踏みやすいんですよね。今回は英訳していただいたものとは別に自分でも英語で書いて、それを合わせて確認してもらってみたいな感じで作りました。
■今回の曲はTVアニメ「盾の勇者の成り上がり Season 2」のオープニングですが、タイアップがあることによって、制作が大変だったり、普段とは異なったやり方になったりなどありますか?
YOU-TA “RISE”、“FAITH”もそうだったんですけど、聴き取りやすい歌い方を重視しています。カップリングとかでは結構好きなように歌っているんですけど、“Bring Back”では歌詞が聴き取れないと意味がないと思うので。一発で何を言っているのかわかるように気をつけましたね。
SHIN 僕もそうですね。前回“RISE”を録った時にそういうことを言われて。それからはタイアップがついている楽曲は、歌詞がちゃんと耳に入ってくるような歌い方にしています。
■歌詞にはどういう気持ちを込めたんですか?
LIN 僕らがコロナとかで活動ができなかった期間もあったりして、その時の気持ちが今回すごく生かされていると思います。“Bring Back”って「取り戻していく」みたいな意味があるんですけど。“RISE”も“FAITH”もこの曲もそうなんですけど、上手いことその時々の僕らの心境にハマっていて。すごく書きやすかったです。歌詞を提出して、「盾の勇者~」側にOKがもらえた時がすごく嬉しくて。クリエイター同士のやり取りでOKを貰える時が一番嬉しい瞬間かもしれないです。他の作品ではそうもいかないかもしれないんですけど、やっぱり「盾の勇者~」に関しては、すごく無意識に作品にフィットする歌詞が書けているので。相性がいい作品に出会えたのかなって思います。
YUKI アニメに寄り添おうとあえて意識しなくても、ナチュラルに書けるっていうのはいいなと思います。“RISE”の時はちょっと寄せようみたいなのもあったんですけど、それに比べるとこの数年間での成長も感じますね。
■「盾の勇者~」のタイアップは3曲目となりますが、前からやっているからこその変化などはありますか?
YUKI 一番大きいのは、“RISE”、“FAITH”ではロックサウンドをダンスミュージックとミックスさせるっていうスタイルができたことかなと思います。なおかつ、ツーラップを生かす曲を作ったりとか。そういう面で“Bring Back”は更にそれを進化させるようなイメージで作りましたね。