MADKID、躍進の1年を総括するツアーファイナル。
12月3日(日)、WWW Xにて『MADKID LIVE TOUR 2023 -SIN- THE FINAL』が行われた。今年5月にグループ初のホールワンマンライブ『MADKID ALLTIME BEST LIVE -Future Notes-』を成功に収めたほか、夏には2年連続となった『Animelo Summer Live 2023』への出演、アメリカでのイベント出演など、2023年はダンス&ボーカルグループとしてもアニソンアーティストとしても飛躍を見せたMADKID。来年結成10周年を迎える彼らによる今年最後のツアーファイナルは、MADKIDの1年を総まとめするような見ごたえのあるライブが繰り広げられた。
ライブは“Fight It Out”でスタート。初っ端から大合唱が巻き起こり、オーディエンスの腕に巻かれたブレスレットライトが光る。ここ数年、アニサマをはじめとする大舞台に立つ機会も多いMADKIDだが、その経験はオーディエンスとのコミュニケーションの取り方に色濃く表れているように思う。この日の会場のような距離感の近いライブハウスでは、より濃密なコミュニケーションが行われていた一方で、間奏などダンスを見せる場面では瞬時に表情が変わるメリハリが会場のボルテージを高めていく。ライブ定番曲“Get Started”でフロアを揺らすと、スキルフルなラップの掛け合いがスリリングな“Last Climber”へ。バンドサウンドとダンスミュージックが融合した音色はMADKIDの音楽面での特徴のひとつだが、バンドサウンドがオーディエンスを煽り、ダンスミュージックのビートが会場を濃密な雰囲気に仕立てダンスを引き立てるという意味では、どちらも現在のMADKIDの強みに欠かせないもの。5人が華麗に立ち位置を入れ替えながらその都度ステージ上の表情を変えるダンスパフォーマンスも含め、序盤から熱気たっぷりの見ごたえがあるステージを展開していった。
爽やかな風を吹かせるような“Change The World”、“One Room Adventure”より、“TOKYO”、しっとりとしたボーカルの魅力が光るミドルチューン“グッバイ・ティーンエイジャー”、趣向を変え繊細なハーモニーを聴かせた“with you”、“konayuki”と雰囲気を変化させていく。2人のラッパー、3人のボーカリストによって紡がれるMADKIDの楽曲は、歌唱メンバーが変わるごとに楽曲の表情が変わっていくのも魅力。抒情的な歌唱が光ったライブ中盤では、特にその魅力を感じさせ没入を誘った。2021年に彼らが事務所を立ち上げ再始動したタイミングでリリースした楽曲“REBOOT”では、当時の野心を彷彿とさせる猛々しいパフォーマンスを見せ、その後、重低音が会場を揺らした“Paranoid”を存在感たっぷりに聴かせる。この流れは本公演の中でも特に獰猛さを感じさせた。近年リリースされたMADKIDの楽曲の中でも群を抜いてダークな迫力のある“Paranoid”だが、“REBOOT”と連続して披露されることでその激しさを互いに引き立て合っていたように思う。
“来・来・来”で会場を躍らせた後には、『盾の勇者の成り上がり』のティザーを挟み、3期のタイアップ曲“SIN”へ。更に“FAITH”、“Bring Back”を続けると、ソリッドなサウンドと激しい楽曲の連続にボルテージも上がっていくばかりだ。MADKIDとアニソンの結びつきを強くしたきっかけの作品である『盾の勇者』だが、MCにてYOU-TAが「俺たちが成り上がっていくところをこれからも応援してもらえたら」と語っていた通り、『盾の勇者』の作品自体とMADKIDの歩み方がリンクしている点も、『盾の勇者』をきっかけにMADKIDが大躍進を遂げている理由でもあるのだろう。ライブ本編は初めて『盾の勇者』に書き下ろした楽曲“RISE”で締めくくられる。オーディエンスの大合唱と激しいパフォーマンスが最後まで会場を揺らし、熱気で染め上げた。
アンコールを求める声援が鳴りやまない中、来年1月から放送される『佐々木とピーちゃん』の告知映像が流れ、そのオープニング楽曲となる新曲“FLY”を初披露。続く“Future Notes”では、アンコールならではのくだけた雰囲気を演出し、メンバー全員が作詞に携わったラップ曲“Play”へ。曲調こそ真逆な“Future Notes”と“Play”だが、どちらも本編では見せなかった彼らのカジュアルな姿を見せ、親近感を生み出した。最後は“No border”で大団円を彩り、来年10周年へと向かう彼らの道筋を照らすようにライブを終えた。
Text：村上麗奈
『MADKID LIVE TOUR 2023 -SIN- THE FINAL』＠WWW X セットリスト
01. Fight It Out
02. Get Started
03. Last Climber
04. One Room Adventure
05. Change The World
06. TOKYO
07. グッバイティーンエイジャー
08. with you
09. konayuki
10. REBOOT
11. Paranoid
12. 来・来・来
13. SIN
14. FAITH
15. Bring Back
16. RISE
ENCORE
01. FLY
02. Future Notes
03. Play
04. No border
