松室政哉 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

松室政哉『Touch』

■“Eternal”も悲しみの淵にいますけど、ここから新たにスタートしようという気持ちも起きるように、少しだけ心も前を向き出しますからね。

松室 そうなんです。「別れ」という言葉だけを捉えるとバッドエンドに思われがちですけど、僕は「ハッピーエンドに繋がる別れ」だってあると思っています。それこそ恋愛映画の中、悲しい別れなんだけど、でも主人公はその後、新しい景色を見ようと前へ進んでいくじゃないですか。まさに、そこなんですよ。確かに“Eternal”は別れの歌ですけど、でも次に進んでいく2人の絵が僕の頭の中にはあった。その絵は、決してバッドエンドなんかじゃない。それぞれが進んでいく未来は絶対にハッピーエンドでありたい。そう感じていたからこそ、“Eternal”を絶望の中でも僅かな希望を抱ける歌にしたし、歌詞にも「ここが僕と君との分岐点(スタートライン)だ」と書いたわけなんです。

■最後の“Touch”ですが、これは僕が好きという気持ちを振り切れずに妄想で幸せに浸っているのか、それともまた違う解釈なのか、聴きながらいろんな風に想像が膨らみ続けていました。

松室 “Touch”はですね、映画で言うエンドロールなんですよ。あえて抽象的な歌詞にしたことで、人によっては出会った頃のことを思い出している歌として捉えているだろうし、おっしゃられたような解釈で見ている人だっていると思います。1本の映画を観終えた時、その人によっていろんな解釈が生まれていく。僕は最高のエンドソングってそれなんだと思います。“Touch”は、人それぞれの思いや解釈のどれにも当てはまる曲。ぜひ“Eternal”までを通して思い描いた物語の理想の結末を“Touch”に当てはめ、その人なりに想像の中で楽しんでもらえたらなと思います。

■まさに、想像の余地を残すというか。むしろ、さらに想像を膨らませていくのがミニアルバム『Touch』なんでしょうね。

松室 そうなっていたらとても嬉しいです。たとえば映画の中でも、「あの主人公はきっと死んでしまったんだ」とか、「いや、まだ生きている」という論争が生まれたりもするじゃないですか。あの感覚と同じように、その人なりの解釈を広げてこのミニアルバムを楽しんで欲しいし、最後の“Touch”というエンドロールが流れる時に、いろいろ思いを巡らせてくれたら嬉しいなと僕は思っています。

■今回「Musicalize Project」Vol.1と名付けているように、このシリーズは続いていくわけですよね?

松室 映画はまさにそうですけど、その人の作家性をわかってもらうためには何作か作らないと見えてこない。なので、「これが松室っぽいな」や、「松室が作る意味ってこうだよね」というのをわかってもらえるくらいにまで、通常の作品と並行し、「Musicalize Project」としての作品も重ねていくつもりです。

■この記事が出る日に、ちょうど“ai”のMVが公開になります。この作品、映画のみならずアーティストのMVも手掛けている内山拓也監督が撮影したそうですね。

松室 内山監督は僕と同世代。そういう人と一緒に仕事をするのが初めてだったのも嬉しかったことでした。“ai”には、俳優の井之脇海くんと福地桃子さんが出演しています。ちなみに僕の歌うシーンどころか、僕自身まったくMVには映っていないですけど。(笑) でも撮影風景を見たくてずっと現場にいました。僕の作った楽曲が、映像として新たな解釈を持って広がっていく様を見るのってすごい感動ですよね。しかも、役者さんの演技の迫力もすごかったですし。何より内山監督が映像として描きだした“ai”の世界観が、僕がミニアルバム『Touch』を通してテーマにしたこととぴったりでした。“ai”は、先に配信リリースもしたので、すでに聴いた人たちの中にも、その人の物語が生まれていると思いますが、そのどれもが正解です。その上で、内山監督の描き出した“ai”のMVもぜひご覧になってください。

■今回の作品には、LIVE DVDも付いてきますね。

松室 “Matsumuro Seiya Anniversary Live 2020 “with Quartetto” Online”ですね。僕は毎年メジャーデビュー記念日の11月1日にライブを行なっているんですけど、昨年はコロナ禍によって、スタジオからの無観客配信ライブという形を取りました。この日は、ストリングスカルテットとドラムとベースと僕による編成で、照明などの演出にもこだわりながら、ちょっとシックな感じでライブをお届けしました。その時の様子を全曲収録しています。凝ったカメラワークも含め、ぜひこちらも楽しんでいただけたらなと思います。

■最後に、読者にメッセージをお願いします。

松室 今もそうですが、昨年のコロナ禍以降、人と触れ合うことが一気に遮断されてしまいました。人は触れ合うことが出来るから誰かを愛することが出来るし、人と触れ合えるからわかりあうことも出来る。人と触れ合うことで傷つけ合うこともあれば、人と触れ合うことで互いを許し合える。人と触れ合うって、それらの元になることなんです。この作品で僕はラブストーリーを描きましたけど、その物語が友情物語や家族を舞台にしたものだったとしても、その題材が何であろうと人を題材にしていく以上、触れ合うことでどんな物語だって動き出すんです。もちろん触れ合うのは心と心でもいいんです。SNS上でだって、文字で触れ合うことは出来ると思います。そういう「触れ合うことの大切さ」を、このミニアルバム『Touch』を通して、みなさんと共有できたらいいなと思っています。

Interview & Text:長澤智典

PROFILE
1990年1月4日、大阪生まれ。高校生の頃、シンガーソングライターとして活動を始め、10代限定の音楽フェス“閃光ライオット”のファイナリストに。大阪で音楽活動を続け、22 歳で上京。2017年11月1日に1st EP『毎秒、君に恋してる』でメジャーデビュー。2018 年10月31日、メジャーデビューから丸1年となる日に待望の1st Album『シティ・ライツ』をリリース。2021年、新たなステージへ向かう松室政哉は楽曲世界を視覚的にも更に広げるため「Musicalize Project(読み:ムジカライズ プロジェクト)」を始動。3月31日にコンセプト・ミニアルバム『Touch』をリリース。その圧倒的なメロディーセンスと詞世界、そしてそれらを包み込む優しく儚い歌声は聴く者の心を掴んで離さない。
http://matsumuroseiya.com/

RELEASE
『Touch』

松室政哉『Touch』

(CD+DVD)
UMCA-10081
¥3,080(tax in)

ユニバーサルシグマ
3月31日 ON SALE

【LIVE】
■Matsumuro Seiya Live 2021 “Cafe de MURO” -ムロの日Special-
出演:松室政哉
サポート:外園一馬(Gt) / 半田彬倫(Key)
日程:6月6日(日)
会場:東京・duo MUSIC EXCHANGE
OPEN / START:13:00 / 14:00
席種:全自由¥4,000(税込、整理番号付、ドリンク代別)
HP先行:3月31日(水)18:00〜4月18日(日) 23:59
一般発売:5月8日(土)10:00〜
問合せ:ソーゴー東京(03-3405-9999)
※未就学児入場不可

■Matsumuro Seiya Tour 2021 “Touch”
出演:松室政哉
サポート:伊吹文裕(Dr) / 植松慎之介(Bs) / 外園一馬(Gt) / 半田彬倫(Key) / 須原 杏(Vn)
日程:7月5日(月)
会場:大阪・Music Club JANUS
OPEN / START:18:00 / 19:00
席種:全自由¥4,950(税込、整理番号付、ドリンク代別)
HP先行:3月31日(水)18:00〜4月18日(日)23:59
一般発売:5月1日(土)10:00〜
問合せ:GREENS(06-6882-1224)
※未就学児入場不可
日程:7月6日(火)
会場:愛知・APOLLO BASE 
OPEN / START:18:00 / 19:00
席種:全自由¥4,950(税込、整理番号付、ドリンク代別)
HP先行:3月31日(水)18:00〜4月18日(日)23:59
一般発売:5月8日(土)10:00〜
問合せ:JAILHOUSE(052-936-6041)
※未就学児入場不可
日程:7月12日(月)
会場:東京・duo MUSIC EXCHANGE
OPEN / START:18:00 / 19:00
席種:全自由¥4,950(税込、整理番号付、ドリンク代別)
HP先行:3月31日(水)18:00〜4月18日(日)23:59
一般発売:5月8日(土)10:00〜
問合せ:ソーゴー東京(03-3405-9999)
※未就学児入場不可
http://matsumuroseiya.com/live.html