■ちなみに去年(2025年)で、一番泣いた日はいつでしたか?
NakamuraEmi いつだっただろう……?そんなにバーッと泣いたわけじゃなくて、幸せで流した涙なんですけど、今ぱっと思い出せるのは、去年の厚木文化会館公演ですね。「もう絶対このライブでは泣かない!」と決めていたんですけど、ラストに会場を渡り歩いた時、友達とか、今まで育ててくれた人たちがたくさん来ていて……それで、アンコールでも生で歌いながら渡り歩いた時に、初めて勤めた幼稚園の先生たちが「わーっ」と並んでいて。その時にキちゃいましたね……。本当に今まで年賀状のやりとりくらいしかしてこなかったので、もう我慢ができなくて、涙がポロっと出て来ました。
■それは涙腺にキますよね。
NakamuraEmi 私はその幼稚園を1年で辞めちゃったのですが、新卒で採用して育ててくれた本当にいい人たちがいて、本当にいい幼稚園でした。なのに若気の至りで、勢いで辞めちゃった部分もあったので、その人たちが来てくれたことに我慢ができなくてポロって出ちゃったので、あれは忘れられないです。
■確かあの時はそろばんの先生もいたんでしたっけ?
NakamuraEmi そうです!そろばんの先生もいて。“一円なり”という曲で、その先生のことを歌っているので、あとでファンの方たちからも、「先生と一緒に写真を撮ってもらいました!」というメッセージが来たりもして。(笑) そうやってみんなが来てくれたことも嬉しかったですし、自分たちが関わってくれていた人が曲になって、その人たちが来てくれて、その人たちをわかってくれるファンの人たちがいて……という、本当に結婚式みたいな状態たったので、マジで幸せでした!(笑)
■それは本当に去年一番泣いた日だと思います。“RIBBON”は、こんな曲が作られるきっかけになったケニーくんって、素敵なんだなぁと思いました。
NakamuraEmi そうなんですよ。ケニーくんはもう10年以上一緒にやっているPAの人なんですけど、奥さんもライブハウスでPAをやっていた人で、私もライブでお世話になっていました。それで、ケニーくんとは結婚指輪の話だったりとか、「プロポーズしたい」だったりとかの話をいつもツアーの飲み会とかでしていて。(笑) みんなで「しろ!しろ!」みたいなことを言っていたんですけど、そこから見事に結婚して、子どもが生まれて……という、3人の姿をずっと見てきたんです。そういう3人をずっと見てきたからこそ、もう愛情しかないんです。その3人の曲がこうやってあらためてみなさんに届けられる形になって、すごく幸せです。
■「君より⻑⽣きするよ」って、「愛してる」を超える一番の愛の言葉じゃないですか?
NakamuraEmi いや、ここね!本当に言われたいです。言われたいし、言いたいし。
■Emiさんはライブで言えるじゃないですか。(笑)
NakamuraEmi 確かに。(笑) 歌うことで言えますね。歌うことで言えて、自分が人生を歩めているという曲がたくさんあるので、本当にその通りかもしれません。この曲を歌う時にまだちゃんとこの歌詞で歌えたことが無いので楽しみですね。
■最後バグパイプの音で終わるのがまたいいなと。
NakamuraEmi これ、ギター弾き語りの曲なので、カワムラさんがアレンジを出してくれた時に「わーっ」て幸せな気持ちになりました。「よくここに来ましたね、ありがとう」みたいな感じでした。
■バグパイプって伝統的な結婚式で鳴らされるんですよね。
NakamuraEmi そうなんですよ。調べてくれたみたいで。一度地元のスタジオにバグパイプ奏者の女の子が来ていて、その音がすっごい素晴らしかったので、私もいつか何かでと思っていたんですけど、この曲には本当にバグパイプの音が合うなと思って。ぜひ結婚式で使ってほしいです。婚活雑誌にも売り込みたいです。(笑)
■そして次の“MICHIKUSA”なんですが、これはもうインタビュアーが質問すること無いんじゃないかな?って。(笑)
NakamuraEmi 確かに。(笑) 「厚木で育ったからこそ、今音楽ができている」みたいなところがあるので、リスペクトしかないです。
■歌詞に書かれていることが全てにも思いますが、あえてのポイントをひとつ挙げるとしたら何になりますか?
NakamuraEmi 自分には子供がいないんですけど、子供たちには沢山道草をしてほしいです。最近の子どもたちって、「タイパ」という言葉にとらわれていて。私たちも地図アプリに動かされている部分もあるじゃないですか。だからもう、「やっべ、なんだここ?」みたいなところにハマっちゃったり、道に迷ったりすれば、偶然出会う人もいるかもしれませんし。失敗したり、恥ずかしい経験が自分の今になっているので、たくさん道草して、失敗して、道に迷ってほしいなと思います。
■それにしても厚木は素敵な街でした。本媒体では厚木での凱旋公演もライブレポートしていたのですが、街を歩いているファンの方たちが「いい街だね」と言っていたのが印象的でした。
NakamuraEmi 本当に何も気取るところがないから、そこがまたいいなと思っています。愛しい街です。
■すごかったですよ。本厚木駅から人の流れに身を任せてたら、会場に着いていたんですもん。(笑) 迷うことなく辿り着きました。
NakamuraEmi 普段は人がそんなにいないので。(笑) ライブが終わった後に、私のTシャツを着ている人たちがいっぱい本厚木の道を歩いていて。車に乗りながらそれを見て、感極まってしまいましたね。(笑) あれがきっかけで新しい曲もできて、本当によかったです。
■そして“デイジー”は、ライブで聴きたい曲だなと思いました。
NakamuraEmi 確かにそうですね。この曲はお客さんの顔100%の曲だったので、そういうふうに作れた曲って今まであまりなかったからこそ、本当にライブに来てくれる大変さを思いました。ライブに行くのって、チケットを買うとか、その時にどうやって行こうとか、荷物とか、いろんなものがあるじゃないですか。そのありがたさをコロナ禍で改めて実感したので、ライブをずっと続けてきたからこそ、感謝の気持ちは絶大です。
■カワムラさんと一緒に作ったとのことですが、パーセンテージや、作り方的はどんな感じだったのでしょうか?
NakamuraEmi 基本的にどの歌詞も私が一旦全部書くんですけど、その直し具合というか、客観視をカワムラさんが担当してくれています。客観視がめちゃくちゃ必要な曲だったら客観視してくれるし、これは私ひとりでいいというものは、そうアドバイスしてくれるし。“デイジー”は自分ひとりだと濃厚すぎちゃうのですが、私も頑固な部分がたくさんあって、歌詞を共有できる人はカワムラさんしかいないので、この曲も「ここはコレだとお客さんには伝わらないかもよ?」、「これだとお客さんは意味わからないかもね」といったことをアドバイスしてもらっています。
■ちなみにカワムラさんは、“エステみてぇだな”みたいな曲でもリテイクされるんですか?
NakamuraEmi “エステみてぇだな”については全く……。でもサビは全然違ったんですよ。メロディも歌詞も結構違ったんです。でも、「この曲はエミちゃんの曲だから、これでもちろん完成なんだけど、第三者が聴いた時に、もっと自分が入り込める部分がサビとかにあったらいいかも。でもこの曲は任せるよ」みたいな感じのアドバイスでした。絶対に直した方が良い時は責任を持って「絶対に直した方が良い」と言うのですが、あの曲は「エミちゃんが選びな」ということで。でも、すごく大事な曲だったので、少しでもたくさんの人に聴いてもらいたくて、サビは15回ぐらい作り直して、カワムラさんに聴いてもらって、「これいいかも」みたいなところにたどり着いたのがあの曲でした。カワムラさんが関わっている部分が少しだったとしても、カワムラさんがいるからこそできた曲ということで、20%くらいの関わりだったとしても、お名前はクレジットするようにしています。
■でも、その曲で何パターンも作られるのはすごいですね。
NakamuraEmi その時は、カワムラさんは確かスノボかどっかに行っていたんですけど、最初5個ぐらい作っていて、「どうするか?」となって、「いや、もうちょっとかな」ということで、また5個くらい作ってという感じで……。そういうことができてよかったです。(笑)
■せっかくですから、このタイミングでいつも支えてくれるファンのみなさんに一言メッセージをお願いします。
NakamuraEmi 10年間続けられたというのは、体と喉と心が健康じゃなかったらできなかったことで、それは決してひとりではできないことだったと思います。スタッフさんたちのサポートはもちろん、ファンレターを読むと、お客さんがすごく大事に自分の曲を聴いてくれていることを、それはもうすごく感じるので、そのおかげで心が元気でいられます。お互いに心と体が元気でいられるような、少しでも話し相手になれる言葉をこれからも届けられるように頑張りたいなと思わせてもらっています。
■最後の“UBU”なんですけど、私はなんとなくEmiさんに、コメダ珈琲で作詞しているイメージがあって……。どこかで話していましたっけ?
NakamuraEmi でもコメダ珈琲はめっちゃ行きます。(笑) この曲を書いたのは、すすきののコメダ珈琲です。(笑) すすきのでフェスがあって、前乗りしたんですが、前乗りする時は基本みんなで飲みに行くんですよ。でも私、この曲をどうしても仕上げたくて。それで、海鮮大好きなんですけど、カワムラさんとかケニーくんとかがみんなでウニを食べに行っている中、「寿司食べたかったな……」と思いながら、どこか作業できる所を探していました。時間がもう夜の9時、10時くらいだったので、ホテルに帰ったら寝ちゃうと思っていたんですが、もうどこも閉まっていて……。それで行きついたのがすすきののコメダ珈琲だったんです。(笑) 入ってみたところ、夜のすすきのなので、時間的に酔っぱらっている人がカウンターで寝ていたりして。(笑) 「なんかいいなぁ」みたいな感じで豆菓子を食べながら書いたら、この歌詞ができました。この歌詞ができたら、「もうこの曲は大丈夫かも」と思って。「コメダ珈琲ありがとう」という想いを込めています。
■「44年モノ」のところは、これから数字を増やすつもりですか?
NakamuraEmi そうですね。でもね、こういう曲が多いんですよ。(笑) 「30だから」とか、「40だから」と言っている曲もあって。でも、どうなのかなぁ?これはどんどん更新していってもアリかもしれませんね。(笑)
■そうそう、この曲、「そこらじゅう溢れるモノクロな言葉」という歌詞で、Emiさんもこんな言葉を使うんだなと思ったんですよ。
NakamuraEmi えっ、どういうことですか?!(笑)
■もっと優しいことを言うイメージがあったんです。
NakamuraEmi なるほど。こういう活動をしていると、いろんなことについて、いろんなお言葉を頂くことがあるんです。それにやられちゃう自分がいたので、同じように「言葉」にやられちゃっている人がいると思って、みんないろんな言葉にやられているけど、やっぱり「自分の大事な言葉を、対面で喋っている人の言葉を一番大事にするべきだな」とあらためて考えて、こういう歌詞を作りました。
■最後に、これから始まるツアーに期待してほしいことはどんなことですか?
NakamuraEmi この10周年でたくさんの先輩方や、いろんな方と対バンさせてもらったので、吸収させてもらったこのライブのパワーみたいなものを、いろんな形で放出できたらいいなと思っています。誰かの応援歌になるようなライブにしていきたいです!
Interview & Text:安藤さやか
PROFILE
神奈川県厚⽊市出⾝。1982年⽣まれ。様々な職種を経験する中で、⾊々なジャンルの⾳楽に出会い、歌とフロウの間を⾏き来する独特なスタイルを確⽴。⼩柄な体からは想像できないほどパワフルに吐き出されるリリックとメロディーは⼼の奥底に突き刺さる。2016年1⽉20⽇、⽇本コロムビアよりメジャーデビューアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST』をリリース。収録楽曲の“YAMABIKO”が全国のCSやFM/AMラジオ52局でパワープレイを獲得。メジャーデビューから1年、2017年3⽉8⽇に2nd アルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4』を、そして5⽉24⽇にTVアニメ「笑ゥせぇるすまんNEW」のオープニングテーマ“Don’t”が収録された主題歌シングルをリリース。2018年3⽉21⽇に3rd Album『NIPPONNO ONNAWO URAU Vol.5』をリリースし、全国22か所を巡る全国ツアーを開催した。Volkswagenとのタイアップがきっかけでスタートしたコラボレーション企画の中で新曲「相棒」を書き下ろし、 10⽉17⽇にデジタル配信、11⽉3⽇に1,000枚限定⽣産の7inchアナログをリリース。2019年2⽉20⽇にはMajor 4thアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.6』をリリースし、 全国24か所をまわるツアーを開催。10⽉にはNHK Eテレ アニメ「ラディアン」第2シリーズのエンディングテーマ“ちっとも知らなかった”をデジタルリリース。12⽉にはライブ盤『“NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.6” RELEASE TOUR LIVE!』をデジタルリリースした。2020年2⽉5⽇、『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST2』をリリースし、アコースティックver、バンドverの配信ライブを⾏った。2021年、3ヶ⽉連続デジタルリリースと題し、4⽉16⽇第1弾デジタルシングル“私の仕事”、5⽉21⽇第2弾“投げキッス”、6⽉18⽇第3弾“drop by drop”をリリース、6⽉2⽇にはドラマParavi「にぶんのいち夫婦」エンディングテーマ“1の次は”をデジタルリリースした。7⽉21⽇には、メジャー6枚⽬のアルバム『Momi』をリリース、9⽉からはアルバムを携えた全国25公演のツアーを⾏った。2022年3⽉16⽇には集英社HAPPY PLUSイメージシング“⼀⽬惚れ”を配信リリース。9⽉16⽇には⾃⾝初コラボとなる、藤原さくらとのマッシュアップソング“The MOON×星なんて⾔わず”を配信リリース。2023年7⽉8⽇、初の8cmSingleとデジタル配信にて“究極の休⽇”がリリース。カップリングには、初のカバー曲“WOW WAR TONIGHT〜時には起こせよムーヴメント〜”(H Jungle with t)も収録。2023年11⽉10⽇には、2作連続8cmSingleとデジタル配信“⽩昼夢”がリリースされ、カップリングには“新時代”(Ado)を収録。2024年3⽉8⽇にリリースされた“晴るく”が8cmSingleとデジタル配信3作⽬となり、カップリングには「楓」(スピッツ)が収録された。2024年5⽉29⽇に7枚⽬のアルバム“KICKS”のリリースが決定。6⽉からは約2年6ヶ⽉ぶりとなる全27公演の全国ツアーNakamuraEmi「KICKS Release Tour 2024」を開催した。2025年1⽉20⽇厚⽊市シティプロモーションオフィシャルソング“MICHIKUSA”を配信リリースし、4⽉FMヨコハマ「YOKOHAMA RADIO APARTMENT」(毎週⽉〜⽊ 22:00〜23:30)⽔曜⽇の新DJを担当。9⽉6⽇には地元厚⽊市⽂化会館でワンマンライブ『NakamuraEmi 10TH ANNIVERSARY LIVE in 厚⽊市⽂化会館 〜 ただいま & いらっしゃいませ 〜』を開催。9⽉7⽇“デイジー”をデジタルリリース。2026年1月20日「UBU」をデジタルリリース。1月31日にはNakamuraEmi 10th Anniversary「背負い投げ 4本⽬」NakamuraEmi×UVERworldとのツーマンイベント、4月18日はRHYMESTERとの「背負い投げ 5本⽬」、5月15日にはTHA BLUE HERBとの「背負い投げ 6本⽬」を開催した。7月7日「今夜cruise」をデジタルリリース。10月7日にはアルバム『PATCHWORK LIFE』をリリース予定。アルバムリリースを受けて、10月31日からNakamuraEmi「PATCHWORK LIFE Release Tour 2026~2027」開催予定。
https://www.office-augusta.com/nakamuraemi/
RELEASE
『PATCHWORK LIFE』

CD(CD)
COCP-42742
¥3,800(tax in)

LP(LP)
COJA-9612
¥5,500(tax in)
日本コロムビア
10月7日ON SALE







