Natumi. VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

女優が自分の感情を殺して誰かに成りきるのと同じように、「夫には表面上を取り繕って接する女性」という雰囲気を歌声でも心がけました。

Natumi.が1月10日に『クルワセ』を配信リリース。1月9日よりスタートしたドラマ「夫を社会的に抹殺する5つの方法 Season2」の主題歌に起用される今作。「愛・絶望・怒り・悲しみが入り混じった狂気の感情を、Natumi.の力強くも切ない歌声で表現した楽曲」と資料にも記されているように、1曲の中で激しく揺れ動く彼女のいろんな感情や心模様を味わえる、気持ちを揺さぶる“クルワセ”について、Natumi.に話を訊いた。

■最新曲“クルワセ”は、1月9日よりスタートしたドラマ「夫を社会的に抹殺する5つの方法 Season2」の主題歌として起用されますが、冒頭から「心臓のリズム狂わせる 貴方の甘い吐息」と歌いだすように、女性の狂おしい心情を綴った強烈なワードが次々登場して、この歌詞の世界が本当に衝撃的でした。

Natumi. 今回の歌詞はドラマの物語にとても寄り添っています。このドラマは、最愛の息子の死をきっかけに、自分自身や夫と深く向き合っていく過程で復讐していく内容で、大きな愛が社会的な制裁へと変化していく高梨臨さん演じる主人公・日野美咲の気持ちが、この曲の歌詞にはすごく反映されています。

■歌詞に綴られているのは、愛しているからこそ生まれた感情。まさに、愛憎の想いですよね?

Natumi. まさに「愛していたのに……」という気持ちですよね。でも、人ならみんなこういう感情って、心の奥底にはあるものかな?という気もしていますし、そこを自分なりに汲み取って歌っています。

■“クルワセ”の歌詞を、自分の感情と重ね合わせるのは大変じゃなかったですか?

Natumi. 歌う前にドラマの台本をいただき、それを読み込んだことで、高梨さんが演じる美咲の気持ちに成りきって歌えました。私なりにですが、美咲の感情を把握できたからこそ、レコーディングの時は、Natumi.でありながらも日野美咲として歌っていました。

■だからNatumi.さんの歌声に揺れ動く感情がリアルに映し出されていたわけですね。感情の起伏が見える歌声には本当に心を揺さぶられます。

Natumi. ありがとうございます。でも決して感情的になることなく、それこそ狂気的な気持ちも含め、秘めた感情がちょっとずつ垣間見れるように心がけて歌いました。レコーディングの時にも、感情100%ではなく、70%程度にコントロールすることを心がけました。それに楽曲自体が盛り上がり系ではないからこそ、しゃくりやビブラートの入れ方の加減にもこだわりましたし、ドラマの雰囲気に合う声色にも心がけました。

■100%の感情で歌ってしまうと、逆に濃すぎてしまうのでしょうか?

Natumi. 実は一度、自分の感情を爆発させたバージョンも録ってみたんですけど、ドラマの雰囲気と楽曲とを重ね合わせた時に、ちょっと感情の色が強すぎたことから、少し抑え目に歌うことにしました。それに、主人公の美咲自身が、内心では夫への復讐心をメラメラと燃やしながらも、日常ではそれを隠しながら夫と接しているように、あくまでも内なる感情を出すことが大事で。だからこそ、女優が自分の感情を殺して誰かに成りきるのと同じように、「夫には表面上を取り繕って接する女性」という雰囲気を歌声でも心がけました。そうは言っても、やはり気持ちが乗ってしまうのか、最後のサビあたりでは結構感情が盛り上がった声で歌っています。(笑) それと、“クルワセ”はR&Bのテイストも組み込まれた楽曲だから、しっかりとリズムに乗りつつ、曲の表情によっては、ちょっとお洒落なノリも活かしながら歌いました。

■だから1曲の中からいろんな感情の色が見えていたんですね。

Natumi. ときには気持ちを押し殺したり、絶望や怒り、悲しみを抱きながらも、あえてその感情を隠すように歌ったり、逆に感情を露わにしたり、美咲の気持ちのままに歌っているので、そこも感じてもらえたら嬉しいです。

■“クルワセ”は、これまでに発売した“pARTs”、“ラストノート”、“Knock”のどれとも重ならない曲調や歌い方ですよね。でも、3曲を通して培った要素も見えてくる楽曲でもあり、歌い方ですよね。

Natumi. これまでの経験を活かしながらも、また違う感じですよね。私自身、今回もチャレンジでした。とくにちょっとお洒落なR&Bのリズムに乗って歌う時は、どうリズムに乗りながらも歌声に色をつけていくか、自分なりにいろいろと試行錯誤をした面もありました。具体的に語るなら、Bメロの「感情の起伏波を打つ 貴方が吐く言葉」の部分などは、特徴的なリズムだからこそ、そのリズムを意識しつつ、そこと感情を重ね合わせることを心がけながら歌っています。あと、Dメロの「狂ワセテ 惑ワセテ 踊ラセテ 今以上」の辺りから、感情が上がっていくといいますか、ちょっと狂っていくような声の表情も心がけたから、そこも聴く上で意識してみてください。

■まさに高梨臨さん演じる日野美咲が憑依した姿で歌っていたんですね。

Natumi. 本当にそう。夫に向けた美咲のドロッとした感情や、亡くなった息子への思いなど、彼女がドラマの中で感じているいろんな感情をこの曲には反映できたなと、自分なりに思っています。

■“クルワセ”はエンディング主題歌ということは、本編が終わった後に流れるわけですよね?

Natumi. ドラマがエンディングに差しかかった時に毎回流れるようです。歌詞の内容が物語に寄り添っているからこそ、毎回の内容を観た上で、この歌にも気持ちを没入させていけるんじゃないかと私は思っています。

■物語を観る度に、どんな風に“クルワセ”の歌詞とドラマを通してその時に抱く感情がリンクしていくのか、そこが毎回の見どころであり、楽しみにもなりそうですね。

Natumi. そうですね。私自身がヒロインの美咲に成りきって歌っているからこそですね。実際に歌う時も、ドラマの中のいろんな場面を思い浮かべながら歌いましたし、ドラマを観ている人たちも、きっとヒロインの美咲に感情移入して、物語の展開にもどんどん引き込まれていくと思うんですね。なので、美咲の気持ちに共感を覚えていたところで、ドラマの終わりに“クルワセ“が流れると、なおさら歌詞の内容へと引き込まれていくと思います。ドラマでは基本的には1番の歌詞が流れるわけですけど、そこは秘めた感情を意識して歌っている部分で、そこからどんどんと感情的になっていくので、フルで聴いてもらえたら、物語への感情移入がより深くなると思います。ドラマの場面によっては最後の部分が使われることもあるかも知れないから、そこも楽しみにしています。

■現状はドラマを観る前に聴いたわけですけど、冒頭の「心臓のリズム狂わせる 貴方の甘い吐息」と歌いだしたとたんに、「ガッ」とハートを掴まれていたから、かなり掴みを持った歌なのは間違いないですからね。

Natumi. そこから「感情を狂わせていこう」としていますからね。(笑)