nolala VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

nolala『sequence』

千陽(Gt.Vo.)、美寿々(Ba.Vo.)、ひな(Dr.Cho.)

人間って自分の口から出る言葉や考えで、これからの人生を豊かにできる。

「私は別れた彼氏を全員曲にするタイプです」という千陽のツイートがバズった京都発の3ピースガールズバンド、nolala。彼女たちが事務所所属後第一弾となる1stEP『sequence』をリリース。ツインヴォーカルを武器に豊かなメロディやコーラス、加えてシンプルな楽曲の良さを高めた今作は、nolalaの新たな出発点を刻む力作に仕上がっている。赤裸々に綴った歌詞も要注目であり、これからますます飛躍するであろう魅惑のガールズバンドと言っていい。千陽、美寿々、ひなのメンバー3人に話を聞いた。

■バンド自体は2016年結成になりますが、これまで作品数は決して多くないですよね?

千陽 はははは。作曲のスピードが遅すぎて。

■それは実体験を楽曲に落とし込むことが多いからですか?

千陽 いや、単純に自分に自信がないからですね。曲を作るにしても、今の時代だったり、今はこういうバンドがいるとか雑念が入ってしまって。1曲を作るどころか、サビを作るにしてもブレてしまうんです。でもめっちゃイライラして、感情爆発みたいな時は雑念なくすぐ作れるんですけどね。(笑) ただ、今作は初めて短期間で作ったんです。自分にとっては半年弱で4曲を書き上げたのは結構ハードでした。だからこれからはサクサクできるんじゃないかと。

■今作の制作を通して自分の殻を破れたと。この5年間の歩みについては、メンバーそれぞれ振り返ってどんな期間でしたか?

美寿々 昔と今では曲も違うし、今が一番いいですね。

■というのは?

美寿々 ひなは途中で入ったんですけど、それで他のメンバー2人もほぐされて。曲も内気で悲しいものが多かったけど、昔と比べて「やったるぞ!」という気持ちがプラスされたので、今は強気ですね。

ひな 結成3年目で“グッバイライアー”が千陽のツイートでバズッたんですけど、それから一皮剥けました。自分たちはどう見られたいのかを考えるようになったから。

■今はどういう風に見られたいと思っていますか?

ひな nolalaの音楽でその人の人生や世界を救うことはできないけど、生活に寄り添って一緒に泣いたりはできるので……そういう存在でありたいなと思います。

■では、千陽さんはいかがですか?

千陽 この5年でやっとまとまってきたなと思います。昔から人に頼るのが得意じゃなくて、当時は美寿々さんと前のドラムがいたんですけど、自分で抱え込んでしまう方で、今振り返ったらその時間は無駄だったなと感じていて。もっとバランス良く3人でやって、ライブハウスや知り合いの人を巻き込んだら、もっと早く今の状況を作れたんじゃないかと思います。無駄な時間が多かったけど、いろいろと気づけて良かったです。(笑)

■ちなみにnolalaが最初にやりかった音楽というと?

千陽 あまり無理して練習したくなかったので……nolalaをやる前は4人でやっていて、自分はギター&ヴォーカルで、周りにリードギターとか頑張ってくれる楽器隊がいたんです。しかも全員男で、私一人が女みたいなバンドをやっていました。だから、次もそうなるだろうなと思っていたし、もともとあんまりガールズバンドは聴かないんですよ。3ピースだと自分の負担も大きくなるから、積極的ではなかったんですけど。今のメンバーを紹介してもらって、相性が良かったのでやってみようと。そもそも女同士で上手くやっていける自信がなかったんです。

■それはなぜですか?

千陽 友達も男ばかりで、女の友達もいるけど、男っぽい女友達ばかりだったので。自分が言うのもあれですけど、女の子は面倒臭いイメージがあって、男の人を取り合って解散したバンドも見ていたから。(笑)

ひな 私は初めて組んだバンドが女3人だったので、全然抵抗はなかったです。

美寿々 私は歌える場所が欲しくて。昔は(浜崎)あゆのようになりたいと思ったこともあるし、Jポップやアニソンとか、打ち込みの曲で歌うのもいいなと思っていたので。今は与えられたことをやろうと思っています。

■今のメンバー3人は相性がかなりいいんですね。

千陽 そうですね。性格的にもいいバランスなのかなと。

美寿々 ガールズバンドしてるかな?でもあまりガールズバンドとは思っていないけど……。(笑)

千陽 一般的なガールズバンドよりも、おじさんっぽいですね。(笑) キャピキャピしてないし、みんなでカフェに行くこともないし、美容とか皆無なので、どちらかと言えば、おじさんっぽいのかなと……。

■そこは全力で肯定するわけにはいかないので。そうなんですね、としか言えません。(笑)

全員 ははははは。

■nolalaの音楽性はいい意味で特定の音楽からの影響が見えにくくて、その辺はどう感じられていますか?

美寿々 確かに何々っぽいと言われたことはないですね。

■フォークとか懐かしい香りも楽曲に漂っていますよね。

千陽 それはめちゃくちゃ言われます。中高と音楽漬けで、ジャンル縛りなくずっと聴いていたんですよ。当時のトップ10をCDで借りたりしていたので、その辺の邦ロック、Jポップの要素は一番入っているかもしれないですね。

■具体的なアーティスト名を挙げると?

千陽 影響を受けているのかはわからないけど、MAGIC OF LiFEが一番好きで。高校で初めて曲を作り始めた時に、MAGIC OF LiFE、AJISAI、超飛行少年とかを聴き込んでいた時期があって。そうしたインディーズバンドから影響をもらっているのかな。

■コーラス/ハーモニーの部分で、美寿々さんが京都発のメロディックパンクバンド、F.I.Bの名前を影響源として挙げていましたよね?

美寿々 そうです!コーラスの厚みがすごいので、自分たちでもそういう部分は出していきたいなと思っています。

■そして今作は5曲入りEPになります。冒頭で半年弱ぐらいで4曲書いたと言われていましたが、今回はケツを叩かれたところもあったのでしょうか?

千陽 そうですね。地獄のような日々でしたね。(笑) 事務所に入ると、宣伝とかいろんなことが決まってくるので、先に決まっているスケジュールの圧ですごく頑張りました。

■地獄のような日々というと?

千陽 曲を作る時は、何もない1日の中でないと作れないんです。ずっとこもって作るのが気持ち的にリラックスできるし、新しいものが出やすいんです。でも、普通に週5は仕事で埋まっているので、仕事に行く前や自宅に帰った後にギターを触るんですけど、全然集中できなくて。その中でいつ曲を作ればいいのかなと……。それがしんどかったです。

■どんな状況下でも曲を作れるようになりましたか?

千陽 いや、作れなかったです。(笑) 結局、何もない日にしか曲を作れなくて、何とかできた休みの中で作りました。

■今作はすごくいい作品が出来ましたね。まずはバンドの手応えを教えてもらえますか?

美寿々 全部新曲だし、今回初めて作詞・作曲した曲(“結び目”)もあるので、そういう意味でも新しい風が入った音源だなと思います。

ひな ハードスケジュールの中でやったので、ドラムフレーズは千陽ちゃんと電話を繋ぎながら考えたところもあるんです。それは今までになかったことですからね。

千陽 今作は全員が成長できた作品だなと感じます。短期間で曲を作ったこともそうですけど、他のメンバー2人がいつもとは違うパターンやフレーズをしっかり考えてくれて、自分が求めている以上のものをやってくれたんです。『sequence』は人生をテーマにした作品で、自分たちの人生においても出発点になる作品なので、これからさらに良くなっていけばいいなと思います。

■今作のテーマを人生にした理由は?

千陽 恋愛を軸にした曲が多いけど、“生き辛い世の中だ”という曲では、普段の日常やコロナ禍のことも書いていて、すべて折り重なって人生になっていく。そういう意味で『sequence』というタイトルにしたんです。

■人生のあらゆる場面を切り取ったものが連続している、あるいは折り重なっているという意味で『sequence』だと。まずは今作の冒頭を飾る“生き辛い世の中だ”は、曲名を含めてパンチのある楽曲ですが、これを1曲目に持って来たのは?

千陽 まだコロナが収束していないこともあり、今の時代に一番合っているかなと。あと、知らない人がサブスクで聴いて、「どんなバンドだろう?」とわかるものにしたくて。