亀田誠治書き下ろし10周年記念曲は「亀田さんからのラブレター」。
大原櫻子の10年間の音楽活動を振り返る、初のオールタイムシングルベスト『大原櫻子 オールタイムシングルベスト 2014-2024 Anniversary』が8月21日にリリース。今作には大原櫻子がこれまでにリリースしてきた全シングル・配信シングルを収録。さらに10th Anniversary Songとして、デビュー曲を手がけた亀田誠治書き下ろしの最新曲“Anniversary”、そして映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」の挿入曲“サヨナラの準備は、もうできていた”のカバーも収められる。インタビューでは10年間を振り返りつつ、亀田との7年ぶりの再タッグについて話を訊いた。
■まずは何より、10周年おめでとうございます! デビュー当時と比べて一番変わったと思うことはなんですか?
大原 お芝居や歌の見方はやっぱりデビュー当時とは全然違いますね。デビュー当時には楽しくて観に行っていたものだったのですが、今は勉強のために観に行くものでもあります。もちろん好きで観ているんですけど、見方が変わってきたなと感じます。
■特に「見方が変わった」と思ったきっかけはありますか?
大原 初めてライブをやった時とか、初めてツアーを回った時とかですね。今までは「友達や家族と一緒に観に行っていたもの」だったのですが、スタッフさんや仕事仲間と行くことになった時は、やっぱり「変わったな」と思いました。初めて舞台に立った時も、演じる側になって「変わった」と感じました。
■逆に、全く変わっていないところはありますか?
大原 高校の同級生やデビュー前からの知り合いと会うと、「一番変わっていないね!」と言われるんです。(笑) 私、性格は変わっていないのかな?「見た目も性格も変わらない」とよく言われます。
■20代も後半になると同級生たちは変化が大きい時期ですよね。
大原 そう思います。本当にみんな大人っぽくなっていました。(笑) あと、やっぱり結婚する方も増えて来たりするので……。
■小学生の親になっているクラスメイトとかもいたりしますもんね……。少し話は逸れましたが、この10年間を振り返って「今だから言えること」はありますか?
大原 え~、なんだろう?私は結構言っちゃっているからなぁ。(笑) 今ってSNSがあるから、可愛いものを見た時とか、その日あったこととか、みんなに共有したいことはその場でだいぶ出しちゃうので、「もうほとんど見せているしなぁ」と思っちゃいます。
■世代ですね。(笑) さて、間もなく『オールタイムシングルベスト 2014-2024 Anniversary』がリリースされますが、新録曲は“サヨナラの準備は、もうできていた”と“Anniversary”の2曲ですね。“サヨナラの準備は、もうできていた”は、約11年前の楽曲ですが、なぜこのタイミングでカバーをしたんですか?
大原 スタッフさんと話していた「亀田誠治さんに新曲を書いていただきたいね」という話の延長で歌うことになりました。亀田さんといえばデビュー曲“明日も”、そしてデビュー作『カノジョは嘘を愛しすぎてる』のプロデューサーでもありますが、その中で(映画の楽曲の中で)私がカバーしていないのが、“サヨナラの準備は、もうできていた”でした。それと、亀田さんに新曲を書きおろしていただくタイミングで、亀田さんとの思い出の曲をカバーしたいって気持ちもあったんです。映画公開当時の25~26歳の三浦翔平さんが歌われていた曲なので、その時17歳だった私からするとすごくオトナな曲だと思っていたのですが、今の自分は当時の三浦さんよりも年上になっているので、「10年経った今だったら歌えるかな?」と思い、チャレンジさせていただきました。
■歌ってみていかがでしたか?大人な曲でしたか?
大原 「難しいな」と思いました。(笑) 聴くだけじゃ分からなかったのですが、歌ってみると難しくて。バックの楽器の音が少ない部分があって、歌の表現に全てを委ねられている感じがして、どういうニュアンスを選定するのかが特に難しかったです。
■改めて気付くことはありましたか?
大原 10年以上経って、アレンジも変わって、音楽って良い意味で形が変わって「今らしさ」が組み込めるものなんだなと思いました。でも、歌詞とメロディが変わらないことによって、一気に10年前に引き戻されるような、強烈な懐かしさを感じられることも実感しています。
■新曲“Anniversary”の作曲の経緯は?
大原 亀田さんに曲をお願いしたくて、お伺いさせて頂き、書いていただけることになりました。その時に「どんな曲にしたい?」と聞かれたんですけど、タッグを組むのは7年ぶりになるので、「今、亀田さんは私にどんなことを書いてくださるんだろう?」と思い、「亀田さんにお任せしていいですか?」という形になって、この曲ができました。やっぱり亀田さんだからこそ、このタイトルでこの歌詞の曲ができたんだなと思います。
■10周年に際して、亀田さんから何かメッセージはいただきましたか?
大原 この曲(“Anniversary”)は、私的に「亀田さんからのラブレター」だと思っています。デビュー曲の“明日も”の歌詞の延長というか、繋がりがあるし、“明日も”だけじゃなくて、“頑張ったっていいんじゃない”とか、“瞳”とかの要素も所々に隠れているんです。「それらの歌があるからこそ、この言葉(歌詞)なんだ」という言葉をいただいて、この10年間を改めて噛み締められる曲になったなと感じました。
■ファンの方たちにはどういうふうに聴いてほしいですか?
大原 この10年間で築き上げた絆を改めて思い返してほしいです。いろいろなイベントをしたり、いろいろなライブがあったり、いろいろな舞台をやったりしたこの10年間の思いが走馬灯のように思い返される曲だと思うので、逆にファンの方たちに「どんなふうに感じましたか?」と早く聞いてみたいですね。(笑)
■確かに。早く反応を伺いたいですね。
大原 あと、ファンの方たちも、新しくこの曲を聴いてくださる方もそうなんですけど、人生って壁にぶち当たったり、道に迷ったり、自分を疑ったり、いろいろなことがあるじゃないですか。“Anniversary”はそんな時に自分を支えてくれた人の顔が思い出される曲だとも思っています。この曲を聴いて、「明日は明日の君が待ってる」じゃないですけど、「落ち込んでたけど、明日はちょっと頑張ってみようかな」と思ってもらえたら嬉しいです。
■ベスト盤のリリースにあたり、久々に聴いた音源などはありましたか?
大原 なんだかんだ2023年から10周年ライブをやっているので、結構ずっと10年前の音源なんかも聴いてはいましたが、やっぱり何回聴いても「10年前の声をしているな」と思いますね。生まれたての小鹿のようなビブラートだったりして。(笑) でも、その繊細さやちょっと不安定な感じがその曲には合っているんですよね。ちっぽけな女の子が、ちっぽけな愛を歌っている感じがして、この時にはこの時の良さがあるんだなとあらためて思いました。
■「他人から見た自分」だからこその面白さもありますよね。収録曲の中で、1番「自分の性格らしい」と思う曲はどれですか?
大原 うわ、難しいですね……。(笑) でも振り返ると全部「自分」なんです。デビュー当時の「カノジョは嘘を愛しすぎてる」の理子ちゃんというキャラクターは、溌剌としていて、元気で明るくて、ちょっとおっちょこちょいで……という性格がまさに自分と似ていると思う反面、自分には大人っぽいバラードもしっくりくる部分があって。中学生くらいから演歌を歌ったり、大人な内容の曲が好きだったりもしたので、イメージとは真逆の楽曲も自分らしいかなと思ったりもします。あと、結構ダンサブルな楽曲もリリースしてきたんですけど、小さい頃からダンスを習っていたこともあり、ダンスも身近な存在なので、自分とかけ離れている曲はあんまり無いですね。
■とても多趣味なご様子ですしね。
大原 でも、ある意味“サヨナラの準備は、もうできていた”は、やっぱり意外性がありました。やっぱり元は男性の曲だし、この曲を聴いて思い出されるのは、やっぱり三浦翔平さんや佐藤健さんが演じていたオトナな男性の姿なので、ある意味自分とはかけ離れていると思いました。
■10年間のベストヴォーカル曲はなんですか?
大原 やっぱり“Anniversary”になるんでしょうね。(笑) 最新曲だけど、私の原点を知っている亀田さんが作ってくださった曲なので。でも、なんて言うんでしょう。7年ぶりに亀田さんとスタジオに入ったんですけど、レコーディングの空気感が、7年前に戻る感覚はあるけれど、楽曲はすごく「大人」になっている感覚もあって。となると、やっぱり今だからこその櫻子らしさ、亀田さんらしさが「ギュッ」と詰まっている“Anniversary”がベストヴォーカル曲になるんじゃないかなと思います。
■それでは「大原櫻子の王道曲」は?
大原 うわ~!(笑) まぁ、それは“明日も”かな?やっぱりデビュー曲というのは、「どこでも歌わせていただきたい」と思う曲ですから。