ORESAMA VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

ORESAMA『Gimmme!』

■ORESAMAの基盤となっている、80年代のディスコ、エレクトロ、シティポップに、お2人が実際に触れることになったきっかけというのはなんだったのでしょうか?

ぽん 私は80年~90年代のアニメの曲が大好きで、とくに「うる星やつら」が大好きだったので、主題歌は今でもよく聴いているんです。なので、小島くんの曲がこういうテイストになってからは好みはドンピシャですね。

小島 僕は学生時代から曲を作っていて、最初はアコースティックギターと歌だけで作っていたんですけど、PCで作り始めた時期からシティポップを聴き始めて。しばらくして、ナイル・ロジャースに出会ってどハマりして、それからディスコというジャンルを自分の中に取り入れていこうと思ったのがORESAMAの今のカタチの始まりですね。そこからいろんなジャンルの音楽を聴いていくうちに、ディスコを基盤にしながらも、基本はやっぱりJ-POPだと。その時に流行ってた音楽をよく聴いてたこともあって、日本らしいJ-POPを作りつつも、そこに相性のいいディスコを取り入れて、ORESAMAのディスコポップスというカタチを完成させた感じです。なので、ナイル・ロジャースとの出会いは僕にとって大きかったですね。

■その出会いがなければ、今のORESAMAはなかったでしょうからね。

小島 きっとなかったと思います。もともとダフト・パンクをよく聴いていて、ダフト・パンクとコラボした“ゲット・ラッキー”という曲でナイル・ロジャースに出会ったんです。その流れからフレンチハウスも聴くようになって、そういうのも参考にしながら今のORESAMAの音楽性を作ってきた感じです。

■当時の音楽をリアルタイムで聴いてきた世代にとっては懐かしくもあるし、それと同時に新鮮さも感じました。

小島 あの時代の音を再現しようとしても勝てるわけがないんですよね。リアルタイムで通ってないし、あの年代を生きてきた人間ではないから。限りなく近づけることはできても、越えることはきっとできない。となると、新しいものとの融合で自分らしいものを作っていくしかないなって。これは音楽だけじゃないと思うんですけどね。なので、懐かしいけど新しいって言ってもらえるのは嬉しいです。

■カップリングの“夜行ノ雨”は、また違う雰囲気の曲になりますね。

小島 バラード調で、ヴォーカルの声や歌詞をじっくり楽しめる楽曲を作りたくて。当時ネオソウルやR&Bをよく聴いていたので、そういうテイストも入れつつ、ビートが効いていて、ORESAMAらしくエレキベースやファンキーなギター、キーボードも要素として入れつつ、バラードだけどライブではノレて、しんみりせずに聴ける楽曲になりましたね。

■ちなみに当時よく聴いていたというのは?

小島 トム・ミッシュとかアイザイア・シャーキー、日本だと磯貝一樹さん、そこからディアンジェロとか聴いたりして。でもその要素がにじみ出ているかと言ったらそうではなくて、この“夜行ノ雨”は、あくまでもORESAMAというイメージで作りました。でもちょっとだけギターにはニュアンスが入っているので、よく聴いたら気づく人もいるかもしれないです。

ぽん それを聴いてからだともっと楽しいかもね。

小島 そうだね。ぜひ聴いてみてください。

■歌詞はどのようなイメージで?

ぽん もともと雨の曲が書きたくて、雨は気持ちが塞ぐので得意ではないんですけど、「そのままでいてもいい」みたいな、ネガティブな自分への免罪符を雨に感じたりする部分もあって。“Gimmme!”が底抜けに明るいので、2曲目は切ない歌詞が書きたいなと思っていたんです。あと、2曲とも眠りにまつわる曲だけど、180度正反対の曲だったら面白いなということで、こちらは眠れない夜の行き場のない気持ちを雨とリンクさせて書いていきました。そうしたら仮歌を入れた時に小島くんが「雨の音を入れよう!」って。

■この雨の音、いいですよね。この曲にぴったりな雨の音。

ぽん ちょうどいい感じの雨だなって私も思いました。

■ちょうどいい音ですよね。上手く言葉では言えないけど、でもすごく心が落ち着く音というか。

小島  環境音って難しいんですよね。馴染みのある音なのに、今みたいに一言で表せないというか、シチュエーションによっても変わってしまうので、リスキーな部分も含んでいるところがあって。歌詞の意味を変な風に捉えられてしまう可能性もあるし、歌詞を引き立てる可能性もあるし。

ぽん もうちょっと強い雨だったら、冷たいイメージになっていたよね。

小島 うん。屋根を叩く雨音とか、海での雨とかいろんな音があるし、何十種類も試した上で、この雨の音がハマったので、今回はこれにしました。

ぽん そうなんだ。私は自然に聴いていたから、そんな苦労があったとは知らなかった。

小島 今回は歌詞から「雨」というワードが特に目に入って頭に残ったから。その上であまり湿っぽくならないようにって。だからこれくらいがちょうどいいかなって。

■それぞれ満足のいく1曲になったんではないでしょうか?

ぽん レコーディングに関しても「こう歌いたい」とか、自分の我を通した部分があって、そこをちゃんと汲んでもらえたので、自分としてはやりたいことができたと思います。だいぶやりたいことをやらせてもらえましたね。

小島 カップリングという枠は、テーマ等がない自由なところからスタートするので、好きにできて、さらにはORESAMAの要素が出せる貴重な1曲なんですよね。シングルの2曲目というのは、そういう存在、役割だと思うし、1曲1曲ORESAMAの大事な楽曲だという意識で僕はいつも制作しているので、今回もそれにふさわしい2曲になったと思います。

Interview & Text:藤坂綾

PROFILE
ボーカルのぽん、サウンドクリエイターの⼩島英也からなる ⾳楽ユニット。80’s Discoをエレクトロやファンクでリメイク した⾳楽を発信。その新感覚はイラストレーター・うとまる ⽒のアートワークやミュージックビデオと相乗効果を⽣み、 新世代ユーザーの⼼を捉えている。
http://www.orsm.jp/


RELEASE
『Gimmme!』

LAPS-4000
¥1,320(tax in)

バンダイナムコアーツ
10月14日 ON SALE