「このグループを応援していて良かった」と思ってもらえるようなグループになれるように成長していきたい。
昨年、メジャー1stフルアルバム『OverTone』をリリースし、グループ史上最大キャパ・なんばHatchでのワンマンライブ開催など、2023年を精力的に駆け抜けたオバトン(OverTone)が3月27日にミニアルバム『花だより』をリリース。昨年12月に配信リリースした“最初で最後の”、インディーズ時代からの人気曲で、卒業シーズンにぴったりなナンバー“僕らの街”などを含む全7曲を収録。今回は今作の制作の話から、4月から開催される過去最大規模となる全国20本のツアーへの意気込みなど、八上和希、GUCCHI、NOWAR The 匠、アマノの4人に話を訊いた。
■昨年の渋谷WWWでのライブレポート以来の取材ですが、昨年はグループ史上最大キャパのなんばHatch公演を成功させて、今年の初めに再びなんばHatchでの公演がありましたが、そちらのライブはいかがでしたか?
八上 すごく楽しかったです。なんばHatchって大阪でアーティストを志す人たちは絶対に目指す場所だし、登竜門的な箱なので、またひとつ夢が叶ったという感じでした。
■1回目と2回目では心持ちは違いましたか?
八上 1回目よりは地に足を付けて冷静に立ち回れたような気がします。
GUCCHI 最初の時はやっぱりみんなふわふわしてたもんな。(笑)
■現在は今作のリリースイベントも始まっていますが、イベントの手応えはいかがですか?
アマノ 新曲を歌うということもあり、ファンの人たちもまだ聴いたことない状態で観に来てくれるんですけど、イベント後のSNSとかを見ていても、割とまんべんなく「この曲が良かった」って、どの曲も言ってくれていて、いい曲が揃ったアルバムになったのかなって思いますね。
■イベントではアルバムの曲は全曲歌っているんですか?
アマノ イベントの場所によってそれぞれ歌う曲は違うんですけど、全曲披露はしています。
八上 でもだいぶリリイベの空気感にも慣れてきて、成長を感じます。(笑)
匠 オープンスペースとかでやるイベントが多いので、外で歌う気持ちよさがあって、なんか路上ライブにも似た感覚がありますね。通りすがりの人とか海外の方とかも観てくれたり、カメラを向けてくれたりするのが嬉しいです。歌い始めるとどんどん人が集まって来てくれるので、僕らの曲が知らない人たちにも届いているんだなと実感できます。
■では今作のミニアルバムのことをお聞きできればと思いますが、今作のタイトルは『花だより』ですが、最初にミニアルバムのタイトルやコンセプトから決めて制作に入ったのですか?それとも最後にタイトルを決めた感じですか?
GUCCHI 曲が出来てからですね。「今回はどういう曲たちが集まっているから、こういうタイトルにしよう」って決めることが多いです。
■今作のタイトルを『花だより』にしたのは?
GUCCHI 春の曲が多く出来ていたんですけど、今まで春にリリースすることがなかったので、今回はちょうどタイミングいいから詰め込んだ感じなんです。(笑) それで春の曲ばかりなのでタイトルもそれに寄せて『花だより』になりました。
■なるほど。では、それぞれの曲についても聞ければと思います。1曲目の“CIRCLE”はオープニングを飾るプロローグ的な曲ですが、この曲の聴きどころはいかがでしょうか?
GUCCHI この曲は4声を意識して作った楽曲で、ハモリのラインとかも初めて鍵盤で制作したんです。いつもみたいに鼻歌で作曲していたら絶対に出来ないラインが出来たので、ぜひそこに注目して聴いてもらいたいなと思います。
八上 最初は僕のソロから始まるんですが、その後4声に切り替わる瞬間が鳥肌モノなんです。僕はそこがめっちゃ好きです。
匠 この曲は前回のツアーで一番最初に歌っていた曲で、壮大な感じに仕上がっていますし、お客さんも4声のパワフルな歌声に「おぉー!」ってなってくれていましたし、「ドヤッ!」って感じで自信満々で歌っていた曲で、僕もすごくお気に入りの1曲です。
アマノ 僕らはいろいろなジャンルの曲があって、どのジャンルも割と歌えるグループではあるんですけど、この曲は1曲目に持ってくる名刺代わりの曲みたいな感じです。1分半くらいの短い曲ですけど、自分たちがどういうグループなのかを示せるし、初めて聴いた人たちも掴める曲だと思います。
■2曲目は昨年末に先行配信された“最初で最後の”ですが、反響はいかがですか?
八上 今までのオバトンにはなかった感じの曲だし、すごく聴きごたえのある曲なので、ファンの人たちだけじゃなく、誰が聴いても好きになってもらえるような曲になっていると思います。
■こちらは作曲がメンバー以外の方でしたが、曲先行で制作していった感じですか?
GUCCHI この曲は歌詞も乗った状態でもらった楽曲だったんですけど、そこから歌詞を手直ししていった感じでしたね。
■歌詞に関しては初恋を描いた作品になっていますが、なぜ初恋をテーマにしたのですか?
GUCCHI デモ段階でもらった曲と歌詞のイメージから膨らませていった感じでした。
■この曲はコーラスワークが素晴らしく、まさにOverToneの真骨頂という感じでしたが、歌ってみていかがでしたか?
八上 この曲はすごく苦戦しました。レコーディングはこの曲が一番大変でしたね。重ねる声が多すぎて結構時間もかかりましたが、でもその甲斐あってすごくいい仕上がりになりました。
匠 この曲はめっちゃ高かったですね……。でもオバトン4人だからこそできる楽曲というか、作っていただいた方も僕らの歌唱力を信じて作ってくださったので、それに応えられるように精一杯頑張って歌いました。
アマノ 個人的にこの曲は自分が一番声張って出せる音域の曲になりましたね。確かにレコーディングの時は「高いな」って思ったんですけど、いざ歌うようになったらだんだんと歌い慣れてきて、ここの音域は歌いやすいなって気付かされたんです。自分の能力がまたひとつ開けた感じがします。
■3曲目の“サンデーナイト”はファンキーでノリのいいカッコいい曲で、Bメロの譜割りがめっちゃ心地よかったですが、この曲の制作やレコーディングで意識したところは?
GUCCHI Bメロは音をハメるのにこだわりましたからね。(笑) この曲は完全にリズム重視で作りました。
八上 この曲の最後大サビのところで僕がフェイクを入れたんですけど、そこはブルーノ・マーズを意識してやったのに、メンバーたちは誰もピンときてなくて……。(笑)
匠 この曲はGUCCHIが最初に僕と八上が得意な曲を作ったって言っていたのに、聴いてみたら「全然そんなことない!」って感じで。(笑) Bメロがめっちゃ難しくて、「これで大丈夫なのか……?」って思いながら歌ったけど、GUCCHIのデモが正解だと思って、できるだけそれに寄せて頑張って歌いました。
GUCCHI でも僕がイメージして自分で歌ったやつよりすごく良くて、むしろそっちが正解です!(笑) 「それがやりたかったんです、僕」って感じでしたよ。
■なるほど。ちゃんと期待に応えたんですね。(笑) アマノさんはいかがですか?
アマノ さっきも言っていた通り、八上と匠が得意そうな曲ってことで、僕は普段こういう曲を歌わないので、どう歌っていいのか解らず……ひとりだけアウェイでした。(笑)
GUCCHI ちゃんとアマノの歌うところはアマノ用のパートを作ったから。(笑)
アマノ テイク数は少なくて済んだんですけど、「GUCCHIホンマにこれで合ってる?」って感じで歌っていました。ただただ気だるそうに歌うことに集中しました。(笑)
■ちなみにこのコミック・スナック・炭酸飲料の三種の神器は作詞したGUCCHIさんにとってですか?
GUCCHI こんなに怠惰ではないんですけど、理想の休日というか……。(笑)
■他のみなさんにとっての三種の神器は何ですか?
八上 僕はダンベルとベンチプレスとプロテインですかね。(笑) 筋トレが趣味なので。
匠 僕はGUCCHIと似ていると思います。でもスナックじゃなくてグミかな……。いや、最近じゃがりこの梅味がいいから結局スナックか。(笑)
アマノ 僕は水とお湯と浴槽ですね。
GUCCHI 水とお湯なの?(笑)
アマノ 飲む用と浴槽にためる用だよ!(笑)
■続いての“風光る”は、歌詞も曲もすごく前向きで爽やかな楽曲ですが、「ヌーの大移動」がテーマとのことで、なぜこのテーマを思いついたのですか?
GUCCHI この曲を制作している時が本当に何も浮かばない時期で……。いろいろな曲を参考に聴いていたんですけど、King Gnuさんの“雨燦々”という曲がめちゃくちゃいい曲で、「こういう曲」作りたいなと思っていたのが、心のどこかに残っていて、なぜか「ヌー」だけがなんとなく頭の片隅にあったんでしょうね。(笑) それで小さい頃に教育テレビとかで観た「ヌーの大移動」を思い出して、いろいろと調べてみたんです。そうしたらヌーはオグロヌーとオジロヌーの2種類がいて、しっぽの色が白と黒で違うんです!ってそんな話はどうでもよくて。(笑) ヌーの大移動を自分たちの音楽人生に置き換えて歌詞にしてみました。
■なるほど。面白い発想ですね。(笑) この曲は歌ってみていかがでしたか?
八上 いつもGUCCHIはデモの段階でちゃんと完結させて送ってきてくれるんですけど、この曲は歌入れする前に「歌いに来て」って言われて。それでGUCCHIの家に歌いに行ってレコーディングしたんですけど、めちゃくちゃ難しくて。サビの後半は全部ファルセットで歌っているんですけど、それだけを聴いた時は弱々しくて大丈夫なのかな?って思っていたんですけど、4人の声が入って音源が完成したらめっちゃカッコいい曲になっていて。僕的には一番のお気に入り曲になりました。
■GUCCHIさん、今回はどうしてデモ完成前に八上さんを呼んだんですか?
GUCCHI 単純にキーの問題もあって、デモの段階で自分の声だとイメージしているところまで持っていけなかったんですよ。それで八上に来てもらって、重ねる声とかは自分である程度録ったんです。
■へぇー。では最近は制作段階からもうメンバーが歌うことを想定しながら曲作りが出来るようになってきたってことですね。
八上 でも僕がデモのレコーディングしている時に、GUCCHIは後ろで猫と遊んでいるんですよ!
GUCCHI いや、猫を黙らせておかないといけないからやってるだけや!(笑)
■だから遊んであげていたんですね。(笑) 匠さんはいかがですか?
匠 僕もこの曲は好きで、さっきの“サンデーナイト”よりもこっちの曲の方が歌いやすいです。本当にGUCCHIがメンバーのことを考えて作ってくれたんだなっていうのをすごく感じる曲で、歌っていても僕らの音楽人生にも内容が沿っていますし、それにヌーって集団で生活していて、1匹1匹だと敵にやられるかもしれないけど、全員で頑張っていけば大丈夫だって、自分はヌーになりきって歌いました。
GUCCHI いやいや、ヌーになりきって歌うとかじゃないから。(笑) ヌーの方に寄せんでええよ!
アマノ この曲はデモを聴いた段階でずっと歌いたいと思っていた曲で、前回のアルバムの時から候補曲としては挙がっていたんですけど、その時からの推し曲だったんです。サビの後にさらにサビを超えるフレーズがくるところもすごく好きで、念願叶って今回収録できたのが嬉しかったです。
■次の“I Love Youじゃなくて”は初のウェディングソングとの事ですが、何かきっかけがあった感じでしょうか?
GUCCHI 確かツアーの楽屋でアマノが「ウェディングソングとか作ってみたらどうだろう」って言っていたのを聞いて、作ってみようと思ったんですけど、なんか「指輪」とか「結婚式」とか連想するんですけど、普通の感じではなくて、なんかちょっとひねりたくなってしまって。(笑) それで結婚だけど、それよりももうちょっとさかのぼって「プロポーズ」を題材にしてみようと考えました。でもテーマはひねったけど、言葉は真っ直ぐな言葉で書いてみようと思って歌詞を書きました。
■確かに歌詞はカッコつけたプロポーズじゃなくて、身近な感じがすごく良かったですね。ちなみにみなさんの理想のプロポーズはどんな感じですか?
GUCCHI 僕はたぶんもうこの曲の世界観のまんまですね、きっと。
八上 僕はなにげない瞬間にさりげなくしたいですかね。あらたまった場所とか、バラの花束を用意してとかじゃなく、風呂入って、テレビ見て、ええ感じの時にスッと「結婚しよっか」みたいな感じがいいですね。
匠 僕も八上と一緒で、お店とか予約して……みたいなのはこっ恥ずかしいので、家でゆっくりしている時にさりげなく言う方が、逆にびっくりしてくれる気がするなぁ。
アマノ 僕はビーチで海に向かって「結婚してくれーーーー!」って叫びますね。(笑) それで彼女の顔見て「なっ!行こっか」って。