川口レイジ VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

川口レイジ『Departure』

■曲作りはどのように進めていくんですか?

川口 まずはみんなで集まってリファレンスの曲を聴きながら話をして、プロデューサーさんが軽く打ち込み始めて、そこにこういうフレーズを入れてほしいとか、ここはこうしてほしいとか、具体的なものを足したりしていく中で、トップライナーと僕が鼻歌をうたったりしながらメロディを作って、同時に歌詞も作っていくんです。

■歌詞も案みたいなものを考えていくんですか?

川口 そうですね。コミュニケーションを取りながら、例えば「恋愛の曲にしようと思っているけど、恋の終わりというよりは入口の話にしたいんだよね」とか話をして、一緒に書いていく。そうしたら大体のトラックが出来上がってくるので、それを聴かせてもらって、そこに歌詞を乗せていく、っていう感じですね。

■意外にスムーズなんですね。ディスカッションしながらとなると、もっと時間をかけるのかな?とか、なかなかスムーズにいかないことも多いのかなって思ってしまうんですが。

川口 プロデューサーさんが素晴らしければ、すぐにみんなが納得するものになるんですよ。そのプロデューサーさんに賛同している人が集まっているので。

■あー、なるほど。

川口 あとは、例えば5時間くらいで作るとしたら、最初の3時間半くらいはずーっとおしゃべりしています。(笑)

■なんの話ですか?

川口 「俺、この靴欲しいんだよね」とか。(笑) 何気ない話ですよ。これ一体いつまで話すんだ?って初めはびっくりしたんですけど、そのトークもセッションなんだってことを教えてもらって、トークがちゃんとできなかったら、楽しかったって思ってもらえなくて、もう一緒にやりたくないなってなっちゃうんです。だから、曲自体は短い時間でできることが多いんですけど、このトークが大事なんですよね。こういうのって日本にはないのでわかりづらいかもしれないんですけど。

■遊びの延長というか、本当に楽しんで作られているというか、むしろすごく自然なのかもって気がします。

川口 そうなんですよね。なるべくみんなが意見を出しやすいように気遣っているというのもあるだろうし、そういうことが自然にできる国なのかなって思います。

■そういう場所で音楽を作られたら、音楽に対する意識や気持ちもずいぶん変わられたんじゃないでしょうか?

川口 あんまり悩まないようにはなりましたね。歌詞も今までは煮詰まって書いたりしていたんですけど、とりあえず書いてみて、ダメだったら他の人の意見を聞いて、また書き直せば良くなるかもしれないじゃないですか。だから、あんまり悩まないようにって、気持ちはかなり変わりましたね。歌に関しても、難しいところもあったんですけど、「ちょっと違うよ」とか、ちゃんと言ってくれるんですよ。言われたら、「あ、そうか、じゃあこうしよう、こう歌おう」って直していけば必ずいいものになるし。そういう意味では成長したところもたくさんありますね。

■音楽を届ける側になった今、どんなものを届けていきたいですか?

川口 挫折して、父親が亡くなって、「あーって……ほんとにあー……」としか言えないときがあって。それからも、もちろん迷ったときもいっぱいあって、でもそんなとき僕は玉置さんの歌が支えになったし、歌詞に込められたメッセージや何かから、しあわせになれる方向にいけばいいんだって、そういう選択をしてきたし、そういう力をいっぱいもらったんです。だから僕もそういう存在になれればいいなと思うんですけど、僕が生きている中で感じたことを、ちゃんと作品に落とし込んでいくことが、結果的にそういうものになるんだろうし、そうなっていけばいいんじゃないかと思います。玉置さんも僕のために“しあわせのランプ”を作ってくれたわけじゃないと思うので。(笑) 僕も誰かっていうのは意識せずとも、しっかりと作品に落とし込んでいければ、たぶん自然と共鳴してくれる人がいるんだろうなって、そう思いますね。

Interview & Text:藤坂綾

PROFILE
1994年6月29日生まれ、香川県出身シンガーソングライター。学生時代はスポーツに没頭し、青春期は怪我をするまで野球に捧げる。16歳の頃に父親を亡くし、父親の遺品からネックの反ったクラシックギターを見つけ、音楽への思いが芽生える。それと同時期に動画サイトなどでいろいろな音楽に触れ、見様見真似でネットを中心にカバー曲をアップし、その後、活動の幅をストリートやライブハウスにも広げていく。そんな中、ネットでのパフォーマンスが現スタッフの目にとまり、東京に出て本格的に制作活動をスタート。新たなインスパイアを受けるため、日本とロサンゼルスを行き来し、海外の音楽を体感。国内外トップライナーと音楽制作に没頭する。2017年、全世界でヒット中の『DESPACITO』がグラミーにノミネートされたばかりのMarty Jamesと出会い、“R.O.C.K.M.E. ft. Marty James”を共作し、2018年に発表。2019年7月、メジャーデビューEP『Departure』をリリース。
https://www.reijikawaguchi.com/

RELEASE
『Departure』

川口レイジ『Departure』

初回生産限定盤(CD+DVD)
BVCL-980~1
¥2,916(tax in)

川口レイジ『Departure』

通常版(CD)
BVCL-982
¥2,376(tax in)

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