愛内里菜 VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■流石ですね。(笑) ではカップリング曲の“Brilliant Queen”についてもお伺いできればと思いますが、こちらは表題曲とはまた少し違った曲調で、伸びやかで爽やかな曲でしたが、こちらはどういったイメージで作られたんですか?

愛内 この曲は前作のアルバム『Ring+』の中に“NOPE”という曲があるんですけど、その曲は女性の二面性を描いた作品だったんです。文句が言いたい自分と、可愛らしくありたい自分という女性の内面について書いた曲なんですけど、それを書くにあたって、一番最後にだけ「本当はこんなに可愛らしくって、おしとやかな自分がいるんだよ」という歌詞が書きたいがために作ったサビがあったんです。その“NOPE”の後半部分にしか出てこないサビなんですけど、私はそれが当時からすごく気に入っていて、石井さんに「このサビを使ったフルサイズの曲を別で作ってほしい」とリクエストしていたいんです。それが形になったのがこの“Brilliant Queen”で、この曲の歌詞には頑張っている女性を描きたくて、そこに自分の人生経験も織り交ぜて、引退とか、再始動とか、みんなが支えてくれた想いだったりもふまえて歌詞を書き上げたんです。サウンドは「どこか懐かしい、愛内サウンドといえばこれだよね」と、みんなが思ってくれるようなポップな曲にしてほしいとオーダーして作ってもらいました。それで「再始動してまだまだこの先も止まらないよ」という“+INSPIRE”との流れで聴いてもらいたいなと思ったので、カップリング曲にはこの“Brilliant Queen”を収録することにしました。

■なるほど。そういったバランスも考えての選曲だったんですね。今作のレコーディングで気をつけたことや、苦労したことなどはありましたか?

愛内 先程も言ったんですけど、“+INSPIRE”はバイオリンロックな曲にしたいと思っていて、私のバンドメンバーに高久知也さんというバイオリニストがいて、バイオリンをフューチャーした曲を作りたかったので、初めは男性の声も入ったデュエット曲がいいかなと思っていたんです。だから最初のAメロの部分は高久さんに歌ってもらおうと思っていたので、キーを男性に合わせて低めに作っていたんです。でも結局今回は、14年ぶりのメジャーでのリリースということもあり、私が全部歌った方がいいということになったので、その男性パートも歌うことになって、やっぱり私にはキーが合わなかったのですごく大変でした……。(笑) あとはやっぱり同じロックを歌うにしても、若い時の歌い方と今の歌い方では違うので、声の使い方とか、アタックの付け方とか、残す部分と変える部分とか、めちゃくちゃ石井さんとディスカッションしましたね。私は「ここはもっと強く歌いたい」と言っても、石井さんから「今はそこまで強くやったら古臭いよ」と言われてしまったりとか。(笑) それで何回も録っては聴いて、録っては聴いてを繰り返して、「試しに思うように歌ってみなよ」と言われて、歌ってみたのを聴いてみたら、ちょっと暑苦しかったりして。(笑) そんなことを繰り返しながら、すごく突き詰めてレコーディングをした感じでした。

■確かに最近の流行りとかもあったりしますもんね。変えなきゃいけない部分と、残したい部分もなかなか難しいですよね。

愛内 だから、最近のアニソンと昔のアニソンを聴き比べてみたりとかもしましたよ。(笑) 「どれが正解なんだろう?」と悩みながらね……。

■でもまさに愛内里菜さんの曲だなという感じは残っていて、すごく良かったですよ。

愛内 すごく嬉しいです。エモいと思ってもらえる部分と、新しい私も感じてもらいたいと思う部分と、本当にその割合が難しくて悩みますね。

■最近はリリースイベントでライブも行っていますが、そういうのも久しぶりという感じなんですか?

愛内 いや、昔は事務所の方針というか、あんまりみなさんの前には出ないやり方というか、そういう感じだったので、リリースイベントというのも初めてだったんですよ。「これから歌いますよー!みなさん集まってくださーい!」みたいにやっているのがなんか楽しくて。(笑)

■もちろんそこで歌うのがわかっていて観に来てくれている人もいると思いますけど、たまたま通りかかった人たちや、買い物に来ている人たちもいる中で歌うのは新鮮ですか?

愛内 そうなんですよ。これで私が出ていっても「誰やねん……」とかなったら、諦めなあかんなとは思うんですけど(笑)、まだなんとかみなさん「愛内里菜がおる!」とか言って、立ち止まって観てくれる人たちや、遠くから手を振って応援してくれている人がたくさんいるし、「CD買うつもりなかったのに、歌を聴いたら懐かしくて買ってしまった」という人もいるから、すごくやり甲斐もありますし、やっていて楽しいですよ。(笑)

■そういうのはお互いが嬉しいですよね。また台湾での単独公演もありましたが、これからのライブに向けての意気込みも聞かせてください。

愛内 今は国外でのライブも増えてきてはいるんですけど、もちろん日本で応援してくれている人たちもたくさんいて、そうやってすごく背中を押してくれるみなさんがいるから、海外でも頑張れているので、国内、国外の活動どちらもしっかりと頑張って、また新しい一面を見せられるように努力していければいいなと思っています。

■海外でのライブは、国内でライブする時との違いはありますか?

愛内 やっぱり言語が違うとみなまで伝えられるわけではないので、せめてちょっとした言葉くらいは現地の言葉を覚えていって、少しでもコミュニケーションを取りたいんだよというのが、姿勢として伝わるようにしたいなと頑張っています。ただ「歌いに来たから聴いてくれてありがとう」というのではなくて、下手くそなりにも気持ちが伝わるようなトークを心がけています。自己紹介や盛り上げるような言葉くらいはね。(笑)

■そういうのは大事ですよね。最近は中国でのライブが多いとおっしゃっていましたが、今後、他にも行ってライブがしてみたい国とかはありますか?

愛内 アメリカにも行ってみたいし、フランスもアニメが強いから行ってみたいんですよね。コナンの歌もたくさん歌っているし、ぜひチャンスがあったら行きたいですね。

■今年も残すところあと少しですが、今年中にやっておきたいことや、やり遂げたいことはありますか?

愛内 このニューシングル『+INSPIRE』が12月にリリースされるので、やっぱり今年中に少しでも多くの人たちに知ってもらいたいですし、聴いてもらいたいですね。今の目標はひとりでも多くのみなさんの元に直接会いに行って、ふれあいたいというのがあるので、とにかく今年中はいろいろな人たちとふれあって、活動していることを知ってもらうというのを頑張りたいなと思います。

■今後、音楽活動以外でやってみたいことや、挑戦してみたいことはありますか?

愛内 もう今は音楽と子育てでいっぱいいっぱいだからなぁ。(笑) アルバム制作もしないとだから、なかなか新しいこととなると……。昔は食品サンプルを作る人になりたかったんですけどね。(笑) あとは子供と一緒にやってるポケモンカードを覚えることかなぁ。(笑) 結構子供と一緒にポケモンカードの大会を観に行ったりとかもするんですよ。カードショップを見に行ったりとかね。そのうちポケモンの主題歌とかイベントとかでも歌ってみたいんですけどね。(笑)

■来年は25周年を迎えられますが、来年はどんな年になりそうですか?

愛内 来年は25周年ということで、新しいアルバムのリリースも予定していますし、今まで行けていなかった場所にも行ってライブをするというのを目標にしているので、頑張りたいなと思っています。

■では、最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

愛内 まだまだみなさんの中に眠っているインスピレーションを、いろいろな閃きとか感情を、この曲を聴くことによって呼び起こせたらいいなと思っていますので、ぜひこの『+INSPIRE』を手にとって聴いていただけたらと思います!

Interview & Text:土谷拓史

PROFILE
2000年にデビュー。リリースした157曲の全作詞を担当。アルバムは2枚がオリコン1位を含む合計7枚がTOP10入り。楽曲は「名探偵コナン」のオープニングテーマをはじめ、数々のテレビ、映画等合わせ計48曲がタイアップを獲得。2003年、第54回NHK紅白歌合戦初出場。2010年、愛内里菜引退。2018年活動名を「R」として歌手活動本格復帰。熊本地震復興を願い制作した復帰作第一弾『WARM PRAYER』をリリース。配信アプリ「17」にてフォロワー32.6万人を獲得。開始初月、翌月と3ヶ月連続でアプリ内月間フォロワー獲得数1位。2020年3月23日、愛内里菜デビュー2000年3月23日から丁度20年目のこの日に「R」としての1stアルバム『Ring』をリリース。2021年3月23日、21周年を迎え、今後もより多くの方へ歌を届ける決意の元に歌手名を「愛内里菜」に戻す。現在はライブやイベント、各種メディア出演、ネット配信などを行い、活動の場を海外にも広げるなど精力的に活動している。
https://rinaaiuchirr.jp/

RELEASE
『+INSPIRE』

通常盤(CD)
QARF-67001
¥1,200(tax in)

Running Rabbit
12月10日 ON SALE