■私はとてもメロウでエモーショナルな“Falling With You”が好きなんですけど、この曲は……?
ロニー “Falling With You”も、最初はエレクトロな楽曲として作りました。そこからライブ演奏を通して、収録した今の形のようにブラッシュアップしていきました。ちなみにドラムは一番最後に加えています。リズムに関しては常にインスピレーションが沸くから、そこは心配していないというか、出来上がった作品にどんなリズムを入れるのかを毎回楽しんで
います。
■話を聞いていると、ロニーさんは「ジャズ脳」と「ポップス脳」を分けて使うのではなく、両方をクロスオーバーさせながら創作やプレイを楽しんでいますよね?
ロニー 例えばの話ですが、もし誰かに楽曲の創作を頼まれた場合、私は頼まれた要素をしっかりと活かし、求められたキャラクターになって楽曲を作りあげると思います。つまり、依頼をした人の思い通りの楽曲を作ることを心がけています。自分の楽曲や、自分を求める演奏の場合は、その時に感じた気持ちを、ただただ素直に表現し、投影していくことを何よりも大事にしています。それがポップスであれ、ジャズであれ、故意に自分の気持ちを振り分けることはしないです。
■アルバムには、インスト曲の“Feels”も収録しています。あえて、インスト曲を入れた理由も気になりました。
ロニー アルバム全体を構成する上で必要なピースだからこそ、“Feels”も収録しました。中には、ボーナストラックとして、ライブレコーディングをした“Roppongi Jam”もインスト曲として収録しています。この曲については、日本盤の制作チームから「ボーナストラックを入れたい」と打診があった時に、手元に未音源化だったパリでのジャムセッション曲“Roppongi Jam”があったので、日本盤に収録するのにピッタリだと思ったから提供しました。私は世界中で一番好きな国が日本なんです。だから、この曲を収録することができてすごく嬉しいです。
■なぜ、そこまで日本のことが好きになったのかを教えてください。
ロニー 人柄、文化、風景、食べ物。とくにラーメン。(笑) 日本という国に感じる波動が、私には一番しっくりくるのかもしれません。
■日本人って他の国々の方とは違って、シャイじゃないですか。物足りなくありませんか?
ロニー 確かにシャイなのかもしれませんけど、私自身もかなりシャイな性格です。今は表現者として活動をしているから、自分から前へ前へと出ていきますけど、本来の自分は、とても内向的な性格です。周りの方々に積極的に来られる方が苦手です。だけど、日本の方々は奥ゆかしいので、本当に自分らしくいられるんです。だから好きという理由もありますね。
■内向的な性格という面では、自分を表に出していく創作者や、表現者としての道を手にしたことは、ロニーさんにとってとてもプラスに作用していることなんですね。
ロニー まさにその通りです。楽曲を創作したり、楽器を演奏することで、より素直に本来の自分を伝えていけます。ドラムを叩くことだってそうです。音楽という自分を伝える手段を得たことは、とてもプラスになっています。
■改めて、アルバム『Introducing Roni Kaspi-Tell Me + PONI & more』の聴きどころについて教えてください。
ロニー このアルバムには、現在に至るまでの自分が集約されています。余談ですが、私が初めて組んだバンドの名前が「グリーンエイリアン」なんです。私自身がすっかり忘れていたことを、このジャケットを見て思いだしました。(笑) このジャケットが生まれたことにも、不思議な運命を感じています。このアルバムは「これまでのロニー・キャスピ」を伝える内容ですが、来年のリリースに向けて、まさに今制作しているアルバムは、ストーリー仕立ての内容にしようかと構想を練りながら制作を進めています。きっと今回の作品とは異なる、より多様性を持った姿をお見せできるかもしれません。
■今回の来日にも関係していますが、ミュージシャンのGaku Kano氏ともレコーディングを行うんですよね?
ロニー そうです。一緒にライブを行った上でスタジオに3日間一緒に入って、Gakuさんと新曲を作ります。それをどういう形で発表をするのかは、これからのお話にはなりますが、こちらの楽曲も楽しみにしていてください。
■楽しみにしています。最後に改めてひと言メッセージをお願いします。
ロニー 大好きな日本で初めてのCDをリリースできて、本当に嬉しいです。『Introducing Roni Kaspi-Tell Me + PONI & more』には、これまでのロニー・キャスピの姿を集約しています。まずは、私の紹介盤として楽しんでください。その上で新たに作りあげる進化成長した私の姿を収録したアルバムも楽しみに待っていてください。そのアルバムを手に、また大好きな日本でライブができたら最高ですよね。私自身も自分の未来を楽しみにしています。
Interview & Text:長澤智典
PROFILE
RONI KASPI(ロニー・キャスピ)はLA在住、24歳のドラマー/シンガーソングライター/プロデューサー。7歳でドラムを始め、バークリー音楽大学で学び、2021年に卒業。卒業直後、現代ジャズを代表するベーシストAvishai Cohen(アヴィシャイ・コーエン)のトリオに大抜擢され、アルバムやワールドツアーに参加。しなやかで繊細な表現力と爆発的なエネルギーを兼ね備えたドラミングで、世界中の人を魅了。SNS上では彼女のプレイ動画が拡散し、ジャズ・シーンを超えて多くのリスナーから熱烈な支持を獲得。ジャズを基盤に、ポップ、ソウル、エレクトロニカを自在に融合させるサウンドは唯一無二で、作詞・作曲・プロデュースも手掛ける「次世代アーティスト」として注目を集める。Zildjian、Remo、TAMAといった世界的楽器ブランドの公式アーティストとしても活躍。2024年からロサンゼルスを拠点に創作活動を加速させ、国際的な飛躍を続けている。
公式Instagram:https://www.instagram.com/roniponi100/
RELEASE
『Introducing Roni Kaspi -Tell Me +PONI & more』

通常盤(CD)
VSCD-3248/CR002
¥2,970(tax in)
VIVID SOUND/Chandelier Records
11月26日 ON SALE







