上月せれな VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

上月せれな『NEVER END』

3期連続で爆丸シリーズのエンディングを担当!アニソンアイドルの負けたくない理由

“アニソンアイドル”としてアニメファンからもアイドルファンからも愛される上月せれなが、アニメ『爆丸ジオガンライジング』のエンディング曲となるシングル『NEVER END』をリリース。「負けたくない」「負けられない」と歌う本作は、負けたら消えてしまうというアニメのストーリーとリンクしながらも、コロナ禍で心が折れてしまいそうな人たちへ「100パーセントの希望」を届ける応援歌になっている。普段はネガティブだがステージに立つと人格が変わったように自信満々になるという彼女に、楽曲へ込めた想いを語ってもらった。

上月せれな『NEVER END』

■爆丸シリーズでは昨年から今年にかけて配信されていた『爆丸アーマードアライアンス』でもエンディングを歌われていましたけど、今回の“NEVER END”は爆丸前提で作られた曲だったんですか?

上月 そうですね。曲の候補をいただいて、アニメを見ながら「どれが合うかな?」と考えて、マネージャーさんとかとも相談して選びました。本当に嬉しいことに、曲をたくさんいただいたんですよ。すごく悩みました。

■その中で“NEVER END”を選んだ決め手は?

上月 (2007年から)長く続いている作品で、やっぱりキャラクターも少しずつ大人になっていくじゃないですか。なので、少し大人っぽい方向にいった方がいいのかなというのはありました。それと歌詞がすごく好きだなと思って。「負けたくない」とか、「負けられない」とか、前向きなメッセージが今のご時世にも合っていると思ったんです。

■CDにはフルサイズとアニメサイズの両方が収録されていますけど、歌詞が少し違いますよね。アニメではバトルに負けると爆丸が消えてしまうから、歌い出しが「負けられないよ」になっていると思うんですけど、フルサイズでは「負けたくないよ」になっていて。どんな意図で変えたんですか?

上月 「負けられないよ」だと、自分の意思だけじゃない感じがしたんです。キャラクターたちも強い意思があって爆丸バトルをしているじゃないですか。私も「負けたくない」みたいな気持ちがあるので、サビは「負けられないよ」ですけど、最初の部分だけ「負けたくないよ」にしたんです。

■そうだったんですね。「負けたくない」という感情は、日頃からあるタイプなんですか?

上月 ありますね。負けず嫌いな性格だと思います。それはアイドルがたくさんいる中で負けたくないっていう気持ちもありますし、さっきも言ったご時世的な意味でも負けたくないと思いますし。このご時世で心が折れちゃう方も多いと思うんです。私も折れてないわけじゃないんですけど、言葉にしたらみんなに伝わるかなという想いがあります。

■他のアイドルに負けたくないというのは、どういう部分ですか?

上月 ステージに立っている自分と、ステージから降りた自分では、結構人格が変わるというか。ステージに立っている時は、「私以上にこのライブを盛り上げられる人はいない」と思ってやっていて。なぜかわからないですけど、自信満々なんですよ。なんでなんですかね?

■僕に訊かれてもわからないです。(笑)

上月 でも、ステージから降りた瞬間に「あそこああすればよかったな」「ここ間違えちゃったな」とか、どんどん出てくるんです。

■ステージに立つ直前はどんな感じなんですか?

上月 直前はスタッフさんに「どうしましょどうしましょ」「ヤバいヤバい」とか、ずっと言っていますね。いつか動画に撮って出して欲しいくらい。(笑) でも、すっと幕が開いた瞬間になんかスイッチが押されるんです。私も私がわからないです……。

■別人格が出てくるみたいな感じなんですか?

上月 そうですね。悲しい時とか、ものすごくツラい時とか、本当に怒っている時とかは、あんまり出さないタイプだと思うんです。怒った時ほど静かになるというか。楽しい時は楽しい感じが出るけど、そこまでオーバーなことをするわけでもなく、基本的に感情の起伏が小さいのかな?でも、ライブになると全部の感情を出せるんですよ。

■ライブしている時の記憶はあるんですか?

上月 対バンイベントとか、定期公演とかはありますけど、長時間のワンマンライブだと、たまになくなっていますね。やっぱりワンマンライブだと熱気もすごいので、ファンの方がグッときたら、私もグッと返さなきゃと思うので、そうしていると記憶もなくなっていて。あとから映像で見て、この時ああだったなって記憶が蘇ってくるんです。

■格闘家みたいなこと言いますね。ライブ中は痛みも感じないですみたいな。

上月 気づいたらあざができているとか、どこかが切れているとか、そういうことは多いです。なんかあざができていると思ったら、そういえばマイクが当たる場所だなとか。

■その「負けたくないよ」の勝ち負けは、何が基準で決まるんですか?

上月 ステージで歌っていて勝ち負けはないと思うんですけど、悔しいみたいな気持ちはたまにあって。自分がどんなに失敗したと思っても、来てくれたみんなは「よかったよ」「楽しかったよ」と言ってくれるんですよ。それは本当に思ってくれているとは思うんですけど、だからこそ「あそこをああしておけば、もっと楽しくできただろうな」とか、そういう感情が常にあるんです。

■ある意味、毎回負けているみたいな?

上月 うーん、負けを認めたくはないですけど。(笑)

■どこまでいったら勝ちなのかもよくわからないですよね。

上月 難しいですよね。勝ちだと思ったら、そこで成長が止まっちゃうかもしれないですし。逆に負けを認めることによって、先に進めるかもしれない。私もアイドルが好きなので、他のアイドルさんの記事を読むことも多いんですけど、「今まで認めたら止まってしまうと思っていたものが、認めたことによって新しい自分が出せるようになった」と言っていた方がいて、「そういうものなのかな?」と思ったんです。でも、実際に認めたら「もういいや」という気持ちになっちゃうかもしれないから、もっとラブマイセルフした方がいいのかもしれないし……。

■100点を出したと思ってしまったら、そこで成長が止まっちゃうかもしれない?

上月 そうですね。でも、100点を出したら120点とか、もっと先が見えるのかもしれないし、難しいです。これはずっと自分の中で考えていることですね。

■逆に「今日は負けたな」と感じたことはあるんですか?

上月 あるかなぁ……?負けたというよりは、以前ワンマンライブをした時に、アンコールが来たら応え続ける「エターナルアンコール」というのをやったんです。それでファンの方が「アンコール!」と言ってくれている時に、私は裏で「もう立てないかも……」と思ったことがあって。その時は「負けたな」と思いました。(笑)

■それはどうやって終わりを迎えたんですか?

上月 結局16回くらいアンコールやったところで、会場の時間的にこれ以上は延長できないということで、「ごめんなさい!」と言って終わりました。

■じゃあ、引き分けですかね。(笑) 先ほどの話を聞いていて「君も弱気な心ひらいて」という歌詞は、ステージに立つ前に「ヤバいヤバい」と言ってる上月さんに重なるなと思ったんですけど、ご自身ではどう感じていますか?

上月 そうですね。ステージに立つ上月せれなはすごく前向きな人間なんですけど、普段は結構ネガティブなんですよ。でも、そういう部分は出したくなくて。

■ライブ前に「大丈夫」って自分に言い聞かせたりするんですか?

上月 言い聞かせます。「あー、ヤバいヤバい、大丈夫大丈夫、あなた大丈夫よ」って、ずっとひとりで、ぶつぶつ言っています。(笑)

■Aメロの「大丈夫 言い聞かせてた/BAKUBAKU! 響く鼓動 戻るわけないよ」の歌詞そのままですね。(笑) この曲は「Wow…」のところを一緒に歌いたくなりますけど、ライブではどんな感じなんですか?

上月 ご時世的に声が出せるようになったら、ぜひ一緒に歌って欲しいんですけど、今は腕を上げる振り付けをみんな一緒にやってくれています。まだみんなの中でも、どう盛り上がろうか試行錯誤しているのが見えるんですけど、そういうところも「かわいいな」って思うんです。「わー、悩んでるー、ありがとー!」って。

■今はどう楽しんでもらうのが正解ですか?

上月 やっぱり振り付けを一緒にやってもらったり、声の代わりに手拍子をしてもらったりですね。声を出すのを我慢して、耐えてくれている感じを見るのも、私は嬉しいです。

■むしろ今我慢しておけば、声を出せるようになった時に、より楽しめるかもしれないですね。それとMVも公開されて、だいぶ壮大な映像になっていましたけど、どこで撮ったんですか?

上月 神奈川県三浦市の城ヶ島で撮りました。「海で白いワンピースを着て撮りたいです」って、ずっと前から言っていたんですよ。それが今回実現しました。

■撮影はどうでしたか?

上月 とにかく朝が早かったのと、この日は気温がめちゃくちゃ高くて。長袖の季節だったのに、27度くらいまで上がったんですよ。私は大丈夫だったんですけど、スタッフさんがすごい日焼けしちゃって。あとはフナムシが……。

■海沿いの岩場には多いですよね。

上月 そうなんです。私、本当に虫がダメで。しかも集団で行動しているじゃないですか。もう数百匹レベルでいたんですけど、私がちょっと動くと一斉にふぁ〜って動くんですよ。もう鳥肌立っちゃって。かといって動かないと寄ってくるんです。撮影中は凛とした顔で歌うように気をつけていたんですけど、すごく怖かったです。